21.戯れ/ロレックスデイトナ アイボリーダイヤル化プロジェクト
W&W 2022でロレックスは私の予想を清々しいほど裏切ってくれて幕を閉じました。お騒がせしてしまい申し訳ございませんでした…
今回の本題
皆さん!クロノグラフ、使っていますか?
恐らく飾りになってる人が99.9%の機能でしょう笑
そこで!
高いお金払ったのに、この機能を持て余している人は、これで少し遊んでみませんか?
あなたのお手持ちクロノグラフは、計器としてどれほどの精度なのか?一緒に確認してみましょう。
まず、機械式のクロノグラフを機能として使用する人は超少ないため、問題に感じる人は少ないですよね。
しかし、実際使用すると、これは問題になるケースが多いのです。
Chrono Test.
お手持ちの機械式クロノグラフで以下をやってみてください。
クロノグラフにて、4分進む間に、以下のタイミングで4回針を止める。
その時の30分積算計の値を記録してください。
※コメントいただく際はぜひ以下の情報も併せてご記入頂くと皆さんの参考になります。
・時計メーカー
・機種
・ムーブメントキャリバー
以下?部分に30分積算計の針の位置を記入(この数字は28,800振動/hのムーブメント想定ですのでお手持ちの時計に合わせて、目視レベルの大体でOKです。ただ、必ず00秒を超えないように59秒以内に止めてください)
・1分00秒00【?】
・1分59秒25【?】
・2分59秒50【?】
・3分59秒75【?】
(目視で小数点以下1桁まで読み取りする。例:1.7)
さて、あなたの高級機械式腕時計の精度は高額なコストに見合うパフォーマンスはあるのでしょうか?
やってみた方へ
これをやってみてご自身のクロノグラフが計器として使えそうでしたか?
私の所感は、ほとんどのメーカーにとって、結局機械式クロノグラフが使うこと自体を想定していない設計なのでは?と感じました。
ただ、その中でロレックスは、地味にアップデートしてきているのが分かります。
本当に脱帽です。その結果は次の項です。
私の手持ちの5機種の結果は?
タイミングによって変わるのですが、だいたいこんな結果でした。
⌚️ロレックス デイトナ16520
Cal. 4030
・1分00秒00【1】
・1分59秒25【1.3?】
・2分59秒50【2.8】
・3分59秒75【4】
⌚️ロレックス デイトナ116520
Cal. 4130旧機
・1分00秒00【1】
・1分59秒25【1.3?】
・2分59秒50【2.5】
・3分59秒75【4】
⌚️ロレックス デイトナ116500LN
Cal. 4130新機
・1分00秒00【1】
・1分59秒25【1.3?】
・2分59秒50【2.5】
・3分59秒75【3.5】
⌚️タグホイヤー
ホイヤー02
・1分00秒00【1】
・1分59秒25【1.5】
・2分59秒50【2.5】
・3分59秒75【4】
⌚️ゼニス
エルプリメロ410Z
・1分00秒00【1】
・1分59秒25【1.5】
・2分59秒50【2.5】
・3分59秒75【4】
これを見て、私の所感を良く分かって頂けたかと思います。
これ、計器として使おうとすると…
例えば、「2分59秒50」を測った時に、30分積算計は【3】を指し示していれば、3分59秒50と読み違えてしまいます。
つまり、スピード計測なんてこんなのでやってたら…1分も間違えたら大ごとですよね!何がモータースポーツ・計器としての信頼性だよ…笑わせます。
しかし、ロレックスですら、かつては59秒75の計測だけはズレてしまっていました。自社開発ムーブメントにしてもそこは中々調整が難しかったのでしょうね。最新版ではここがしっかり修正されてきています。
こんな細かい事誰が気にすんねん!
