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植物の世界での薬効を考える:けやき。その1

はじまりはけやきの枝削り

自然主義的な思想の話ではなくて、単純な疑問からの考察なので、
結構全方位的に喧嘩を売ることになるかもしれないお話です。

「植物にとっての生薬」「植物にとっての薬効」というものを
考えるきっかけは、言わずもがなのリフォレスターなんです。

私の記事を読んでいただいている方は
私がだいぶ変わり者だということはわかっていただけているかと
思いますし、
なので、いつも通り最後はリフォレスターにつながってゆきますが
出発点はだいぶ違うというのもいつも通り。

リフォレスターを考えつく少し前、
どうにかして自分の集中力を上げることができないかと考え、
たどり着いたのが「木の枝の皮をカッターで削る」という
暇つぶしみたいなものです。
集中力を上げたくなった理由は、なんとなくそう思ったから。
本当に単なる気まぐれです。

木を削るなら木片を買って仏像でも掘れば良さそうなものですが
仏像はそんなに好きじゃない。

元手がかからず、誰の迷惑にもならないけど、
自分のためにはなりそうなもの。
それならどこにでもありそうな木の枝でいいやっていうのが最初の一歩。

木の枝なら、なんでも良かったんですが
いざ削れる木の枝を探そうとすると、これが案外見つからない。
桜はもろいし、どんぐり系は虫がいる。
ツツジの枯れ枝は細すぎて皮が剥きにくい。

木の枝拾うのにここまで苦労するとは思ってなかった。

最後にたどり着いたのが、どこにでも落ちていて
それなりの強度があって、皮を剥いた後、
内側の組織を削る満足感も得られるケヤキの枝でした。

削らない枝は猫ブラシ兼猫よけの柵に

ただの枝削りも奥が深い

ケヤキの枝というのは、冬の間中いつでも落ちていて
割と直線的な枝ということもあって、
材料拾いにはこと欠きません。
その上、直線的といっても1本1本個性があって、
皮がまっすぐで一度に長くはがれるものもあれば
ゆるい螺旋のものもあったり、
少しづつしかはがれないものもありますし、
皮の下の甘皮も削りやすさに個性があり、
枝ごとに工夫が必要だったりして、結構飽きません。

そして、集中力を磨くという意味では、
カッターで削るという方法を選んだために、
気を抜くとすぐに指先を切ってしまうという
ほど良い緊張感があり、
この小さいけれど、きっちり痛いペナルティが結構なスリルがあってよき。

でも、私、マゾっけはないです。

たかが枝削りですけど
削ってゆくと、だんだん慣れてきて
どんどん綺麗に削れるようになって、どんどん楽しくなってゆきます。

そうして削った枝は、
花切り干しの干し竿にしたり
いくつかを組んでオブジェにしたりもしました。

花切り干しの干し竿
最初に作った木のオブジェ

昔から、こういう単純作業ながら気が抜けない作業って
無心になるよりも、集中しながらいろんなことを考えちゃうんですよね。

それは例えば、サッカーをやっている人なら、
膝でボールをなん度も蹴り上げるドリブル?っていうのかなあれをやっている時の感覚と似ているのかもしれないし、
編み物をやっている人なら、
編み物をしながら別のことを考えるというのにも近いと思う。

この時の私は、けやきの枝を削りながら、
けやきの枝やけやきの木の事を考えていました。
う〜ん、けやきまみれ。

けやきの枝の枯れ方の謎

けやきの枝を拾い集めるうち、
けやきの枝の枯れ落ち方が他の樹木とは異なることに気づきます。

けやきの枝って枝分かれの分岐点の根本から綺麗に切り離すように
枯れ落ちてくるんです。
それも、それなりの時間をかけて切り離した枝先が
全て乾燥し終わった状態で落ちてくる。

大きな枯れ枝がいくつも引っかかった木

なので、拾う枝はみんな中までじゅうぶんに乾燥しているので
拾ったそばから削りやすいんです。

枯れ枝だから当たり前のようですが、
これは他の樹木には見られません。
他の樹木の枯れ枝の場合、
ほとんどが枯れ枝の内側までもろくなっているか、
虫食い、カビ食いという感じで
芯の部分が綺麗な状態の枯れ枝ってあんまりないんです。

しかも、けやきの場合
ある程度しなって丈夫だし、
ほとんどの場合枝先の芯までカビていることがありません。
猫の首ゴシゴシ用の枝としてもなかなか折れることがないので
猫たちにも評判が良い。

けやきの枯れ枝の不可解な共通点

落ちているけやきの枝を何本も観察すると
興味深くて不可解な共通点があることに気づきます。

それは、枯れ枝の枝元の一番太い部分で、
どれも肥大して枝の中までもろくなっているところです。
このもろくなった枝元から、概ね10センチ強の組織だけが
異常に傷みが激しくなっていて、
このもろい部分から枝先に向かって新鮮な虫食いがあることです。

これって、虫が喰ったから枝元が傷んで枯れ落ちたって、
私も最初はそう思ったんです。
でもね、何十本も削ってゆくうちに、
虫食い部分も削ってゆくうちに、
どうやら虫食いは単に原因の一つで、
もろくなった部分にはけやきの「意図」があるのではないかって
思い始めたんです。

まず、虫食いのある枝のほとんどは、
枝の分岐点近くから虫食いが始まっています。
それはおそらく分岐点の部分の樹皮は他の部分には見られない
シワがよっていて、
そのシワの凹凸の小さな裂け目から虫が入り込むためなんだと
観察でわかりました。
枝に侵入した虫は、分岐点から枝先に向かって枝の芯の部分を
かじり進んで行くんです。

虫は樹皮の下を蛇行しながら食べ進んでゆきますが、
その食べ跡は最初は分岐点をうろうろしていますが、
ある時から急に枝先へ移動し始めています。

これって、まるで何かから逃げてるみたい?

けやきの防虫戦略

けやきの枝を削りながら、けやきの虫食いと、
枯れ枝の一番太くて一番傷んでいる部分の謎を考えます。

そういえば、この傷んだ部分と虫食いは常にワンセットであること、
そこから先の細くなってゆく枝には
分岐点があってもこのワンセットが見られないことにも気づきます。
それと、傷んだ枯れ枝の一番傷んでいる部分の形状と色、
劣化の仕方は、枝の太さによる違いはあるものの
全て印で押したように同じであることにも気づきました。

ということは、
もしかして、このけやきの枝の枯れ方って、
けやき自体が意図的に起こしている自己防衛的、自己剪定なんじゃないの?

つづく

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