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転職25回 〜12回 Vol.1〜

前回までのあらすじ
・新卒でブラック企業に就職したものの、約2ヶ月で退職。
・IT企業に就職するも、借金返済が追い付かずに退職。
・ソープランドに転職。過酷&ハイリスクなので退職。
・ボッタクリヘルス店。天才的詐欺師の才能を発揮するが1日で退職。
・イメクラ勤務。風俗嬢Tちゃんとの同棲を解消しボロアパート暮らし。退職。
・探偵に憧れて、なぜか警備員。飽きて退職。
・高給に釣られてケーブルテレビの飛び込み営業。心が折れて退職。
・再びIT業界。カチャカチャしている内に心の傷が癒えて再び探偵を目指し退職。
・バイク便。ロシア大使館の車両とクラッシュで恐ロシア。退職。
・ADSLサポートコールセンター。金髪になる。飽きたから退職。
・なぜかホストクラブ勤務。ニワカホスト瞬クンとしてデビューするも1日で退職。
・路上でADSLモデムを配布。高給な仕事を紹介されて退職。

前回までのあらすじが長すぎて意味不明になってきましたので、さらに要約します。

20歳そこそこで大借金をしてしまい、高給な(つまり結構キツイ会社)ばかりを転々としています。
モチベーションは昔からの夢である「探偵」になること。たまにモチベーションが消えて意味不明な転職をします。

さて、数年間に渡って「心身ともにボロボロになるストレスフルな仕事」ばかりやりました。
特別な資格が無く、高学歴でもない自分にとっては、借金返済のお金を稼ぐためにはそのようなちょっとハードなお仕事をすることでしか高給を稼ぐ方法が無かったのです。まぁ、ストレスが溜まるクセに低賃金の仕事もありましたが…それは自分が選んでしまった道なので仕方ありませんな。

とにかく、そんな感じで頑張る若者を、神様が見ていたのでしょう。
以前一緒に働いていた人から、なんとも信じられないよう夢のようなお仕事が舞い降りてまいりました。
なんと日給1万4千円。しかも、残業をすると残業代までもらえるというホワイトさん。
やることは超簡単で、少しばかりパソコンをいじれるのであればOKとの事。
ちなみに大手企業のお仕事です。派遣社員ですが、別に文句はありません。

派遣社員なので例のごとく面接らしきものはありませんでした。あったかな?忘れました。

さて、いよいよ出勤です。
ここからは、だいぶ退屈な仕事の話が続きます。寝落ちしないように気をつけて下さい。

仕事内容は、「光ファイバーをマンションに引き込む前に、引き込むルートを調査する仕事」でした。
N社の子会社の仕事です。光ファイバー+N社なんて、隠しているようで全く隠していないのですが、まぁ気にしますまい。
この当時、まだ光ファイバーが引き込まれていないマンションがたくさんありました。外から細い配管の中を通して光ファイバーを引き込み、マンションのMDF(各お部屋の電話回線が集まってる鉄のボックス)の近くまで持ってきます。MDFの近くに、これまた鉄のボックスを新設し、その中にVDSLモデムという機器を設置するのです。あとはVDSLモデムと各お部屋の電話線を繋げて、ようやく各お部屋の電話回線を使ってインターネットができるのですね。うわーい。

この方法の問題は、外から細い配管の中を通して光ファイバーを引き込めるかどうか…というところです。
この細い配管というのは、すでに電話線やケーブルテレビの同軸ケーブルなどが入っています。光ファイバーはとても細いのですが、本当に入るかどうかはやってみないと分かりません。それと、大きなマンションになると配管がどのようなルートを通って外からMDFまで行っているのか分からない場合があります。光ファイバーを引き込む工事のたびに調べていたのでは、大きな時間のロスとなります。

そこで登場。我々、日給1万4千円の派遣戦士。
我々は光ファイバーを引き込む予定のあるマンションの現地調査部隊です。
外からマンション内のMDFまで光ファイバーが通せる配管があるのか、どのようなルートなのか、あとVDSL装置を入れておく鉄のボックスを設置するスペースがあるのか、VDSL装置を動かす電源はあるのか…。そんな所を、工事の前に事前に調べるのですな。

