【連作ショートショート】悪魔の花（2）

「ねえ、お友達のユミコから、こんな花の画像が送られて来たの。もちろんなんだか知ってるわよね？」

そう言われて、ヘンテコな花の画像を見せられた。全然見た事のない花だった。しかしオレは

「あぁ！これはもしかして・・・」

と、さも知ってるようなフリをした。何故かと言うと、オレは彼女の前では、一流の植物学者を装っているからだ。

「やっぱり知ってるのね。親戚から送られたものだって言ってるんだけど、彼女、なんか怖がっちゃってるのよね」

なんだろう？このヘンテコな花が怖い？よくわからないので、

「それはそうだろう。これは取り扱いを誤ると大変なことになる」

と、適当なことを言ってみた。そうしたら、

「そうなのよ。ググったらそう書いてあったって、ユミコが言ってたの。さすが！詳しいわね」

ケイコが感心した声を上げた。
なんだよ、ググったんなら、オレに聞かなくてもいいじゃねーか。とりあえず、ケイコが帰ったら、オレもググって調べておかなきゃな。

「ところでケイコ、もう帰らなきゃいけない時間じゃないのか？」
「今日は帰らない。ここに泊まっていく！」
「え！なんで？帰らないとご両親が心配するぞ」
「あんな奴ら、もういいの。この前ね、パパにあなたのこと話したら、『そんな胡散臭いヤツとは別れろ』って言うの。世界的に有名な植物学者のあなたに対し失礼じゃない？」

胡散臭い・・・。間違ってないな。ケイコの親父、なかなか鋭い。困ったな。こいつが帰らねえと、ネットで調べることができねーじゃねえか。ユミコって友達には、明日一番で返事させるとか言っちゃってるみたいだし。

ケイコのヤツ、どうやったら帰ってくれるんだ？

（第二話 レッドプリン）