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【連作ショートショート】悪魔の花(4)

 ボクとじいちゃんは、ヨウスケのガールフレンドのケイコさんのお友達のユミコさんちへ向かっている。
彼女のおばあさまから送られた「悪魔の花」を見せてもらうためだ。

「なあヒロ。実はな、わしは大学でこの「悪魔の花」の研究チームに入っていたんじゃ」

「え!本当?」

「本当じゃ。そして我々は、この花の亜種を使って、毎年咲くことの出来る「悪魔の花」の培養に成功したんじゃ。」

「毎年咲くの?凄いじゃない!だけどその割には、この花、全くと言っていいくらい流通してないよね?」

「盗まれたんだ。温室から根こそぎ。」

「根こそぎ?」

「そうだ。しかも培養に使った亜種や、貴重な原種から取った細胞も。何もかも根こそぎだ。」

「酷い!みんなで頑張って育てた花を盗むなんてあんまりだよ。それで犯人は捕まったの?」

「捕まらなかった。犯人は貴重な資料と共に、海に身を投げたからな。」

「自殺?」

「そうだ。犯人はわしらと同じ研究員だった。真面目で植物が大好きで、みんなからの信頼も厚かった。そして・・・」

「そして?」

「わしの恋人だった。」

「そうだったんだ・・・。だけどさ」

そう言い掛けたとき、ボクの頭の中にあるひらめきが舞い降りてきた。

「じいちゃん、もしかしてその女性って・・・」

「わしもなんとなく、そんな予感がしてるんだ。」

(第4話レッドプリン)


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