ALTÆR CARNIVAL主題歌『ゲシュタルト/花譜』MV謎解き解説
こんにちは、リー猫と申します。
2024年5月22日、花譜さんのEP「GSA」が発売され、同日20:00に収録曲のひとつ『ゲシュタルト』のミュージックビデオが公開されました。
「ゲシュタルト」は『Project:;COLD 2.0 case.674 ALTÆR CARNIVAL』のテーマソングとして採用され、作品内でデスゲームが行われた会場(茨城県:さしま環境センターごみ処理場跡地)にてミュージックビデオ(以下、MV)の撮影が行われました。
また、MV内には第四境界が監修した難解で複雑な謎解き要素があり、一度視聴しただけでは絶対に答えに辿り着けないような仕掛けが施されていました。
本記事では、ゲシュタルトのMVに仕掛けられた謎解きの解法をステップごとに解説していきます。各要素に使われた手法や、必要なツール等も紹介していますので、今後の謎解きの参考になれば幸いです。
※主にProject:;COLDの公式Discordで解かれた経過をまとめた記事になります
1.一瞬現れるQRコード
MVの2:01付近、花譜さんがモニター内に現れた直後に2フレームだけQRコードが映りこみます。
動画は24FPS(1秒間に24フレーム)なので、僅か0.1秒にも満たない間だけ表示されるこのQRコードに気付くこと自体がまず難しいです。
※パソコンからの視聴の場合、一時停止して「、」「。」キーを押すとフレーム単位でコマ送り、コマ戻しができます。
QRコード自体がかなり小さいため、最高画質(2160p)に設定しないと読み取れない可能性があります。
2.base64デコード
QRコードをスマホのカメラ等で読み取ると、以下の文字列が格納されています。
これはbase64という形式でエンコードされた文字列です。
base64とはインターネットで最もよく使われる形式で、バイナリデータをテキスト形式しか扱えないアプリケーションやプログラムに伝送するために用いられます。データを64個の英数字を用いて変換するため、この名称が用いられています。
解読系の謎解きで意味不明な文字列が現れた場合、何らかの形式で変換されていることを疑うのですが、今回は末尾に「=」が付いていたためすぐにbase64を特定できました。(元データに記号や数字が含まれると「=」が付く?)
取り出した文字列を、ツールを用いて変換します。
「base64 変換」などで検索すれば、すぐに複数のツールがヒットするはずです。今回はいつも使っている「ラッコツールズ」さんのデコードツールを使わせてもらいました。
デコードの欄(右側)に先ほどの文字列をコピペして「Base64デコード」のボタンをクリックすると、左側に変換結果が表示されます。
現れたのは複数の四角が組み合わさった図形。
どうやら「スケルトンパズル」のようです。
3.スケルトンパズル
スケルトンパズルとは、骨組み(スケルトン)となるマスと、それに当てはめるキーワードからなるパズルゲームです。
クロスワードとよく似ていますが、キーワードを当てはめる位置が指定されていないため、文字の交差する位置や文字数から推理する必要があり、独特の難しさがあります。
しかし、base64のデコードで現れたスケルトンには肝心のキーワードがありません。
そこで注目するのは「ゲシュタルトの歌詞」です。
歌詞の中でカタカナ表記されているのは上記の10か所のみ。
そして、先ほどのスケルトンのキーワード数も10個でした。
当てはめてみると、文字数と交差する位置が下記のようにぴったりと収まりました。
ゲシュタルト公開後まもなく、謎解き制作の第四境界が1件のポストを投稿します。
スケルトンの「B1」にあたる文字が「ホ」であるため、スケルトンの解き方はこれで間違いなさそうです。
4.モールス信号読み取り
次に、MVの2:18(どっかーん)から十数秒間、画面の四隅が激しく明滅している部分に注目します。
動画の再生速度を落とし(0.25倍まで)この部分をよく観察すると、短い表示と長い表示が組み合わさっていることに気付きます。
これはモールス信号になっており、短い表示を「・」、長い表示を「ー」、表示のない空白部分を「 」として表すと下記のようになります。
これをモールス信号の変換表に当てはめて変換していきます。
すると『H6,J4,I1,J4,B3』という文字列に変換できました。
5.シーザー暗号解読
アルファベットと数字は、先ほど完成させたスケルトンに対応しています。
『H6,J4,I1,J4,B3』に位置する文字を取り出してみます。
すると『タナキナミ』という言葉(?)になりました。
