教育学部教授が考える、授業をバージョンアップさせる方法
ナイツ塙の『言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』を読みました。このインタビュー本の中で一番興味を持ったのは「ネタ」と「フリートーク」についての記述です。授業でも「ネタ」と「フリートーク」の両方があるはずだからです。
塙さんは「ネタを創る」ことにとてもこだわります。塙さんのネタの定義は「他の人でも演じることのできる(話がよくできている)ネタ」です。漫才師はネタだけで自分たちの世界観を創り出すことができる。それを始めたのがダウンタウンです。
「ダウンタウンはフリートークを芸にしたという見方をされますが、厳密には違います。ネタを発明したのです。漫才を徹頭徹尾ネタで通したから、フリートークが余った。二人は人間自体も面白かったので、その余りすら芸になったということに過ぎません」
教員になって2~5年ぐらいすると「授業パターン」で授業することを覚えます。日々の授業を全部プランニングすることができないので教科ごと使える授業パターンを決めて、授業パターンと教科内容の隙間をフリートークで埋める授業を始めます。
この方法をくり返すことで授業は上手くなります。しかしネタづくり(=自分の世界観を創り出す作業)をやらないまま授業がうまくなっても、授業はだんだん劣化していきます。教師の気持ちが授業に入らないので、影響力がだんだん小さくなります。
自分が無意識に前提にしている「授業パターン」(持論)のリフレクションが必要かなあ。その授業の「出来映え」ではなく「前提としているパターン」(持論)に焦点を当てる。従来パターンとは異なるネタを試してみることが必要かなあと思います。