【記事翻訳】台湾語の間違いの位置付けー30年間にわたった本土言語政策の反省

みなさん、こんにちは。

許慧如教授さんが書いた記事を拝見して、より多くの方に台湾語の現況を知らせたいので記事を翻訳してみました。

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「本土言語」という概念はほかの言語の使用を禁じられて、中国語しか話せない戒厳時期に生まれた概念。1990年代の台湾にはそういう分類が必要で有意義です。
だが、本土言語とは、単一言語ではなく、台湾語、客家語、原住民諸語を含んだ多言語の総称で言語と言語の違いを無視して一括で呼んでしまい、時間が経つと矛盾が生じます。

1番よく聞こえる声は「台語霸權(台湾語はすべての資源を独り占めし、ほかの言語を抑制する)」のせいで、客家語と原住民諸語は差別されたという声である。台湾語ではなく、客家語か原住民諸語みたいな本土言語授業を自分の子に受けさせたかったけど学校ではそういう授業がないと保護者たちがSNSで不満を書く。それは客家語か原住民諸語の授業をしないわけではなくて、教えられる先生が見つからずそうなってしまったのだ。なのに保護者たちは台語霸權というラベルを貼り付けた。それだけではなく、日常生活で簡単な台湾語で挨拶しても「台語霸權」と批判される。「台湾語」という呼び名を巡る論争は20年にわたって繰り広げられている。

この問題の根本原因は台湾語と客家語•原住民諸語の位置付けの違いー台湾語は長年使われてた共通言語という事実を無視したからのだ。

中山大学の葉高華教授さんが分析した1905年から2010年の言語普及の資料によると、1915年に台湾総督府による国勢調査では当時8割の台湾人の母語は台湾語で、客家人•原住民•平埔族だけではなく、内地人(当時の在台日本人の呼称)も一定の割合の人は台湾語が話せたという。そのうち、台湾語が話せる平埔族が94%に達し、客家人が29%、在台日本人が11%もいた。だが、客家語を使うのは客家人だけで話せる割合がわずかな2.5%でほかの族群で客家語ができる割合が1%に達しなかった。そして、客家語•原住民諸語の使用分布は客家人•原住民の分布により変わり、言語の使用分布は地域性が強く見られた。

戦後、蒋介石と共に台湾に来た中国人たち、中国人2世、中国人3世も一定の割合の人は台湾語が話せる。2024年の今は、国語政策(中華民国🇹🇼政府による中国語しか話せい政策)で台湾語できる人が激減しているが、黄昆輝教授教育基金会による調査では、自分は台湾語できると思う人が95%いるという。

台湾語は紛れもなく台湾の代表的な言語である。日本語といえば日本で、フランス語といえばフランスみたいな関係。そして客家人•原住民には「客家語•原住民諸語+台湾語」みたいなバイリンガルがたくさんいる。もし、戦後「獨尊中文的國語運動(中国語をすべての言語で1番優れていて尊い存在にして尊いの中国語しか話せない政策)が実施さなければ今1番多く使われている言語は台湾語だったでしょう。それに対して客家語•原住民諸語の使用は地域性が強い。つまり、国語政策がなければ台湾語ができる人が激減しなかったが、客家語•原住民諸語には言語復興運動がそれでも必要。

だが、中華民国の本土言語政策は間違って台湾語を本土言語に入れて、そして間違いの平等を求めている。2019年「国家言語発展法」の実施で、「国家言語」の地位を有しているが、本土言語のリストから外されず本土言語のリストに馬祖語、手話が追加され、台湾語は共通言語という事実は完全に無視されている。

前に書いたように本土言語の概念は中国語の完全な優勢に抵抗するために生まれた概念だが、当初主張した言語平等と正義は今に至って「本土言語の内争」になり、中国語の完全な優勢が消えるどころか、かえって強くなってきた。

この社会が求めている「言語平等」の「プレッシャー」で「自分が台湾語を使うのはほかの言語を尊重しない行動」「台湾語を使うと「台語霸權」というラベルを貼り付けられる」のを恐れていて、客家語•原住民諸語は共通言語ではなくて言っても通じないので結局台湾華語を使わざるを得なくなった。

ここで例を一つ挙げましょう。教育部が主催する「本土言語貢献賞」は「本土言語に力を注いだ人を褒める」賞。なのに受賞者たちのドキュメンタリーは全部台湾華語を喋った。本土言語に関する会議も「言語の平等」で結局台湾華語を使ってしがち。

言語平等を求めるべき本土言語政策は台湾語を『みんなは台湾人で台湾語を喋ってはいけない』という新たな不正義に直面させて、台湾華語の単一言語主義を強化してしまい、笑止千万なことである。

近年、海外旅行に行く時(特に日本に行く時)に中国人だと勘違いされないように「台湾、台湾人だと」相手にわかってもらうみたいなグッズをつける台湾人が多くなった。同じアジア人の韓国人が中国人だと勘違いされないのは韓国語は韓国人である証でそういうグッズをつけなくても勘違いされないからのだ。もし、台湾人は『中国』語を喋らなくなったら中国人だと勘違いされることは大幅に減っていくでしょう。客家語•原住民諸語も同じ効果がある。台湾語を喋っても台湾人だと相手がわかるわけでもないと疑っている声があるが、少なくとも中国人だと勘違いされることが避けられる。もし台湾人はみんな台湾語を喋っていて、台湾人がよく行く国では台湾語だとわかる人が増えていくでしょう。フランス語がわからない人でも「bonjour」を、日本語がわからない人でも「ありがとう」を知っていることと同様だ。
国際においては、「台湾」という言葉を出してはいけない。皮肉なのは、国内においても台湾語が正々堂々と喋れなくなるということ。

政府の言語政策に改善が必要なのは明らかだ。中国語の完全な優勢を失くすのは難しいが、台湾語を第二共通語と明確に決める必要があり、文化と教育の分野に留まらず生活の各分野で台湾語が使えるようアピールする必要がある。

台湾の国家正当化するには台湾語が不可欠である。

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原文はこちら。

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