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#110 一筋の光明
普段、我々が意識せず使っている言葉で何となく引っかかったり、気になるものはないだろうか。
私にはある。
また、本来の意味とは違う使い方をしている慣用句や言い回しもあるように感じる。
そして漢字の読みも違って覚え、今やその方が主流となっているものもある。
以上のようなことを思い出す順に書いていこうと思う。
☆「踏んだり蹴ったり」
正確には
「踏まれたり蹴られたり」
だと思う。
☆「老若男女」
「ろうにゃくなんにょ」
何というフニャフニャしたサウンドなのだろう。
言いにくくて仕方ない。
もっとキリッと芯があって欲しい。
だらしのない言葉である。
☆「知る人ぞ知る」
そりゃそうだろう。
知ってるから知る人というのである。
いや、しかし待て。
「知らない人こそ知る」
とか
「知る人は知らない」
というのも何か深淵なものを感じさせ、哲学的なナニモノカを語っている風ではある。
実際はそんなことないんである。
☆「○○したら怒るからね」
こういう時、人は大抵、既に怒っている。
☆「おもんぱかる 」
って何だか可愛い。
ぱかる・・・。
☆「若鶏の唐揚げ」
「子羊の香草焼き」
改めて思うと残酷なことである。
いくら人間が食物連鎖の頂点にいるとは言え。
ブロッコリーの新芽とは訳が違う。
勘違いしているものとしては
☆「おっとり刀で駆けつける」
「おっとり」の音がなんともノンビリとした感じなのでゆっくりと駆けつけるようだが、その意味は刀を腰に差す間もないほどに急いで"押し取る"という意味なので正反対である。
☆「流れに棹さす」
物事が順調に進んでいるところにブレーキをかけるような意味と思っている人が多いようである。
これも意味は真逆で、船頭さんが流れに乗って進んでいる船に、より勢いをつける為に棹を「さす」ことから、物事を勢いよく進めるという意味である。
恐らく「水を差す」と混同しているのだろうと思う。
☆「当用漢字」
("東洋漢字?" へぇ、西洋にも漢字があるのか)
☆「人間は考える葦(あし)である」
(どゆこと?足が考えるってどゆこと?)
☆「台風一過」
(昨夜の台風は家族で来てたのか。どうりで凄かった)
子供の頃はそう考えていた。
そして漢字の読みである。
例えば
☆「輸入」 「しゅにゅう」
☆「捏造」 「でつぞう」
☆「堪能」 「かんのう」
☆「漏洩」 「ろうせつ」
☆「惨敗」 「さんぱい」
が正しい読み方である。
勿論、それぞれ「ゆにゅう、ねつぞう、たんのう、ろうえい、ざんぱい」と読んでも間違いではない。
ただ本来の読み方を示しただけである。
また言葉の意味や使い方も時代と共に変化してゆくのは周知のことだろう。
めくじらを立てて糾弾しているわけではない。
ところが。
この方が漢字だと知っている人は少ないのではないか。
「 囧 」
単に困った顔の絵文字のようだが、実は中国で使われている漢字であり、読みは「jiong」、意味は「光明」。
「長らく不遇な環境に身を置いていた男にとってそれは一筋の囧となった。」
のように使われるのだろう。