日の名残り
タイトルそのまま。
カズオ・イシグロの小説。
昨夜読了。
オススメです。
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第一次大戦後のイギリス。
外交にたずさわるダーリントン卿。彼につかえる執事スティーブンスが主人公の物語。
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品格を追い求め、仕事に人生を捧げる。
あまりにストイック。ゆえに彼を恋い慕う女中頭の恋心もわからない。いや、わかっているが品格の追求を優先し、一線をこえることがない。
その気高さ。愚かさ。
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旅先で「あの時こうしていれば」と、違う人生をかえりみる。卿の失墜。女中頭と結んでいたかもしれない生活。後悔と、納得がせめぎあう。やがて自己を受け入れる。
そして思いいたる。
ジョークの技術がたいせつだ。
私にはジョークが足りなかったんだ。
そろそろ本腰を入れてジョークの研究をすべき時期にきている。
というジョークのような独白。
そこに老執事のさわやかさを感じた。
読み終わるのがもったいない、質のたかい物語。秋の夜ながにオススメ。
以上、今日も「考える葦」に来ていただき、ありがとうございました☺️