ショートショートサンタクロース
私はサンタクロース。え?来るのが一日早いって?私は普通のサンタではない。ショートショート好きの子供達のうちにお邪魔して、ショートショートを読むショートショートサンタクロースなんじゃ。24日は普通のサンタとバッティングしてしまうので、23日が私の出番ってわけじゃ。そして今夜読むのは、深川岳志のショートショート。この作品は、私がこの日の為に選びに選んだショートショート集なんじゃ。
そんな話しをしていたら、一軒目に到着じゃ。
ここには動物好きの男の子がおる。さてさてちゃんと起きてるかな?
あ!サンタさんだ!待ってたよー。
お待たせしたな。動物が好きな君の為に、こんなお話しを選んでみたぞ。では読むぞ。
『冬の夜空』
星を眺めているネズミがいた。
電子ネズミのびすだ。脳に電子頭脳を埋め込んでいるので、とても賢い。
ロボットのネズミさんか。星を眺めて、何を考えてるのかな?
なんだろうね?さあ、続きを読むぞ。
僕もびすみたいに星空を眺めながら、サンタさんのお話し聞こう。
そう言うと、男の子は窓越しに置いてある椅子に座って、私の方に耳を傾けてた。
「びすはどこに行きたいの?」
「夜空の向こうでチュー」
夜空はネズミを詩人にするようだった。
おしまいじゃ。
僕も星空の彼方に行ってみたいな。ねえサンタさん、僕、違うお話しも聞きたい。
すまないけど、他のお友達も待っているから、今夜は一話で勘弁しておくれ。
私がそう言うと男の子は、ちょっと悲しそうな顔をしたが、すぐにニッコリ笑って
わかったよ。だけどまた来年も、深川岳志のショートショートを読んでね。約束だよ。
と言った。
さてさて、ショートショートの読み聞かせも
やっと最後の一件を残すところとなった。随分遅くなったけど、最後の子はまだ起きてるだろうか。
あ!サンタさんだ。私ね、今宿題やってたの。
宿題?
そう。千まで数える練習。
なるほど。それで出来るようになったかな?
うん。
女の子は嬉しそうに答えた。
よおし。千まで数えられるようになったこの子には、深川岳志ショートショート1000話目を
プレゼントしてあげよう。そう思った私は、スマホをタップして、千話目のショートショートを開いた。
千まで数えられた君には、こんな作品はどうかな?
そう私が言うと、女の子は目をキラキラさせて
私を見た。
(了)