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散歩したくなる音楽紹介「MONO NO AWARE」

1、もののあはれ 意味:哀感を漂う美しさ。平安期特有の美的センス

例えば:月が美しいのに、あたりはしんと静まり返っている
こんな情景のことだろうか。
ともあれ
相反する感情や状況が交わる時、人は得も言えぬ感傷が心に起こる。

現代風にいえば悲しいことを歌っているのに、
明るい曲調の曲だろうか?
私自身そういった歌が好きだ。
never young beach『お別れの歌』『なんかさ』

アジカンのゴッチのソロ曲『LOST』

こういった心の感傷や想いを「もののあはれ」と呼称するのだろう。

そんな日本語をバンド名にしたバンドがいる。

その名も『MONO NO AWARE』
なんだか明朝体で書くと全部大文字で美しい。

2、沸騰!日本語感性!

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彼らに出会ったきっかけは私が大のファンであるロックバンド
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの対バン相手として選ばれていたことがきっかけである。
調べて初めて聴いた曲がこれ。YouTubeで検索し、
「超面白言語」サムネイルに惹かれて、自然とクリックしていた。

MONO NO AWARE 『轟々雷音』

人聴きして流れてくる音楽から日本語が聴こえない!!
最初、中華系のバンドだと思った。
しかしコメント欄をみてみると、どうやら違うらしい。
だが、歌詞は全て漢字である。

轟々雷音凱旋門下鬼遊可 且雷門下鬼遊可 私願世界中旅行 私願嗅初嗅良香過去無物見付時 未来之花嫁抱時 信難程速度強大 閃光共其音襲来(以下略

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凄まじい。
どうやら全て漢字を音読みしているらしい!

ちなみにこれがコメント欄にあった日本語訳である。

轟々雷音凱旋門の下でも鬼ごっこは可らしい雷門の下でも鬼ごっこは可らしい世界中を旅してみたい今まで嗅いだことのない良い香りを嗅いでみたい過去に無くしたものを見つけた時未来の花嫁をその手に抱くとき信じがたいほどの速度と強さで閃光と共にその音は襲いかかってくる(以下略

噛めば噛むほど、どうどうらいおんが頭から離れない。
個人的にはこれがお気に入り。

津々浦々羅針盤右手世界図左手永遠私歩行続行興味津々人生送場合必君身体走衝撃電波
津々浦々 右手には羅針盤
左手には世界地図
永遠に歩き続けよう
興味津々に人生を送っていれば
君の体には必ず衝撃のような電波が走るだろう

凱旋門の下でも鬼ごっこが出来るのかと
少し賢くなったところで次に聞いたのが『東京

3、郷愁創出都市東京

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一聴してみて、序盤のギターリフの美しさに心惹かれる。
歌詞中の「みんながみんな あたたかなエルドラドに暮らしたい
の「たた」がドラムスの叩く音に重なって心地いい。
常々歌詞を声を楽器の一部として使っており、今回もそれが顕著である。

加藤:周啓は言葉遊びが好きだからね。あと、歌詞も楽器みたいだよね。楽器が鳴ってたらはまるように歌うメロディーを付けたりする曲もあると思うんです。はまるようにするから、ラップみたいに韻踏む事があって。例えばスネアがパーンと破裂する音から閃いて、周啓の中から出た言葉と音がハマるみたいな、そういうイメージがあるので、言葉も楽器みたいだなと思います。玉置:それはありますね。最初にまずiPhoneのボイスメモにメロディーと歌詞を入れて、後で曲にしていくので。作るときに、頭では同時にドラムとベースとギターのメロディーが鳴っていて具体的に曲が出来て、後から頭で鳴っていたものを打ち込んでいって作るっていうやり方なんですよ。ある程度、固まってる状態で曲というものが出来てて。その時、ボイスメモにできるだけ曲のニュアンスが記録されていて欲しいので、イントロのギターのリフを口で歌った後に、メロディーを歌って、同時にキックやスネアを口ずさむって感じで、ヒューマンビートボックス的なことをやってるんです。それで聞き返すと、スネアの位置に歌詞の“た”とか“か”とかの、強い音がきてることが多い気がします。
卓越した言語感覚を持つ、八丈島出身バンドMONO NO AWAREとは何者か?

