思いを言葉にのせること
たとえば、毎日の「行ってらっしゃい、気を付けて」と
母が私を東京へ送り出す時の「行ってらっしゃい、気を付けて」と。
同じ言葉でも、相手によって、関係によって、状況によって、言葉にこもる思いは全部違います。
少し前、大切な大切な友人の結婚式があり、嬉しいことにスピーチを任せていただきました。
素直な気持ちを丁寧に伝えたいと思い、形式ばった文言は使わず、原稿を読まずに暗記して話そうと決めていました。
わたしはお芝居修行中の身です。台本を読み、セリフを話します。
このときに考えることと言えば、どんな気持ちで話しているか、とか。
でもわたしは恥ずかしながら、スピーチをして初めて気づきました。
感情がこもるときほど、感情を殺して話そうとしていたこと。
心の中では、泣かないように、言葉をしっかり届けられるように、と唱えていました。
緊張と、友人への思いと、祝福の気持ちと、いろんな感情が混ざり合いながらわたしから生まれていった言葉は、どこまで届いたかはわかりません。
実際、スピーチが終わったら、話していた時のことは全く覚えていませんでした(笑)
人は、思いが溢れるほど、シンプルに伝えようとしているような気がします。
話し手の気持ちは、難しい言葉を知らなくても、思いを込めようとしなくても、きっと自然に言葉に宿っていくものだと思います。
だからきっと、東京へ戻るとき、母に見送られるときの「行ってらっしゃい、気を付けて」はどうしようもなく泣きたくなるんですね。
わたしはそういう心の内を言葉にのせられる役者になりたいです。
まだまだまだまだ、修行が足りない!精進します!!!!!!