LCCとFSCって何が違うの?? 前編
はじめまして、Ree Stoneです。気軽に「リーさん」で覚えて頂けると光栄です。
私は飛行機が大好きで、そこから民間航空業界や、社会•経済の動向を日々見つめています。
そこで私の所見や各種記事を踏まえて、航空系の文章を稚拙ながら書いていこうと思います、よろしくお願いします。
さて、記念すべき第1回ですが、何を書こうか...と悩んでいた折、学生時代の後輩から、
「普通の航空会社とLCCって何が違うんすか?なんでLCCってあんなに安いんすか??」
ということを尋ねられ、それを書いてほしいと言われました。
ですので、ありきたりなテーマですか、
FSCとLCCの違いは?
ということでやっていきたいと思います。
テーマの性質上、LCCの説明が主(というか8~9割...)になってくるかと思われます。
長文になるので、章の終わりと最後に全体を簡潔にまとめました。
そちらを読んで頂けるだけでも違いがわかるのかな、と思います。
1.用語説明
FSCとは Full Service Career(フルサービスキャリア)の略で、日本人の多くが思い描く、
・機内でドリンクサービスがある
・大きな手荷物は無料で預けられる
・振替便やキャンセルの融通が利く
といったことを行っている、主に何十年も存在しているような航空会社です。
日本の航空会社だとJALやANA、海外だとシンガポール航空やアメリカン航空、エールフランス等ですね。
こういった航空会社は100年近くの歴史を持っていることも多く、「レガシーキャリア」と呼ばれることもあります。
このあとの文で「FSC」と出てきたら、JALやANAと思って頂いて大丈夫です。
一方のLCCは、Low Cost Careerの略で、日本語だと「格安航空会社」と呼ばれます。
日本の航空会社だとPeachやジェットスター、春秋航空、海外だとエア・アジアやスクート、ライアンエアー等です。
特徴としては、とにかく航空券が安い。これに尽きると思います。
あとはFSCと比べると、広告効果や印象を強くする為に塗装が派手なことが多いですね。
それでは、どうしてLCCはあんなにも航空券が安いのか、説明していきましょう!
ではこの章のまとめです。
・FSCはJALやANA、LCCはピーチやジェットスター
・FSCは「Full Service Career(昔からあるサービスが手厚い航空会社)」
・LCCは「Low Cost Career(格安航空会社)」、とにかく運賃が安い
2.LCCはなぜ安い?
では皆さん、どうしてLCCはあんなにも航空券が安いのか、不思議でたまらないのではないでしょうか?
答えは簡単、コストカットと、サービスの有料化です。
この二点を軸に説明していきますね。
・コストカット
LCCでは、見えない様々な部分でコストを切り詰めています。
まずは空港。
ピーチやジェットスターに乗るとき、都市部から遠い成田や関空まで行く必要があり、空港に着いた時点で疲れた…といった経験をされた方は多いでしょう。
実はこれらの空港は、着陸料や施設使用料が、羽田や伊丹といった都市部に近く、利便性の高い空港に比べて抑えられるのです!