上京して来る人や元から密接に東京に関わる人が増えた現代社会において、もしかしたら東京もカントリーロードが導く故郷なのかもしれない。
そう感じる。

ここは東京 君の東京いずれ故郷の六畳と白い灯台は君を抱けば白んで消えていく気がしていたよ東京 君のいる街東京いつになっても故郷の小学校や太鼓の音色は悩ましいほど目頭に浮かんではくるけれど

歌詞でも「ふるさとは帰る場所ではないんだよ」と歌う。

玉置:坂口安吾の本に〈私たちは故郷に帰るのが仕事ではない〉っていう文章があって、僕も〈感傷に浸って立ち止まる〉みたいなのは好きじゃないから、ここでは故郷をテーマにしながらむしろ〈感傷から抜け出る〉っていうことを書きたかった。〈場所〉そのものじゃなくて、〈そこにいる人〉に故郷を感じるんだと思うと、東京も故郷になり得るのかなってMONO NO AWARE『AHA』 ストレンジ&ユーモラスな〈らしさ〉はそのままに、よりスケール感をアップさせた新作を4人が語る
MONO NO AWARE『AHA』 ストレンジ&ユーモラスな〈らしさ〉はそのままに、よりスケール感をアップさせた新作を4人が語る

旅をしていても学生時代に訪ねた場所は故郷でもないのに、なぜか懐かしい場所がたくさんある。
大事なのは生まれた場所なんじゃなくて、
そこで過ごした時間なんだろうなあ。
生まれた場所は必然と過ごす時間も長くなるわけで、故郷になる率が高いけど、転勤族に故郷がないかと言われれば、そうでもない。
そんなことを教えてくれる。

4、想像性沸騰!

最後に紹介する「マンマミーヤ」では気持ちいい日本語のオンパレードである。

クックドゥールドゥドゥーと鳴く君のその胸肉に飛び込み泣くのさ「あなたは私の中で生きていく」とカップヌードゥルドゥー私たちの人生はお湯を入れたら最後時間に追われる運命さ

時間に追われる運命さ!」軽やかに心に刺さってくる。

続くこちらの歌詞では言わずもがな、任天堂のあのキャラを思い浮かべてしまうし、

二天王、命を操るキノコやまほろばに生えるピーチには万に一つもかなわないのさ

これはのりたまでおなじみの◯美屋を思い浮かべてしまう。

照れるぼんじりの憂いを帯びる丸みや

楽しさと心地よさの調味料はミシュランガイドも顔負けである。
ストリーミング音源では、音に若干ノイズがかったように聴こえるのは
古いテレビから流れてくる食品会社のCMをイメージしている」らしく、Twitterでボーカルの玉置さんに聴いてみたら、直接答えて頂いた。
(優しい・・)

5、伴奴名由来

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ちなみにバンド名の由来は最初に挙げた意味とは関係なく吉田兼好の徒然なるままに同じものに固まることのない状態を意味しているようだ。

玉置:特定のアーティストに影響を受けたり、コンセプトを決めて進めていったりするなどの軸が全くない状態で始めたんです。作詞・作曲は僕が一人でやっているんですけど、その時聴いた曲などに影響されて毎回違うテイストのものが出来たので、そのバラバラな曲調を”変化”という風に位置づけて、吉田兼好の『徒然草』で使う”もののあはれ”っていう言葉から、流動する川のうたかたのようなイメージで、同じようなものに固まる事がないというか、常に自分たちにとってもお客さんにとっても新鮮な曲を作っていこうっていう意味合いが含まれています。卓越した言語感覚を持つ、八丈島出身バンドMONO NO AWAREとは何者か?

ともあれ、下手に英語で歌わずに、日本語圏で生まれたそこでしか出せない色味のようなものでこれから日本の音楽シーンを引っ張っていって欲しい。さらにはロック史に名を刻むような存在となるであろう。
MONONO NO AWARE 必聴である。

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