だから、実際の工事はしません。光ファイバー?触ったこともありません。そんなレベルです。

仕事は2人1組で動きます。
現場に到着しましたら、まずはお外で活動。光ファイバーを入れる入口である配管を探します。まぁこれは簡単。電話線の出入口を探せば良いだけです。
無事に配管の入口を見つけたら、「通線器」と呼んでいた、我々にとって唯一無二の武器を用意します。
ご存知ですか、通線器?良く工事のオジサマが持っている黄色い半円の筒に、黒やオレンジ色の太いワイヤーがグルグル入っているヤツです。
あのワイヤーを細い配管に突っ込み、奥へ奥へと送っていくのです。
ほとんどの場合はそのままストレートにMDFに行くような事はありません。何度か中継地点を経由して、ようやくMDFへと貫通します。
この中継地点というのが厄介で、時にはマンションの地下に降りていかないといけない事がありました。
後で知ったのですが、マンションの地下はガスが溜まっていたりして結構危険らしいのですが、我々はそんな事を教えてもらうこともなく、普通に地下へ潜入していました。

一番困ったのは、細い配管の途中でワイヤーがピクリとも動かなくなってしまった時。
先に進めないのは仕方がありません。「光ファイバー導入不可」という結果を伝えるだけです。しかし、ワイヤーが引っこ抜けないと通線器をしまうことができず、帰るに帰れません。仕方がないので、最終的にはニッパーでワイヤーをぶった切りました。おそらく、今でも細い配管の中に「ぶった切られたワイヤー」が入ったままのマンションがいくつもあると思われます。

ここまで書いて、当方もだいぶ眠くなってきました。
なので少し話を脇道に逸らしてみます。
「前回までのあらすじ」を見れば分かるのですが、最初の方に風俗関係が続いたりしており、この辺はだいぶ刺激の少ない仕事の話ばかりです(1日ホストがありますが)。
たまたまではありますが、ケーブルテレビの営業やADSLのサポートセンターや営業もどきをやっていたので、この頃には通信回線関係には多少詳しくなりました。そのせいもあり、この後も通信回線関係の仕事が時々出てきます。その時は「まーた通信関係かい!」とご不満&退屈だとは思いますが、まぁよろしくお付き合いください。

さて話を戻しましょう。
とにかく、自らガス室へ飛び込む危険はあったものの、他に関しては大変なことなどは一切ありません。
最終的には、MDFの近くにVDSL装置を入れる鉄のボックスを配置する場所だけ探します。そしてチャチャッとスケッチします。デジカメで撮影するのではなくスケッチです。
そのスケッチを元にして、パワーポイントでボックス配置指示書や配管ルート図を作成するのです。パワーポイントなので、そんなに複雑な図は作成できません。チャチャッと作成して終了です。
このような現場を、1日2〜3件こなします。1件あたり15分〜2時間程度で終わりますので、スケジュールはガラガラです。
これで日給1万4千円。ケーブルテレビの飛び込み営業も同じぐらいの日給でしたが、これは精神破綻寸前のブラック仕事。光ファイバーの現地調査はスペシャルホワイトな仕事と言っても良いでしょう。

ちなみに、この部署には上司が3人いました。いずれも50〜60代のオジサンです。ハッキリ言って、1人でも十分にやっていけるのだと思うのですが、人とお金が余っているのでしょうね。
とにかく、仕事も職場もまったりとした緊張感のない所だったと記憶しています。

さて、ここで「意識高い系」の方であれば、こう思うかもしれません。
せっかく「そこそこの高給+楽すぎる仕事」なのですから、仕事が終わってから副業をするとか、土日も副業するなどすれば、借金もどんどん減ったのではなかろうか?
また、仕事中の空いている時間を利用して勉強をすれば、資格の1つでも取れたかもよ?
ええ、ええ。そうですよね。しかし残念ながら、仕事中に喫茶店でコーヒー飲んだり、仕事が終わった後に同僚と飲みに行ったりなんかして、無駄にお金を消費していました。
もしかしたらそれは、20歳で大借金を負ってしまい、ロクにお金を使うことができなかった反動だったかもしれません。

