「生きる」
「生きる」という題名で、NHKアーカイブスで再放送された
ルバング島から生還した小野田寛郎さんを見て思う。
先天的にしろ、後天的にしろ人間にある基本的なある種の要素
例えば負けん気だとか、優しさだとか、陽気さだとか、凝り性とかそういう極めて単純なものが殊の外、人生を切り開く決め手のような気がした。
全ての経験にはちゃんと理由があって、それを前向きに捉えて次に生かす事の大事さ、考え方の柔軟さ合理性。悩む必要も無い事を悩んでいたら生活が出来ない。その先には、ただ生と対局にある死があるだけという達観性。
陸軍中野学校では、きちんと自分で考えられる形に情報(戦況)をちゃんと説明されていたという驚くべき事実。
それは、単独で放り出されるのだから、自分で全てを納得してないと、いざというときに揺らいでしまう。此処に合理性が貫かれている。
ブラジルの農園で成功した理由は、一つにはルバング島で経験した地理や天候、気象条件が頭に入っていたこと。(作物はいつ植えると、どうなるかと言うようなことが役立った。)
今日、日本では自殺者の数が年間3万人をこえると言うのを、ラジオで聞いて、今の人間たちは何故こうも、ひ弱になってしまったのかと考えると、一見何もかもが揃ったかに見える社会の中で、欠けているものがあることが耐えられないのではと思ってしまう。
情報化社会が我々に報じる大多数の豊穣感と現実(足りぬ状態)とのギャップ。それを埋められぬ人達の考えの不足感。
追い詰められた状況の中の小野田さんの強さの秘密は、一つには何度か出てきた負けん気。もう一つは、死んでいった戦友や同胞への思い。
彼らに申し訳ない。という気持ち。これらが彼を生きさせた。
不足した状態の中の生き抜く力。もう一度現代という恵まれた社会を考えてみたい。