ですが、メカニカルフリークはやっぱ気になるんですよね…なんか。
そして、これが量産型実用クロノグラフの最高峰と言われるデイトナの凄さです。
ここまで機械としても攻めた上、自社開発ムーブメントを年々作り込みを高めており、時計技師も唸る発明をほとんど宣伝もせず当たり前のように詰め込んでいます。
しかも価格は160万円程度の定価です。
この価格で、この機械。
更にこの加工精度。他社なら3倍以上の価格でも販売は不可能でしょう。
計器としてもしっかり信頼性を保った名機デイトナは時計業界で尊敬される自動巻クロノグラフの最高峰ですね。
プレ値は仕方ないクオリティです、しかもカッコ良い。
ちょっとネットでロレックスは金持ち騙してるショボいメーカー!とか、二流ブランド!なんて書き込みを未だにた見かけるので、少し正しい情報をと思ってお伝えしてきました。いかがでしたでしょうか?
今の時計業界のクロノグラフは、マーケティング戦略とエボーシュ問題で、「自社開発」と表記できる事が目的となっています。結果、性能や精度なんて二の次になっている印象です。カタログスペックだけは盛って価格を安く見せているのがこういったところに滲み出ています。
そして、ロレックスがどれほど凄いのか?これは多くのメーカーが手を抜いてる・ムラがある箇所です。
ここを見ると自社開発クロノグラフムーブメントが、世間の風潮として手放しで凄いと言われてますが全く間違っていて、自社で徹底的に設計から追い込まなければエボーシュの方が機能としても性能としてもメンテナンス性・信頼性全てにおいて良いに決まっています。
つまり、中途半端な自社開発ならエボーシュの方がコストパフォーマンス性が良いとは、こう言う事です。
これだけ情報が溢れかえっているのに、ガチマニアすら知らない新事実。
密かにこんな細かい設計部分までアップデートするのがロレックスなのです。計測機として考えた上で実は4130でも、116500版と116520版の新旧では設計が違ったのです。
やってみると分かりますが、116500だと00秒で30分積算計が一目盛動きます。59.75だとまだ、次の目盛りまで動ききっていません。
他の設計の甘いムーブメントだと59.25秒には次の目盛りに動いていますね〜。
これが自社製クロノグラフの強みです。こう言った設計調整も、ムーブメントの改修で対応可能です。
設計が他社のムーブの場合、こうは行きません。現にエルプリメロデイトナでも59.75秒で、タイミングによっては次の分に進んじゃってました。
新4130では確実に分針が踏みとどまる設計です。
それもそのはず!なぜなら00秒超えても0.5秒程度、分針はステップしないように設計されているからです。
これのおかげで、絶対に読取時に誤りは起こらない設計になっています。
これを確認するために、5機種を停止せず流しでクロノグラフを動かした際の分針ステップを一緒に見てみましょう。
スーパースローで撮影してみました。これを見ると、新4130以外は00秒時点で分針がステップしているのがよく分かりますね。ぜひ動画でご覧ください!
まとめ
ロレックスの実用性への弛まぬ努力と姿勢に驚きました。そしてもう一つアナログ機器との向き合い方が伝わればいいなと思いました。
それはご自身のクロノグラフの分針や時針ステップの癖を、この機会に確認しておき、実際使用する際はそこを考慮して時間計測をするという姿勢です。デジタルで失われている感覚ですが、これまでずっと、それがアナログ機器と付き合う当然の姿勢でした。
例えば調理に使用するオーブン。これも、レシピの設定温度通りで作ったはずなのに火の入り方がいまいちだったりします。オーブンの性能が良くない!と買い換える人もいますが、オーブンが蓄熱する能力が弱いのなら、設定温度を+5度上げてみる、それでも駄目なら次は+10度…そんな感じでオーブンとじっくり付き合う姿勢で使いこなしていくと、新しいオーブンを買うのが嫌になります。また違う癖が見つかるのがおっくうですし、性能が悪いはずのそのオーブンの癖を知り尽くしているとかえって使いやすくなっていたりするものです。
癖を知り、それを含めて使いこなす事で使いやすくなり、愛着に繋がるのもです。それは時計だけではないですよね?
デジタル全盛の今だからこそ、そういったモノと向き合う姿勢を忘れたくないなと思うのです。
🔴今月の定点観測。アイボリー化の進捗を確認していきましょう。
※このPDP、スピンオフ動画になりました。YouTubeで公開中。お時間あればご覧ください。
次回予告⏩
● ロレックスデイトナ アイボリーダイヤル化プロジェクト/22.未定
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