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植物の世界での薬効を考える:けやきその2

けやきは丈夫?

自分の集中力を上げる目的で、
本当に思いつきでけやきの木の枝の皮を削り始め
そこからけやきの持つ病害虫に対する防御というか
防衛戦略というかそういうものがあるんじゃないかという
推測と考察を始めた私。

そもそも「ケヤキ」という木はいろいろおかしなところがある
ちょっと変わった木だったということを思い出します。

秋のけやき

木材としてのけやきは建材などに使用する木材の中でも
木目が密で非常に硬い木なのですが、
硬過ぎて扱いづらかったり、
硬いくせに木材として加工した後も歪んだり割れたりするため、
あんなに立派な幹なのにも関わらず建材としてはあまり好まれないので、
まとまった量のけやき材を購入するのは難しいのだそう。

硬いので、工賃も高くつくので必然的に高級木材になっているらしい。
実際、削って白木の状態にした枝は結構柔軟性があって
取手にしたり、猫の首掻きにしても
ちょうど良いしなりで折れにくくて便利だったりします。

少なくとも都市部の公園や街路樹として植えられた
樹木ではこういった特徴のある木は他にはありません。

けやきの枝

他の樹木と異なるところといえば、
前回も書いた枝の枯れ方もそうだけれど、
新芽の頃の葉の伸び方も他とはちょっと違って、
けやきは他の樹木に比べて新枝を落とす量が多いようなのです。

さらに、樹皮の模様や剥がれ方にも個性があって
通常は大きくても手のひらに収まるくらいの塊の樹皮
がポロポロ剥がれるのだけれど、
例えば縦長に剥がれるものもあれば渦巻模様に剥がれるものも
あったりします。
これらは環境の要因でそうなるというよりも
個々のけやきの個性のようなんです。

けやき削り

樹皮の模様に関しては全く想像もつかないんだけれど
新芽が多く落ちる謎と、枯れ枝については
ある程度の推測ができそうです。

削った皮はリフォレスターへ

「落とす」という戦略

けやきの新芽が落ちやすいいことと、冬に枯れ枝がたくさん落ちることには
けやきの成長戦略として、
明確な意図のもとで行われていると考えます。
もっとも、欅も自身では「成長する」こと以外
自発的に行動は起こせないと思うんです。
だから、けやきは「風」を利用する戦略をとっているのではないかって
思うのです。

けやきの取手

新緑の頃新芽を成長した枝ごとそれなりの量落とすのは、
とりあえずけやき的に新芽を伸ばしはする。
ある程度伸ばしたあたりで大風の力をつかい、
枝のしなりを利用して、
葉が詰まった部分を叩き落とすというかふるい落とす。
そうやって、できるだけ新芽同士が密になることを避けるという
剪定の戦略。

一方で、冬に枯れ枝を多く落とすのも、
北風の力を利用し、振り子の原理を使って
できるだけ枯れ枝を幹よりも遠くへ飛ばす意図があって、
そのために、枝の太部分を下にして
分枝した細い枝先を生きている枝先に引っ掛けるように
しています。

けやきの枝はとにかく風の力を最大限利用できるよう
計算された樹形なんだと思います。

枝の剪定に虫の力を借りている。かもしれない。

晩春の風を使って新枝を剪定することには
風の力を使うだけで事足りますが、
ある程度斉唱した枝の剪定は風の力だけではどうにもできません。
そこで枝の剪定を行うために虫の力を利用しているんじゃないかと
考えたんです。

それも、虫を意図的に呼び寄せて
虫の侵入を起爆剤にしているのではないかって。

あくまで枯れ枝を観察してのことですが、
枯れ枝の一番太い部分と幹側の枝が剥がれた箇所を見比べると
この考えはあながち間違ってはいないと思えます。

けやきは成長過程っであまりいらないと感じた枝があったとしても、
意識的にその枝を切り離すことはできないけれど、
虫が侵入したり、病気が付いたりして枝の内側が傷つくと
この傷をトリガーにしていわゆる防疫機能が発動しているのだと思います。

虫の食害の足跡から見える、けやきの防疫システム

けやきの枯れ枝の一番太い部分幹と接していた部分を観察すると
そこだけ異様に大きく膨らみ内側は黒く変色して
スカスカしたスポンジのような状態になっていますが
樹皮そのものの変化は大きくありません。
この肥大したいち部分以外の先端に向かう枝については
ただ水分が抜けただけで特に劣化が見られません。
この劣化の落差こそが面白い。

それはつまり、この劣化の落差こそが
ケヤキという木の性格をよく表していると思うから。
つまり、使えるものはなるべく使い倒し、
可能な限り省エネで自身の健康管理を一種「自発的に行う」
成長と防疫に戦略を持った樹木なんだと思うからです。

ちょっと想像してみます。

まず、成長するためにちょっとバランスが悪くなった枝があります。
この枝を落としたいと判断したけやきは
枝の付け根から少しだけ枝先に寄った部分の節に
虫が好むフェロモンのような香料を生成します。

この香料に反応した虫は、節に卵を産みつけます。
卵がかえって幼虫が枝を齧り始めると同時に
幹との接続部分の細胞に細胞を枯らす物質と、
幹との間に壁を作る成分を貼り付けます。

この時、細胞を枯らす成分の他に、虫が嫌う成分も送り込みます。
このため、孵化した幼虫は卵がかえった場所よりも
枝先の方へと逃げるように食べすすめます。

栄養と水分の供給が止まった枝は、
重力の影響で枝先の方から食害のあった方へ水分が落ちてきます。
そのため、先の方の枝はカビることもなく芯までしっかり乾燥します。

一方、枝先から落ちてきた水分は、
幹との接続部分に溜まりますが幹側には
しっかり蓋がされてしまっているので
付け根の部分に溜まったままになります。

通常より水分量が多くなった上、栄養の供給もとまった接続部分は
やがて膨張し、膨張で傷ついた川からはカビが入り込み
時間をかけて枝を劣化させてゆきます。
そうして劣化した枝は、風の強いある日に幹から離れます。
ただ、先端の細い枝が支えとなるので、枝が外れても木の枝に引っかかり
地面に落ちることはありません。

この枝に引っかかるというところもミソで
もし、はがれてすぐに 地面に落ちてしまうと
虫は危険を感じて次から卵を産まなくなってしまう危険があります。
でも、しばらく枝先に吊るしておけば、
うまいこと虫が蛹になるまでか、蛹の少し前まで
健康な枝にいると騙されてくれれば、
虫を騙せる、騙し通せるので、
翌シーズンの必要な時に虫を呼び寄せることができますからね。






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