Week 7

【今週の出来事】
11月8日~15日 授業+LfA French
11月8日 ポリシーレポート・ガイダンス


Academic skills workshop

◇ クリティカルシンキング②

グレタ・トゥーンベリのスピーチの動画を観て、彼女のスピーチ手法について、どのような要素で構成され、どこが良くて、どこが悪いか、分析するグループワークを行った。


Leading and Managing Change

Lecture

◇ 計画的改革(Planned Change)について

公的組織は、民間組織と比べて制約が多く、柔軟性に欠けるため、改革は計画に基づいて行われることが有効である。計画的改革の最も基本的なセオリーとして、カート・ルウィン(Kurt Lewin)の改革モデルが紹介された。

● ルウィンのモデルの4つの構造
① フィールド・セオリー(Field Theory)
② グループ・ダイナミクス(Group Dynamics)
③ アクション・リサーチ(Action Resarch)
④ 変化の3段階の工程(3-Steps Process of Change)

組織のメンバーの行動は、様々な「力」の作用の結果であるという前提のもと(①)、その「力」を生みだしている各種のグループの文化や規範、また、どのように「力」の作用を変えることでより望ましい行動を引き出す事が出来るかを分析し(②)、グループメンバーが適応可能な工程を模索し、最も適したものを選ぶ(③)。そして、これまでの慣習や文化を崩し(解凍)、計画を行動に移し(実行)、再び慣習や文化として定着させる(再凍結)という3段階に分けて改革を行うというもの。

Seminar

◇ SWOTとPESTLE
◇ トップダウンとボトムアップ(ケーススタディ)

● SWOT … Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats
● PESTLE … Political, Economic, Social, Technological, Legal, Environmental

SWOTもPESTLEも、組織内部や外部の要因を見える化することによって組織を分析する手法。これらのどちらかの手法を用いて、特定の組織を分析し、これらの手法が有効かどうか、というグループワークを行った。

ケーススタディは、「計画的改革はトップダウンかボトムアップ、どちらで行うことが有効か?」というもので、公的組織は「トップダウン」が有効な傾向があるという。


Theories of the Policy Process

Lecture

◇ Punctuated Equilibrium Theory(PET)について

公共政策における断続的均衡について。先週学んだMSFと並んで、公共政策での有名な学説の一つであるという。

政策は一定期間安定的に継続するが、それがある時突然急激に変化し、その後また一定期間安定的に継続し、突如急激に変化、という流れを繰り返すと主張するもの。いくつかの要因がこの主張を支えている。

● 限定的な合理性と下位組織による政策策定(Bounded rationality and Policy subsystem)
⇒ トップレベルの政策決定者も人間であり、社会全体の政策全てを処理するのは不可能である。
⇒ そのため、分野ごと、様々な下位組織が同時並行で様々な政策策定を行っている。
⇒ トップレベルで議論される政策は、世間の関心を大きく集める。

● 政策的独占(Policy monopoly)
⇒ 政策策定の裏側には勝者と敗者がいて、勝者の意見によって政策は支配される。
⇒ 勝者は、政策が安定して継続するように、政策に独占的な地位を付与する。

● 政策のイメージ(Policy image)
⇒ 個々の政策には、それぞれ「イメージ」がある。
例)原発:「クリーンなエネルギー」or「危険なもの」
⇒ 政策的独占の勝者が「イメージ」を支配する。
⇒ しかし、敗者側も世間の「イメージ」を挿げ替えることによって、政策的独占の勝者に成りあがる可能性もはらんでいる。

● 政策議論の場(Policy venue)
⇒ 政策議論の場は一つではない。
⇒ 特定の議論の場で政策的独占が確立していたとしても、場所を変えて議論することによって、独占を崩せる場合もある(Venue shopping)。
例)司法による違憲判断

