リフォレスター「プロトタイプ」の実力は想像以上だったけど、理由は意外と沢山あった。
立てた考察は全部当たった、でもどうして?
超極薄切干しの開発と同じく、
「野菜くずを何とかしたい」から
「園芸残土の再生実験」にシフトチェンジしてして3週間。
素人考えでまさかここまで「ちゃんとした土」が出来上がるのは
全くの想定外です。
と、いうよりも、
再生途中の土の中から掬い取った土で
かつてないほど元気に健康に植物が育つ、
育ってしまっているということが何よりも衝撃です。
衝撃といえば、それだけではありません。
狙ったことではありますが、
コンポストでの最大の問題であった「腐臭」と「虫」の問題が
まったくないことも想定以上の結果でした。
においに関しては全く「匂い」がないわけではありません。
無いのは腐った臭い「腐臭」で、
「匂う」のは野菜から出るエチレンガスと、
カビ臭ではない麹っぽい匂い。
どちらも容器から匂うわけではなく、
容器の蓋、フェルトを開いた時に一瞬通り過ぎるという感じ。
むしろ容器を木箱で作っているため桧の香りの方が強いほどです。
「虫」に関しても、コバエは皆無。
一番懸念していた黒いアイツに関しては
1匹だけ箱の外でひどく弱ったのもを見かけただけで、
箱の中では一度も見かけませんでした。
これは3年目の現在も同じです。
いえ、リフォレストした土に変えてからは1匹も見かけていません。
実験の途中結果を考察し、仮説を立てる
プロトタイプが思いのほか優秀だった理由は何なのか。
もちろん、狙った仕組みが上手く稼働したのは間違いありません。
・園芸残土に期待していたこと
野菜くずの表面を傷つけて、乾燥を加速させる効果
・微生物に期待していたこと
鶏糞に含まれる微生物には、生きている細胞を積極的に食べてもらうこと
カルスNC-Rには、鶏糞の微生物の食べ残しの繊維質を食べてもらうこと
通常の倍以上の密度にすることで他の微生物の繁殖を抑制してもらう効果
・容器に期待していたこと
穴開きの木箱は森で言うところの腐葉土の層の役割
フェルトの袋は腐葉土の下の土の層の役割
森では上から下に向かって腐葉土の層
腐葉土の下の細かな植物片が堆積した土の層
その下の微生物が多い土の層
となっていますが、その仕組みを6面のキューブ形状で
中心に向かって再現すると言う考え方です。
これによって野菜くずの分解速度が上がればいいなと考えていました。
・上記の条件で期待したこと
野菜くずをできる限り最速で枯らすことで
容器から「腐臭」を出さないこと。
容器から出る「匂い」を限りなく少なくすること。
多すぎる微生物の効果で野菜くずを可能な限り早く分解すること。
※ここまで考えていて、「野菜くずの分解が土の再生、土壌改良」
を意味すると言うことは
全く想像していなかったと言う事が本当に想定外。
実際、期待していたことは全て期待通りの結果が出たのは本当です。
想定外だったこと
まず、想定外だったのは、
・野菜が腐る速度よりも微生物の分解速度が桁はずれに速かったこと。
・そのために「腐臭」は出なかったこと。
これには理由がありました。
後に行った実験からわかったことですが、
そもそも最初に入れた園芸残土が殺菌済み状態だったことが
2週間で使える状態の土に、部分的にでも再生できた大きな理由でした。
そもそもここはベランダデスバレー。
栄養成分を追加しても植物が枯れてしまう不毛の地。
プロトタイプに使用するまで
大きめのプラ鉢に長い間放置されていて滅菌状態にあったと考えられ、
実際この土には苔やキノコも生えない状態でした。
そういう滅菌の土に、狙った微生物を入れたことで、
通常地面では起こらないようなキレイな環境ができてしまったのだと
考えます。
この結果の裏付けは、
2年目のトマトの栽培時に培養土を追加した際に
一時、土の状態が不安定になったことで発覚しました。
特にカルスNC-Rに関しては微生物の中では弱い方の部類に入り
パフォーマンスは微生物環境に大きく左右されることがわかりました。
カルスNC-Rに関しては「乾燥した植物繊維が好き」ということと、
この「弱さ」が使い方によって大きな強みになるのですが。
それはまた後日解説します。
虫が寄らない理由
コバエに関しては、腐臭がしなければ寄って来ない事が
大きな理由ですが、もう一つ虫にとっては脅威となる理由がありました。
「一番懸念していた黒いアイツに関しては
1匹だけ箱の外でひどく弱ったのもを見かけた」と書きましたが
この弱った黒いアイツにその答えがありました。
自然界でもそうですが、
腐葉土の下の下の土の層では、昆虫はほぼ見かけません。
それは、土全体の重さもあるでしょうが、
それよりも土の砂の細かさが、
虫の関節に食い込みやすく、思うように動けなくなる事と
それより細かい微生物がカラダに張り付いたり、
体内に入り込む事で生きる事ができなくなるからではないかと思います。
直接的な表現は「ぎゃ〜〜〜〜っ。」という感じになってしまうので、
虫にとってそれくらい恐怖で脅威な感じだと
思っていただければよいでしょう。
とにかく、黒いアイツも
一度はプロトタイプの中に入ったかもしれませんが、
おそらく微生物にまとわり付かれて逃げ出した。
逃げ出したけれど、その時はもう手遅れだったのではないかと考えます。
同じ理由で、コバエも寄りつきさえしないのではないかと。
ここまで虫が寄らない理由は、それ以外に考えられません。
そういえば最近、葉物野菜に土を足す時、
上からパラパラと土を振りかけるようにした後、
霧吹きで水をかけた後、アブラムシが増えなくなったのですが、
土には微生物が入っているので、
水滴に混じった微生物がアブラムシに対して
同じ効果をもたらしたのかもしれません。
今、これを書いていて昨年悩まされたハダニの予防に
使えるかもしれないと思いつきました。
使い方はこれから考えますが、実験しない手はないですね。
そうそう、ミミズに関しては例外で、
追加した培養土の中にどうやらミミズの卵があったらしく、
1匹だけトマトを植えていたリフォレスターの中で
大きく成長していました。
こちらは近所の野鳥の皆様にお持ち帰りいただき、今はおられません。
いずれにしても、リフォレスターにも、リフォレストした土の中でも
私たちを悩ませるコバエと黒いアイツの心配はいらないと
言えるでしょう。
ただし、集合住宅に特化するためには
野菜くずと卵のから以外の肉や魚、
肉や魚に由来するものは入れてはいけません。
上記の黒いアイツが発生したのは、
実験的に出汁をとり終えた煮干しを数匹、1度だけ入れた、その時です。
また、環境の保全のために糖度や酸度の高い果物もお勧めできませんが、
それもまた別の記事で。
野菜くずの追加は続く、どのくらい?
野菜くずと卵のからの追加は、土の状態を見ながら
週に1回少しづつか、2週間に1回土の半分程度の量を
1か月半から2か月ほど続け、その後1か月放置します。
その間、何度か土をかき混ぜた方が分解速度が早いのですが、
放置しても分解が止まるわけではありません。
前回も少し書きましたが、
基本的には1週間に1回のお手入れで、
平日は放置で微生物に勝手に働いてもらうように設計しているので、
お世話しすぎても、しなさすぎても土の再生は進みます。
最後に1か月寝かすのは念のためで、
途中で土の匂いが森の土のような香りになっていれば、
少しくらい植物片が残っていても
その土で野菜を育てたり、お花に追加しても問題ありません。
次回は野菜くずの追加期間について解説します。