しかし、そのままでは意味を成しません。
そのため、この言葉をシーザー暗号化されたものとして復号を試みます。
シーザー暗号とは、元の言葉の各文字を一定の文字数分ずらして暗号化する最もシンプルで広く知られた暗号方式です。
下記のサイトの「全パターン」のボックスに「タナキナミ」と入力し、ボタンを押すと1~46まで文字をずらしたパターンが一覧表示できます。
シフト数11文字の部分を見ると『ヒミツミロ(秘密見ろ)』という意味のある言葉に変換できることが分かります。
結果としてこのステップの答えは『秘密見ろ』なのですが、これといった動線もなく唐突にシーザー暗号が現れるので、若干不自然に思うかもしれません。
しかし、実はこのギミックには伏線がありました。
「ゲシュタルト」がオープニングテーマとして流れた『ALTÆR CARNIVAL』内のあるゲームで、クロスワードからピックアップした5文字をシーザー復号するという、今回と同様の問題が出題されていたのです。
詳しくは、下記の記事の<問題③>をご参照ください。
恐らく、このステップはALTÆR CARNIVALのセルフオマージュではないかと思われます。
解法を見てピンときた融解班(Project:;COLD参加者の総称)も少なからず居たのではないでしょうか。
6.『秘密』に隠された文字
『秘密見ろ』というメッセージが取り出せたものの、その言葉が指す「秘密」が何を表しているのか、なかなか判明しませんでした。
花譜さんの所属するV.W.Pの楽曲に「秘密」というタイトルがあったり、ゲシュタルトと同じくテーマソングに採用された雨宿りさんの楽曲も「秘密」というタイトルです。
しかし、この「秘密」はゲシュタルトの歌詞を意味していました。
ミュージックビデオ内では、すべての歌詞がデザイン化された文字で表示されていますが、その中の「秘密」という文字を拡大してみると、そこにURLが記載されていたのです。
(非常に薄い文字のため、最高画質で一時停止して明度の加工等を行いました)
7.融解完了へ
読み取ったURLをブラウザに打ち込むと、下記のサイトが表示されます。
第四境界のロゴの下には、”正解”を漢字3文字で入力するフォームがあります。
入力すべき”正解”は、ゲシュタルトを一度聴いた方ならすぐに思いつくはずです。とても印象的なフレーズでしたので……。
無事に”正解”が入力出来ると、クリアを示す「融解完了」のページが表示されます。
これにて、謎はすべて解き明かされました。
文字の下にあるバーコードとQRコードが混ざったような不思議な図形は、医療機関や空港等で使われる「PDF417」という形式の二次元コードです。
こちらも、ツールを用いて読み取ることができます。
読み取り結果に表示されるのは下記の文章です。
「シラノ」とは、Project:;COLDにおいて度々登場する謎の存在です。そして「ホワイトコープ」はALTÆR CARNIVALにて明らかとなった、シラノ復活を目論む謎の集団を指しています。
ゲシュタルトに仕込まれた謎解きの最後に現れたのは、Project:;COLDの次回作へ繋がるメッセージでした。
※Project:;COLDについては筆者の他記事で詳しく解説していますので、よろしければそちらもご参照ください。
8.最後に
Project:;COLDにおけるミュージックビデオの謎解きといえば、やはり初回公演のテーマソングに採用された「ずっと真夜中でいいのに。」の『勘ぐれい』です。
映像に隠された二つのQRコードを読み取る、というシンプルな仕掛けではあったものの、当時はその斬新すぎる手法に大変驚きました。
(思えばQRコード読み取り→base64デコードの流れは「勘ぐれい」へのリスペクトかも知れませんね)
しかし、わずか3年半でここまで進化するとは……。
謎の手法はもちろんですが、歌詞とリンクさせたり、"正解"というフレーズを取り入れたりといった演出面も素晴らしかったです。
次々と新しい驚きを創り出す第四境界から、今後も目が離せそうにありません。
ゲシュタルトの楽曲自体も、花譜さんの歌唱と川サキさんをはじめとしたイアリンさんの映像がマッチしていて、とてもとても魅力的でした。
きっと何度も見返すMVになると思います。
謎解きのために、すでに100回くらい見ていますが…笑
結びに、この難解な謎をわずか二時間で解き明かした精鋭融解班に最大限の敬意を表して、本記事を閉じたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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