転職25回 〜10回 Vol.1〜
前回までのあらすじ
・新卒でブラック企業に就職したものの、約2ヶ月で退職。
・IT企業に就職するも、借金返済が追い付かずに退職。
・ソープランドに転職。過酷&ハイリスクなので退職。
・ボッタクリヘルス店。天才的詐欺師の才能を発揮するが1日で退職。
・イメクラ勤務。風俗嬢Tちゃんとの同棲を解消しボロアパート暮らし。退職。
・探偵に憧れて、なぜか警備員。飽きて退職。
・高給に釣られてケーブルテレビの飛び込み営業。心が折れて退職。
・再びIT業界。カチャカチャしている内に心の傷が癒えて再び探偵を目指し退職。
・バイク便。ロシア大使館の車両とクラッシュで恐ロシア。退職。
・ADSLサポートコールセンター。金髪になる。飽きたから退職。
さて、記念すべき10回目の転職です。
前職のコールセンターでは、お客さんと対面することが一切なく、IT業界という事で服装や髪型がメチャフリーだったと言うこともあって、思い切って金髪にしてしまいました。
当たり前ですが、次の仕事が普通の会社だったら黒髪に直さなければいけません。しかし、さすがは思いつきで行動する達人です。黒髪にはせず、斜め右方向に舵を切りました。
次の職場は、歌舞伎町ホストクラブ。
なぜホストクラブで働こうと思ったかという所から書かないといけませんが、なんせ15年以上前の話です。ちっとも覚えていません。
恐らく、金髪だったし、借金まみれで大金を稼ぎたかったし、何となくそういう世界も覗いてみたくなったのでしょう。
とにかく、スポーツ新聞だか何かの雑誌だかを見て、歌舞伎町のホストクラブへ面接に行くことになりました。
「ホストクラブへ面接へ行く」なんて書くとチャラチャラしたオニーチャンをイメージされるかもしれませんが、当方、意外と真面目な人間です(ただ飽き性)。面接時間よりかなり前には歌舞伎町へ到着しました。なので、バッティングセンターで時間潰しをした…という思い出があります。なんのこっちゃ。
さて、面接です。
面接を担当してくれたのは年下のオニーチャンでした。確か店長さんだったかな?なぜ年下だったのを覚えているかというと、なんと自分が最年長だったからです(笑)。当時26歳でした。ちなみに、このお店のナンバーワンのホスト氏も26歳で最年長タイだったと記憶しております。
まぁ、どちらかというと若いオニーチャンがメインのお店だったのですな。
面接の結果ですが、無事に合格でした。
なんて書くと、当方がイケメンなのかと勘違いされる方もいらっしゃるかもしれません。まぁ、そう思って頂いて結構。てゆうか、そう思っていてください。
さて、無事に合格をしたら最初に決めなければいけない事があります。何でしょうか?
そうです、名前です。自分の源氏名を決めなければいけません。
とはいえ全然思いつかなかったので、先輩ホスト達の名前を参考にしようと思い、壁のパネル写真をチェック。すると、あるホスト氏の名前が「星矢」でした。
「星矢」。1970〜80年代生まれの男子にとっては、説明不要の名前ではないでしょうか?
そうです、伝説の熱血格闘マンガ「聖闘士星矢」の主人公の名前なのです。
ちなみに、「ホスト星矢」がどんな方だったかはちっとも覚えていません。
とにかく、彼と同じ方向性で源氏名を決めることにしました。なぜなら、当方も熱狂的な聖闘士星矢ファンだったからです!(ホスト星矢氏が聖闘士星矢ファンかどうか知りませんが)
さて、すでに「星矢」は取られています。
次の候補は「一輝」「紫龍」「氷河」「瞬」あたりでしょう(「邪武」や「市」は問題外です)。
ここまで書いてふと思いましたが、聖闘士星矢についてまったく興味の無い方は、しばらく我慢してくださいね。
まず「一輝」ですが、これはダメです。「一輝クン、イッキ!イッキ!」と飲まされるのが目に見えています。それにキャラが違います。
「紫龍」「氷河」あたりもキャラが違います。「紫龍」のような優等生キャラはやや近いですが、あんなに我慢強くありません。「氷河」のようなクールさもありません。
そう考えると、キャラ的にピッタリなのは「瞬」でした。
自分で言うのもアレですが、20代の頃の自分は「色白・長髪・低身長」だったので、女子と間違われることがたびたびあったのです。しかも、貧乏ゆえにガリガリスマート。そして気弱。将棋の得意技は、将棋界のローリングディフェンスこと「穴熊」。
これはもう、アンドロメダ瞬以外の選択肢はありません。源氏名は「瞬」に決まりました。
おっと、そういえば大事なことを書き忘れていました。給料のことです。
ご想像通り、ホストには時給や日給はありません。
お客さんの女性から指名を受け、その女性が飲んだり食べたりした売上の一部が給料となるフルコミッションです。
つまり、女性から指名がなければ給料ゼロ。
間抜けな話ですが、世間知らずの自分は面接時にこの給料システムを知りました。
これは、ハッキリ言って大問題です。当方は借金まみれです。毎月の月末には数万円の支払いをしなければいけないのです。それなのに、給料ゼロでは生きてはいけません。
そりゃあ、当方が人類史上最高のイケメンだったら話は違うでしょう。勤務初月から女性客がホストクラブへ行列を作ってくれるようであれば、当方の借金も初日でスッキリです。しかし、さすがの瞬クンもそこまで自信過剰ではありません。むしろ、お客さんが1人でも取れるのかすら自信がないのです。
うーむ、こ…これはヤバイ。1週間や2週間働いたぐらいで稼げるような仕事ではありません。
とはいえ、もう源氏名まで決めてしまいました。とにかく、1日だけでも働かなければ帰るに帰れません。
そんな訳の分からない精神状態の中、ホスト1日目はスタートしたのでした。