堕落した若者を、やはり神様は見ていました。天罰が下ります。

ある日、その事務所のボス&同僚たち15名程とで、仕事後に飲みに行くことになりました。
ボスとは初めて飲みに行くことになったのですが、とにかく酒癖が悪いというウワサです。
まぁ、大勢で行くのです。酒癖が悪いのなら近寄らなければよかろう…最初はそう考えていました。

そして、事件は1次会のカラオケで起こりました(事件が起こるのが早い)。
カラオケボックスで、みんなでお酒を飲みながら歌っていました。ボスは1次会にも関わらず早くも酔っているようでしたが、自分とは少し距離があったので気にしないでいました。
そうこうしていると突然、「オイッ○○!(←自分です)オマエ、ふざけてんのか!俺への当て付けか!」とボスが叫びました。
多分、「当て付け」と言ったと思います。この辺はよく覚えていません。
何がどう当て付けなのか良く分かりませんが、とにかくボスが自分に対して個人攻撃を始めました。
どうも、カラオケボックスで同僚と楽しそうにしていた自分に対して、何やらご立腹らしいです。しかし、こちらにはその理由が分かりません。
一同シーンとなったと思いますし、ボスとも何らかの言葉のやり取りをしたと思うのですが、こちらも少し酔っていた部分があって覚えていません。
そうこうしている内に、年上の同僚が間に入ってくれました。そして飲み会終了。解散です。

さて、翌日。
例の事件はアッという間に広まっており、上司のオジサン3名にも伝わっていました。
普段は温厚な自分ですが、朝から完全にトサカに来ていました。出勤してすぐに上司グループの元へと向かいます。
そして言い放ちました。「ボスとケンカしましたので辞めます」

まぁまぁ、皆さんの言いたい事は分かります。
しょせんは酒の席での出来事です。それに、相手は酒癖が悪いと評判。運悪く絡まれてしまったけど、気にしないでホワイトな仕事を続けたほうが良いでしょ?てか社会人なんだから、そんなにアッサリと仕事辞めるなよ。
同じようなことは上司たちや同僚たちにも言われました。
しかし、自分には妙にガンコな一面があります。1ヶ月前にも飲みの席で取引先の社長とケンカになったのですが…自分の酒癖が悪いのかな(笑)
とにかく、このときは「あのボスの顔なんか2度と見たくない」という気持ちでいっぱいだったのです。誰に何を言われようが、辞める一択でした。

ちなみに、さっきも書きましたが普段の自分はそんな感じではありません。
仕事は真面目ですし、上の指示も忠実にこなします。なので、上司たちからはキチンと評価してもらっていました。
だからでしょう。上司の1人がボスのところへ行って「自分の代わりに」謝罪をしてきました。上司はドヤ顔で、「○○君(←自分です)。ボスはもう怒っていないそうだ。だから仕事を続けたらどうかね?」などと言ってきたのです。
そのセリフを聞いて、自分史上最大の怒りを覚えました。

結局、誰にも自分の退職は止められませんでした。
まぁほとんどの人が「アイツ、あんな事ぐらいで辞めるなんてバカだなぁ」と思った事でしょう。
自分も頭の中では、こんなホワイト高給な仕事を辞めるのはもったいない事は理解していました。
でも、感情は違います。許せないことは許せなかったのです。
今の自分だったら、ボスへの「合法的な」復讐を計画しながら働き続けたと思いますが、この頃はそのような知恵もありませんでした。
できることは「回避」のみ。会いたくないし顔を見たくなかったのです。
若気の至りではありますが、さっきも書いたように先日も酒の席で口喧嘩してきたばっかりなので、気をつけなければ…。

結局は半年ほどの勤務だったので、そんなに借金が減ったわけではありません。早々に次の仕事を探します。
次回はアダルトな仕事の話です。

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