Seminar

◇ PETの応用(ケーススタディ)
◇ 世間の関心

課題として出されていた「ニュージーランドの向精神薬規制」に関する論文記事を、PETを適用して分析するというグループワークを行った。
一定の検査に合格して安全性が確保された向精神薬の販売・使用を合法化して、これまで違法に行われていた薬物取引を政府の管理下に置こうとする試みで、議会ではほぼ全会一致の賛成で通った法案だった。しかし、常習使用者の反社会的行動に手を焼いたローカルコミュニティや、(試験で動物実験を伴うことから)動物愛護団体からの強力な反発を受けて、改正を余儀なくされたというもの。これらについて、政策的独占、政策のイメージ、政策議論の場の要素について分析した。

セミナーの後半では、Google Trendを使って、特定の社会的課題について検索。私のグループが与えられた課題は「人工中絶」で、検索をかけたところ、2022年の6月に極端に「人工中絶」にトレンドが集まっており、それはなぜか、グループで分析した。(ちなみに要因は、アメリカの最高裁で「人工中絶」について争われたことによるもの。)


Global Governance

Lecture

◇ 国際的な金融危機への対応

主に、国際通貨基金(IMF)の課題と役割についての講義。
この授業の担当講師の研究分野であることから、授業にかなり熱が入っていたし、いくつかの学説を紹介するスライドで学説の引用に「Me」とあったので少し笑ってしまった。

なかなかボリューミーな内容で、全体をぼんやりとしか理解できなかったが、IMFの職員数はたったの約3,000人で、長野県庁の一般行政職員の約半分の人数で世界の金融に影響を与えているという事実が個人的には衝撃的だった。

Seminar

◇ IMFによるガバナンス
◇ チェンマイ・イニシアティブ

いつもこの授業の課題図書は、論文記事を3つ程度読むだけで良い(といっても結構な量なのだ)が、今回は論文記事が13個も掲示されていた。さすがに諦めたし、どれを優先的に読めばよいかもわからなかったので、適当に1つ2つ読んで、セミナーに臨んだ。
ここまで専門的に掘り下げすぎると、セミナーの議論も盛り上がらないだろうと踏んでいたが、思いに反して盛り上がって、当然ながらついていけなかった。(このモジュールは、コースの専攻が行政学、国際関係学、国際政治経済学の学生たちが入り混じるもので、今回は主に国際政治経済学専攻の学生たちが活発に議論を行っていた。)

グループで私が正直に「そもそも、IMFについて知っていることが少ない」と話すと、韓国人の学生が「きっと日本はIMFにお世話になることがないからだよ」と言われた。(韓国はIMFによる救済を受けたことがある)


LfA French

◇ 街の紹介

郵便局や地下鉄といった、街に関わる単語を覚え、"Il y a ~"の形で「~がある」という説明の練習をした。文法を覚えるのは複雑に感じるが、単語を覚えるだけなら得意なのは、日本人だからなのだろうか?
何はともあれ、みんな初心者でワイワイ学んでいくこのスタイルは、楽しくて好きである。


ポリシーレポート・ガイダンス

修士論文扱いとなるポリシーレポートについて、主に今後のスケジュールについての説明がなされた。

11月末  プロポーザルの提出(50字)
1月末頃 指導教官の割り当て
3月中旬 指導教官へのプロポーザルの提出(1500字)
6月初頭 指導教官へのサンプルライティングの提出(2500字)
9月1日 最終提出期限


Week 7 総評

個人的な授業の好みと、得手不得手が一致しない。
私の場合、

Leading and Managing Change
⇒ 好きだし、得意

Theories of the Policy Process
⇒ 好きでも嫌いでもなく、得意でも苦手でもない

Global Governance
⇒ 好きだけど、苦手

Global Governanceという授業やテーマ自体にはかなり興味があるのだが、理解度という点で見ると、他の2つの授業と比べてかなり遅れをとっている。知識や経験などのバックグラウンド的な要素もあるだろうが、そういえば学部時代の「国際関係論」も好きだったけど苦手だった。国際関係論や国際政治経済学とは単に相性が悪いのかもしれない。
だからといって単位を落とすわけにもいかないので、全体的な理解よりは、どこかポイントを絞って、そこだけでも理解できるようにしたい。


少し前まで、勉強にばかり気持ちが向きすぎていて心が荒んでいたが、今週は本来の自分を少し取り戻せた気がする。この調子で来週も頑張ろう…!


朝のRiver Ouse

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