After Digital どうしてUXが大事なのか?DIGITAL REAL 融合時代
武蔵野美術大学大学院造形構想研究科
CL特論II:オンライン授業13回目
2020/8/10
藤井保文さん
<長谷川先生担当>
今回のゲストは「アフターデジタル2」出版したての藤井保文さんの登場!
続刊「アフターデジタル2」も出版されて、中国駐在の観点から今の日本に必要な論点を提示していることで、UXの考えなどがあまりピンときていなかったビジネス層に、結果的に徹底したユーザー視点=デザインを重視すべきという認識を広める結果となった本として、先生からご紹介がありました!
●beBit アフターデジタルとUXづくりの時代
2011年 ビービットにコンサルタントとして入社
金融、教育、ECなど様々な企業のデジタルUX改善を支援
2014年に台北支社、2017年から上海支社に駐在
「エクスペリエンス・デザイン・コンサルティング」
2018年8月に↓監修・出版
●アフターデジタル社会に対応するためのUX思考DX支援パートナー
・UXデザインコンサルティング
体験を重視している
日本では、デジタルマーケティングの一部として思われていない
・UXチーム定着支援 USERGRAM
ユーザグラムを導入すると、ユーザーの行動パターンから施策を探れる
自社の中でできるようになるのが、動画でもよく伝わってきました。
視察をやっているうちに、コンテンツが150ページのパワポになり・・・
本にまとめたものがアフターデジタル
9.1万部も売れてご家族も新聞の写メしてきたりビックリしているそうです!
1冊目でアフターデジタルという視点の転換はしてもらえたけど
行動データー取ればいいのか、人との接点をどうしたらいいのか
議論が行われていたので、つづきを書かなくてはと思っていた。
コロナで時間もとれたので、急いで書いて出したのが2だそうです!
2冊目にも1冊目の要約が書かれているので、時間がない方は2冊目を先に読むのがよさそうです!
2冊目は発売1週間で4万部までいった 発売直後は6千だったのに・・・
2の方が内容が濃くてよいと言ってもらえているとのことで、早速Amazonでポチッとしました。(この行動パターンもとられていそう!笑)
●実は、元々バンドマンで、ドラムをやっていたそうで・・・
numer0 Rallye Labelから3枚CD出しているとのことで調べてみると・・・
こちらに↓御名前ありました。 Official Music VideoでBGMを流しながらこのnoteを書いています♫
映像の演出したり、PVをとっていたりして、就職は26歳になったそうで
ビジネス脳ではなかったので、最初は大変だったそうですが・・・
概念を綺麗に整理されますよねと言われるのもこの経験があったからかも
ビジネスマンのフィールドにいても、生かされているようです。
●アフターデジタル概論
どうしてUXが大事なのか?
●デジタル浸透社会の到来
・日用品の買い物
・飲食店の注文・決済
・フードデリバリー
・シェア自転車
・タクシー
・信用のスコアリング
オンラインがオフラインを覆い、元々オフライン行動だった生活全てがデジタルデータ化して個人に紐づき、あらゆる行動データが利用可能な時代に
中国に住んでいた3年で
中国では、現金ほとんど使わないモバイルペイメントに
WeChatでログインして読み込むとメニュー 食い逃げできない
フードデリバリーも充実していて、アプリ入れてない人がいないくらい
シェア自転車 乗り捨てOK
パクリサービスが70社でて、2−3社が残っている
タクシー 日本もアフターコロナでだいぶ変わってきている
●捉えるべきはアフターデジタルの世界観
BEFORE DIGITAL → AFTER DIGITAL
日本企業は「リアルにくっついたデジタル」として活用しがち
オフラインが存在しなくなると、デジタル側に住んでいるような状況
デジタルがむしろ起点で「リアル接点といううレアで貴重な場」をどう活用するかという考え方に移行
DIGITALREAL融合時代
●行動データの時代、体験全体での価値提供へ
これまでは、属性データしかとれなかった。
顧客×行動データの取得・活用によって、最適なターゲットだけでなく
最適なタイミング×コンテンツ×コミュニケーションの提供が可能になり
企業競争の焦点が「製品」から「体験」へ
BEFORE AFTER
製品単体で価値提供するしかない 体験全体での価値提供が可能に
顧客〜〜製品〜〜製品〜〜 顧客〜製品×デジタル〜デジタル接点
モノだけの提供ではなく → 体験提供型 ジャーニーを提供
●アフターデジタル社会の成功企業が共通で持っている思考法
Online Merges with Offline OMO
オンラインとオフラインを分けるのではなく、一体として捉え、
これをオンラインにおける戦い方や競争原理から考える
コロナ禍で大学の授業もOMOに
BEFORE AFTER
知見も属人的で個人でPDCAを回す デジタル接点でのデータを共有
個別に改善 顧客体験の全体を改善
●アフターデジタル型産業構造(中国の例)
どのプレイヤーになっていくのか、という思考が重要
行動データ取得合戦になりがち
横串に入っていく
LINE とヤフーは決済プラットフォーマーを狙っている
●エクスペリエンス×行動データ
中国の状況を見るとデータについて目が行きがち
本質的に全てが体験指向であるからこそデータを集められていることが重要
「便利か、楽か、使いやすいか」 オフライン行動が全てデジタル
体験品質が生き残りを決める市場に データ化しその保有が鍵に
↓ ↓
データ取得を見据えたエクスペリエンス競争市場へ
アプリを入れても入れただけで終わりもある
