靴を磨く
「明日のために靴を磨こう」
という歌がある。
僕が知っているのは、ミスチルの桜井さん率いるBank Bandが歌っているものだったが、実は1992年にHeatwaveというロックバンドが歌っていたようだ。
今、Heatwaveのオリジナル版を聴きながらこの記事を書いているが、歌詞にもメロディにも、とても90年代の日本が溢れている。
先日無事バイトが決まり、いよいよ明日から始まる。
どうやら黒い革靴が必要らしいので、日本で働いていたときに使っていた靴を下駄箱から取り出し、約2年ぶりに外の空気に触れさせた。
新卒1年目のときにボーナスか何かで買った、リーガルの靴だ。
僕がイギリスへ行っていたこの2年間全く使わず、手入れもしていなかったので、大丈夫なものか心配したが、まだ全然あの時のままだ。
ソールが減ったままになっているのと、左足のかかと部分が若干ほつれかけてはいるが、まだまだ使えるはず。
ブランクだった2年間を除けば、もうすぐ現役7年目に突入だ。
そんなわけで、2年ぶりの靴磨き。
埃を払い、くすみがかっていた古いワックスを落とし、新しい靴墨を丁寧に塗り込む。
手間はかかるが、意外と楽しい。
僕のために汚れた靴は、何度でも蘇る。
その靴に愛着があるか、と問われると、自信がない。
ただ僕は高いお金を払った分、元を取りたいだけなのかもしれない。
でも、靴磨きという行為は好きだ。
僕の場合、結局「明日のために靴を磨く」し、でも同時に「過去のためにも靴を磨いている」。
今は90年代ではなく、2024年なのだから。