この料理家のレシピが天才すぎる⑰鳥羽周作さん編/高山惠
私はフリーライターとして仕事をするかたわら、夫と高校生と小学生の子どもとともに生活しています。ありがたいことに原稿などの締め切りに追われる毎日ですが、夜になるととりあえず仕事を切り上げ、台所に立って夕食をつくっています。
そんな自分にとって日々助けになっているのが、SNSなどでみかける「誰かが作った美味しそうなレシピ」。簡単で美味しそうなレシピをみつけては「いいね」を押して、いつでも確認できるようにするのがライフワークとなっています。
いろいろ吹っ切れた鳥羽周作さんから目が離せない
こちらのnoteで私が記事を書いたのは、ちょうど半年前。それから間もなくの2024年1月から私が一番注目している料理家の方は、間違いなく鳥羽周作さんです。
鳥羽さんは2018年に代々木上原にフレンチレストラン「sio」をオープン。以降、ミシュランガイド東京2020から4年連続1つ星を獲得し、コロナ禍ではTwitter(現X)で「#おうちでsio」のハッシュタグを付けたオリジナルレシピを公開。当時からSNS界隈でも人気を博していました。私も「#おうちでsio」で公開されたパスタのレシピはいくつかチャレンジしており、中でもお気に入りだったのは「無限パスタ」です。
簡単で美味しくて、こちらのnoteでも紹介したいなと思ったことがありましたが、鳥羽周作さんのようなビッグネームをここで取り上げるのはふさわしくないような気がしていたのです。
しかし2023年6月以降はいろいろあって(詳しく知りたい方はネットなどで検索を)Xは更新されなくなってしまいますが、およそ3ヶ月後の2024年1月に再開。そこから怒涛のように更新される鳥羽シェフのレシピが、とにかく吹っ切れていて目が離せないのです。
まずは復帰第一弾としてYouTubeで更新された、こちらの「無限納豆キャベツ」。
鳥羽シェフは「うましうま男」として登場。「今一人暮らしで一番ハマっている」「週8回食べている」ということで紹介されたのですが、これが本当に“料理しない男性の一人暮らし飯”という感じの、革命的な素晴らしいレシピだったのです。
千切りキャベツが秒で消える!SNSでも大バズり中
必要なものはスーパーやコンビニなどで売っている千切りキャベツと納豆、卵。調味料はめんつゆのみ。調理方法はキャベツをレンチンでしんなりさせ、付属のタレを入れてかき混ぜた納豆と卵黄をのせるてめんつゆをかければ完成。お好みでごま油とネギをかけても良し。
これを全部混ぜてスプーンを添えてテーブルに出せば、家族があれよあれという間にご飯にかけて食べていく。1人暮らしだったら直でご飯にかけてもいいし、お酒のおつまみにもいいかもしれません。SNSでも「無限納豆キャベツ」で検索すると、実際に作った人の報告が次々と出てきました。本当に現在進行形で愛されているレシピなのです。
このレシピがすごいのは“鳥羽周作”というミシュランシェフの気負いが一切感じられないこと。YouTubeのキャラクターでいえば、鳥羽周作ではなく「うましうま男」のレシピなのかもしれません。
ちなみにもうひとつYouTubeレシピでお気に入りといえば「めんつゆチーズのワンパンパスタ」。こちらは「うましうま男」ではなく「アル・デンテ」として登場していますが、クセになる美味しさは同じです。
味付けはめんつゆ、チーズ、バターのみ。もう、こんなレシピを惜しげもなく公開してもらっていいのでしょうか? 心配になります。
私はあくまでも人気レストランのシェフという顔を崩さなかった(ように感じた)、騒動以前の鳥羽周作さんのレシピも大好きでした。でも現在のいろいろ吹っ切れた鳥羽さんのレシピをみると、そういった気負いが一切ない。料理というものはこんなにも自由で楽しいものなんだということをより感じます。千切りキャベツと納豆と卵をかき混ぜただけなのに、こんなにも美味しくて楽しい。こんなレシピを惜しげもなく公開できるのは、本当にすごいと思うのです。
今度はレシピだけではなく、鳥羽さんが厨房に立つレストランにも必ず足を運び、そこで本流の料理も食べてみようと思っています。いつか、そのレポートを記事にするのも良さそうです。
(つづく)