成田は羽田の再国際化による国際空港としての地位低下、関空は利用者減による就航便の減少が課題となっていました。
そこで、着陸料の値下げや優遇、簡素な作りにしてコストを削ったターミナルを建設し空港使用料を安く抑え、LCCを呼び込むことにしたのです。
その施策が功を奏し、国内資本のLCCは勿論、近隣アジア等の多くのLCCが就航するようになり、両空港は活気づいています。
成田の第3ターミナルがあのように配管がむき出しだったり、チープに思えるような作りなのは、そういった理由だったのです。
そういえば、ラウンジなんかもありませんし、売店も少なかったりしますよね。
次に使用する飛行機。
導入する飛行機を1つにする、もしくは兄弟機等共通性の高いものだけで構成されていることが多いです。
そうすることで、整備に必要な部品を共通化することができ、管理や作業効率の向上によりコストを抑えることができます。
そして、パイロットの人員も、多くの機材を運用するFSCに比べ多く抱える必要がなくなります。
飛行機というのは、機種によって資格が違います。
ですので、機材が1つだけだと、パイロットの資格の把握が容易になり、シフトのやりくりがしやすくなり、会社で抱える人員を抑えることができますよね。
また育成においても、例えばフライトシミュレーターの導入1つとっても、少なくて済みます。
「LCCって、おんなじ飛行機ばかりだなあ」と思っている方、それにはこれまで述べたような理由があるのです。
また、LCCは1機あたりの座席数がFSCの同じ飛行機と比べて多いです。ですので、座席の前後間隔が狭めになっています。
航空券が安いので、少しでも多くの利用者を乗せないと、元が取れないですよね。
最後に、航空券。
LCCは基本的に「自分達で直接」航空券を販売することを基本としています。
日本の会社だと旅行代理店におろしてパッケージツアーで販売されていることもありますが、メインは自社のHPで、オンラインでの販売です。
これは、旅行代理店への奨励金やその他中間マージン費用を削減し、利益を少しでも直接自分たちのところに入るようにしているのです。
インターネットが世界的に普及した近年だからこそできるコストカット策ですね。
この他にも、自社オフィスの簡素化や座席・機内設備の簡略化、果ては節電といったところでもコスト削減を行い、利用者に少しでも安く利用してもらおうと努力しています。
・サービスの有料化
LCCを利用した方の中には、「飲み物出してくれないの?」「預け手荷物有料!?サービス悪くない??」と思った方も多いと思います。
FSCでは当たり前のサービスも、LCCでは有料であることが多々ありますよね。ブランケットを有料にしている会社もあります(!)
航空券自体の値段を下げ、FSCのようにそこに含まれるサービスをオプションとして提供しているのも、LCCの大きな特徴と言えます。
FSCでは無料でも、LCCで有料になるサービスとして、以下のものが挙げられます。
・預け手荷物
・機内でのドリンク
・ブランケット(航空会社による)
・座席指定
・カウンターでの航空券の購入
・国際線だと機内食
この他にも、国内線でも航空券の購入時に空港使用料が別途必要になり、最初に見た運賃より支払額がプラスされていることも普通です。
ですが、これらのサービスがなくても移動できればいいという方には少しでも航空券が安くなるならむしろプラスですし、全員にサービスする必要がない分、CAさんのオペレーションも少なくなり、効率的かつ負担が少なくなっていいなと思います。
むしろこれらのサービスを不要だと思う方もいらっしゃるので、選択できることが多いという点では、FSCより分があるのではないでしょうか。
ちなみに、私がよく利用するジェットスターでは、国内線で+2000円で10キロまでの手荷物を預けられるオプションがあり、こちらはなんと500円の機内で使えるバウチャー(クーポンのようなもの)がついており、これで飲み物やインスタントヌードルを購入することができます。
このオプションを選択してもFSCよりはかなり安く済みますし、少なくとも日系のLCCのCAさんの接客はFSCと変わらずとても気持ちのいいものなので、個人的にはこのオプションはかなりオススメです。
それではこの章のまとめです。
・着陸料の安い、街から遠い空港を使用している
・使用料の安いターミナルを使用している
・おんなじ飛行機や、似ている飛行機をたくさん使っている
・座席をぎゅうぎゅうにして、1機あたりの旅客数を多くしている
・航空券を直接売って、余計な費用をかけていない
・預け手荷物やドリンクが有料、ブランケットが有料なことも
だいぶ長くなってしまったので、前後編に分けたいと思いますので、今回はここまで。
最後に今回のまとめです。
まとめ
・FSCはJALやANA、LCCはピーチやジェットスター
・LCCは空港が遠くターミナルが少し安っぽい
・飛行機はみんな一緒か似ている
・座席が狭い
・航空券はHPで直接買うのがベター
・手荷物を預けたり、ブランケットを利用するにもお金がかかることも
後編は一週間ほどでまたあげようと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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