ずっと使い続けてもらうエクスペリエンス
体験品質が生き残りに
ためた行動データのループをまわす
●アフターデジタル時代のアーキテクチャ設計
●アーキテクチャとは・・・
ローレンス・レッシグによる「行動変容をもたらす4つの力」
法 市場
規範 アーキテクチャ
UXはもともとウェブ状の体験設計力に過ぎなかったのが
OMOになると、「社会における行動モデルの提案」まで可能になり
社会アーキテクチャの一端を担える
●アーキテクチャのDe-Centralization
ミッションを伴ったアーキテクチャ設計を実現することが可能
信用スコア
信用証明ができない人々の行動履歴が溜まっていくと、水道代とかちゃんと払っているとか、どれくらい真面目にお支払いをちゃんとする人なのかが、わかるようになる
アリババのサービスや点数をためると、レベルの高い人だとみなされる
信用スコアという管理システムだとニュースだと言われているけど全然違う
国がやっているスコアリングは市民に公開されてない
アリババの点数は、罰則のあるサービスではなく、使うことで得られる
始め点数を高めるメリットで行動 → ゆくゆくは行動が内在化され始める
物を買え、ゲームするなというアリババ
アリババVIPサービス 950点がMAX
650点以上ある人がホテル泊まる時に、Depositが不要になる優遇がある
お金も借りられたり、いい行動していると証明される
今まではいいことをしても騙される可能性が大きかったのが
デジタルを通して、いいことをする人が増えるようになった
行動データが残るということもあるけど行動が変わって行った
タクシー会社のDiDi 評価システムが秀逸
中国のタクシーは、非サービス業だった
UXをベースにスコアリングされている
ドライバーが儲けようとすればするほど、ユーザー体験がよくなる
リアルと直結させることができなかった。
OMOになってくると、リアルとデジタルが融合していくと、
人々の考え方まで変わってきている
デジタルとリアルが融合する社会では、テクノロジーとUXの力を最大限使うことで企業体が自社ミッションを伴ったアーキテクチャ設計を実現することが可能になっていると見ることができ、中国でその例は見られつつあるこれは国主導ではなく、起業家の精神性によるもの。
よりよい環境をつくっている企業家
●同時に存在するリスク①ナッジ/ 生權力の悪用
従来から生權力と言われるような
「構成員をより良く生かすような管理・統治の仕方」や
体験設計上のテクニックともいえる「ナッジ」など、
自由を奪ったり誘導したりする能力を発動することも可能
McDonaldの長居させない硬いイスはある意味「ナッジ」
●同時に存在するリスク②データに対する勘違い
デジタルリテラシの低い日本では、テクノロジーの射会発展を止める方向
●自己実現を選択可能な「開かれたLiberty」を持つ社会へ
「人が、その時々で、
自分らしいUXを選べる時代へ。」
企業体が規範を外部化したアーキテクチャを持ち、エンドユーザーを含むスウテークホルダーそれぞれが「搾取」を感じずメリットを感じることができ、そうしたアーキテクチャが競い合うことでチャーターシティのようにアーキテクチャを移動する状況に作るかが、日本的アフターデジタルのアーキテクチャ構造の方向性ではないか。
●長谷川先生が藤井さんにオススメしていた本
●日本が目指しうるアフターデジタルの方向性
中国では「負からの解放」を軸にプラットフォーマーを作れたが、多様化しってマスがなくなり、人口も多くない日本においてこの実現難易度は高い。一方で、意味合いを含み、生き方や自己実現を助けるよううな「Libertyを獲得する方向」を促進することは、日本らしいデジタル社会発展と言えるのではないか。
自由 Liberty to = 自らを由縁とする生き方 → 意味レイヤー
自由 Free from = 負や不から解放される → 便利レイヤー
下はアリババがやっていき、上はアーティストがやっていく求められている
意味レイヤーを武蔵美CLはやっていく
自分の研究にもあてはめて、中間発表の学会発表用フォーマットに合わせてまとめる資料も意味レイヤーとダブルループで考えていきます。
スマートシティ 概念 その国が持っているペインをどう解決するか
中国では 医療・行政 人が多いので混む テンプレートになっている
中国平安保険(Ping An Insurance Company of China, Ltd.)
モノを作る機能マスプロダクションではなく、作る人がサービサーになっていい。下請けではなく、メーカーが顧客と直接やりとりすればいい。
顧客と接点をもってなかった。
早速Kindleで本を入手し読みながら自分の研究にもあてはめてみると・・・
●従来型バリューチェーンだと、商品を買ってもらうのがゴールだった
→性能がいい、価格が安い、すぐ手に入る
●バリュージャーニー型
顧客が自己実現をしたり、今よりもよい生活をおくれることがゴール
商品ではなく、接点という 接点の一つ
バリュージャーニー型ビジネスを目指す
接点として、顧客とつながり、生活の中に取り入れる習慣を提供
ただ単に商品を出して終わりではなく、体験提供型として
モニターとなってくれたデータから考察し、今までの論文スタイルではなくCLらしいスタイルにしていけたらと!!!
目指すのは・・・
多様な自由が調和するUXとテクノロジーによるアップデート社会
UXと自由な精神の融合
多様な価値観に対応できる構造を作る
昨年も課題に合わせたタイムリーなゲストの先生の登場が多かったですが、今回も出版ホヤホヤのシェアをありがとうございました。
読者特典で、パワーポイントの資料も手をダウンロードできました!
動画コンテンツでも解説されてます↓