one day photo_16
4月に借りていた図書が終わり、5月の図書へ。1ヶ月の経過がとても速く、時間がいくらあっても足りない。仕事もせずに勉強して写真を撮って山に登ってだけを繰り返したいものだけれども。
前回のレンタルで面白かったのは奈良原一高の「消滅した時間」とマグナムフォトの「コンタクトシート」と「マグナムマグナム」だろうか。
消滅した時間は奈良原一高が北米を横断しながら撮影した白黒写真集、同じ旅でカラーフィルムを利用して撮影されたものから作られた別の写真集もあるが、僕は消滅した時間がすき。インディアン村のゴミ箱を写した写真は超シュルレアリスム的な画をしていて、「カメラの機械性を活かしたカッティングエッジな世界」がそこにある。奈良原一高はこの消滅した時間と禅がとにかく好きだと感じる。石元泰博とはまた違った造形の魅力がある。
マグナムフォト/コンタクトシートは巨匠のコンタクトシートを見れる。採用ショットに至るまでどういう過程、行動、考えがあったのかとか。あのレベルでも水平不安だから3枚くらい撮っとこうとか、いろいろな発見がある。
あと写真の見方に関する重要な話が何個か出てきて、それは結構衝撃的だった。全員一定の撮影パターンを共通して持っていると書かれてはいるけど、それは造形性という面から見て「基本に忠実」ということなんだろう。
マグナムマグナムは、マグナムの会員が別の人の写真を6枚選んで紹介するというもの。そりゃもう編集は波乱だったらしい。いろんな感想があるけど、僕はやはり作法としてはビューカメラを利用したタイプの作法が好きみたい。ただ写真としては情緒的な、ベンディクセンのsatelliteが一番好きだった。連作としてはマーク・パワーのエアバス建造がとても好き。あと名前の語感的にゲオルギィ・ピンカソフは滅茶苦茶良い。
マーク・パワーの写真集を別途新しく借りた、都営地下鉄や東京都市交通の整備場を捉えた写真集。まだ半分しか見ていないが、ラインの整え方に関して豊富な示唆を与えてくれる。僕は言われたことが無いから、水平垂直談義ってよくわからなかったんだけど、一眼を覗いてる自分から見て地平線がちゃんと水平走っているかという話なのか、フレーム内を走るラインが水平になっているのかで微妙に違うと思っているんだけども。
マーク・パワーの「枠の中の世界を走るラインは『こうすると調和する』」という撮り方、四辺の抑え方を見た後に、自分の日々の撮影を見てなんか安定性が無いなと思っていたことに対して「あ、たぶんこのラインが悪さしてる」「抑えとして効いてるラインが少ない」とかがなんとなく見えたと思う。明日から、もうちょっとラインを整えれるように頑張りたい。
あと、開放を使うシーンと、絞っているシーンの差も明確で、これはなんとなく予測はしていたことと同じシチュエーションで開いてたからうれしかった。情緒/人間性と機械性の間をどう切り分けるか、みたいな捉え方。
僕はなんでも開放で撮って情緒的に見せて「はいエモいでしょ」っていうのはあまり視界に入れたくない、大体背景のラインは変なものが多いというのもある。絞り切ったうえで、構図が整理されているからぼかしてモザイク入れる必要性が無い、ボケで誘導する必要性が無いくらいちゃんと整理されているものは、やはり見ていて気持ちがいいし隅々まで目が躍ると思う。
左右の直線は合わせられても上辺と底辺も揃えるのはかなり難しいが、マーク・パワーはそこめっちゃ上手なので、ほんの少しだけ傾いている物体が「ほんの少しだけ傾いてる」ようにちゃんと見える、あれはすごい。
6つある正面のどれかを選ぶ、を徹底できるだろうか。
石元泰博の桂にこういうのあったよね。
↓「初夏を待つ長閑」
↓「悩みの森を抜けて」
「大霧山ー堂平山ー笠山」
5月からは夏山シーズン、勉強の速度が落ちそうで心配です。