【ジャズは多種多様②】エレクトリック楽器の登場から混沌の現代へ
モダンジャズは主にアコースティック楽器を使用していた。1960年代末からエレクトリック楽器を使う人たちが現れる。マイルスデイビスは電子ピアノやエレキを使い、16ビートのリズムの楽曲をリリースする。
この頃ラジオの深夜放送ではクロスオーバーと呼んでいた気がする。ジャズの停滞を打破するため、電子楽器を使い、当時売れていたロックやラテンのスタイルを取り込みジャンルを超えて新たなジャズへの脱却を図った。1970年代半ばからフュージョンと呼び方が変化していったように記憶する。どちらも複合とか融合を意味しており、売り手の都合も感じるので、特に音楽的な違いはないと思われる。
こうした動きはロック側からも起こり、ロックとブルースを融合したクラプトンのクリームやロックとラテンを融合させたサンタナのラテンロックなど垣根はどんどん意味をなさなくなっていく。クラシック音楽でさえ、ロックやジャズのバージョンがリリースされる。EL&Pやデオダード、ボブジェームスのクラシックは恰好よかったし、ロココジャズもお洒落だった。
要は演奏家がジャズ畑で勉強し鍛錬を積んだか、ロック畑か、クラシック畑かの違いはあるが、演奏する楽曲ははジャンルを超えていくものが増えていったのだ。軸足がどのジャンルにあるかさえよくわからないものもある。
1980年前後のラリーカールトンやリーリトナーのギターには言い尽くせない想いがある。日本では高中正義やカシオペア、Tスクエアなどが売れていた時代だ。ただ、ジャズの即興演奏という特徴は前面には出ていなかった。
1990年代からは特定のジャズが主流になるということはなくなり、お洒落で聞きやすいスムーズジャズ、イギリスでソウルやファンクの要素を取り入れたアシッドジャズ、ヒップホップと融合していくスタイルなど多様化が進む。もちろん、デキシーやビッグバンド、ビバップやモード、フリーに至るまでしっかりと生き残って今もなお演奏されているからたまらない。
【REG's Diary たぶれ落窪草紙 2月20日(火)】