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ノリと勢いだけでチケゾーさん(ウイニングチケット)に会いに行った話
昨今話題の育成ゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」にのめり込んでから、はや一年と数ヶ月が経過した。
最推しウマ娘のナリタタイシンをようやく加入させ、毎日狂った様に彼女と共に走り続けていたある日のこと、ふと脳裏に過った事がある。
「ウイニングチケットに会いに行きてえ」
残酷な事に、命というものは有限である。それは人も動物も同じ事だ。
こと「実馬のチケゾー」に関しても、どうやらかなりの高齢らしく、いつまでも元気に長生きしていて欲しい気持ちはあれど、悲しく、苦しく、辛いことに、いつかはこの世に別れを告げる時が来てしまう。
それは絶対に逃れられない事だ。
その辛さは、もう10年以上も前の事とは言え、高齢になった先代の犬の家族を看取った自分にとって、理解するに容易いことだった。
彼を含む沢山の名馬のおかげで、ウマ娘の彼女達に出会う事ができた。
競馬の事はほぼ何も分からず仕舞いで、皐月賞の前日に友人達に誘われて向かった中山競馬場も、「ナリタタイシンがかつて輝いた場所」という認識であった。
だからもっと知っておかねばならない事がある。そのためにもまず、数少ない「まだ会える」名馬たちにこの目で会いたい。そう思っていた。
「行きたい」から「行こう」へ
先週の火曜日(4/12)の事。
ウマ娘アプリ内で行われるレースイベントに「BNWで出走したらめちゃくちゃエモいんじゃね?」と思い立ち、ウイニングチケットを育成していた。
そんな彼女は自身が育成したウマ娘の中で、過去最高評価点を叩き出した。
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「よし、浦河に行こう」
「行きたいな」と思っていた矢先の出来事であり、きっかけとしては充分過ぎた。
航空券を取り、実馬のチケゾーが暮らすうらかわ優駿ビレッジAERUの、「ウイニングチケット応援プラン」を予約した。正直まさかこのプランがこんな直前で取れるとは思っていなかったため、この時点で心がバクバクしていた。
前日の土曜日に友人達と中山競馬場に行く事になっており、その後日曜の早朝出発、月曜夜の飛行機で帰るという、過去最高レベルの弾丸旅程を組んだ。大丈夫、仕事の締め切りは何とかするもの。
「聖地」中山競馬場でオジュウチョウサンの勇姿を見届け、帰宅後即床に就いた。
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ぼく
「今日はタイシン成分を浴びたし、次はチケゾーかなぁ〜」
友人
「チケゾーって北海道でしょ?」
ぼく
「めちゃくちゃ遠いらしいんだよね〜」
友人
「だいぶ山奥とかじゃない?」
ぼく
「うわそりゃ遠いな〜(まぁ明日行くんだけどね)」
そう、この時は自分以外の誰も「今日中山競馬場に一緒に行った奴が明日浦河に行く」なんて事はつゆ知らず、そんな呑気な会話を繰り広げていたのだ。
「今日は眠いから帰ったらすぐ寝るわ〜」とか言っておいて、実際すぐに就寝した訳だが、起床時刻を知らせるアラームをセットした時刻は、朝の4時半とかそこらである。ぶっちゃけこの時点で楽し過ぎて夜寝るのに苦労したし、結局3時くらいに目が覚めて出発の時間までずっとサッカー見てた(クソバカ)
そんな訳で「うっへゃ〜〜wwマジで行っちゃうんすね〜w」みたいな如何にも頭悪そうな独り言を呟き、明け方の地元駅へと歩を進めた。
旅の始まり、君を目指して
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上野発の特急列車を降りた時から、僕の心は期待に満ち溢れていた。
なんか知らんけど往復一万円ちょいで取れた成田⇄新千歳のLCC往路便に乗り込み、北の大地へ飛び立つ。
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定刻よりも20分以上早着した事もあり、時間の余裕ができた。
バス停のある駅まで移動しブランチとする。北の大地で食うロッテリアは、放課後の友人達と語らいながら食べる青春の味がした。絶対にした。したっつったらした。
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(乗務員さんめちゃいい人で楽しかったです)
ペガサスに揺られる事3時間以上。
とてつもなく遠くへ来た事を実感させられる。
AERUまでの送迎車の運転手さんと少しばかり会話を弾ませ、遂に目的の地へと辿り着いた。
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彼らに「AERU」場所
「ウイニングチケット応援プランで予約した
REDIAです!」
エヴァのアツいシーンを思わせるかの様なセリフをフロントスタッフの方に申し上げた。もちろん控えめなトーンで。
夕朝食や浴場の説明を受け、部屋の鍵と応援プラン特典のクリアファイルとスタンドピンを受け取る。
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時刻は14時半をまわったところ。
どうやらギャラリーがあるとの事で、先にそちらを拝見させて頂く事にした。
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思った以上にウイニングチケットをはじめとした関連馬達の功績や史実に触れる事が出来て、もうこの時点で満足度は高かった。
それでもこの時、到着してから20分と経っていない。
部屋に戻り皐月賞の中継を付ける。
実馬のナリタタイシンが獲ったタイトルという事もあり、それ相応の準備をして今現在の馬たちの活躍を目に焼き付ける。
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NHK競馬中継の副音声でウマ娘成分も同時に補給できた事もあり、結果に関係なくとても楽しめた中継だった。
初心者でも分かりやすい解説と、きっかけとなり得たコンテンツがタッグを組むとこうも楽しめるのかと終始感心していたし、短い時間ながら充実度はとても高かった。是非また何かを仕掛けてほしい。
さて、もうこの時点で充分楽しんでいる訳だが、この日のメインはこれからだ。
友人達と通話をしているマイクを一時的にミュートにし、彼らに会うため外に出た。
目が覚めたら君がいた
「シキチガヒロスギル」
フロントのスタッフの方から「厩舎まではここから徒歩10分くらいですよ!」とお聞きしたのち、そう呟いて広大な北の大地を一歩一歩踏み締めてゆく。
友人達との通話のマイクはまだミュートのまま。彼の目の前に行ったらミュートを解除し、ビデオ通話に切り替えるつもりだ。
「昨日めっちゃ眠くて、起きて気が付いたら目の前にチケゾー居るんだけど」ってやったら、多分おもろいんちゃうかな~と思った。
厩舎に歩みが近づいてゆく。
最初に顔を出して出迎えてくれたのは、スズカフェニックスさんだった。
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「すんげぇお辞儀してくれてる…」
首を上下にゆっさゆっさ。釣られて自分もゆっさゆっさ。
そこはかとなくシュールな光景が5秒ほど繰り広げられていたが、挨拶も程々に済ませ裏側へ回る。
どうやらチケゾーは裏側にいるらしく、回り込んだ手前の厩舎には、ここAERUにとても長く居るヒンナさんが顔を出してくれた。
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「こんにちは〜」
あいさつは基本。ヒンナさんもこっちを向いて目を合わせてくれた。うれしいね。
スズカフェニックスさんの様に終始ヘドバンをしている訳でもなく、静かにこっちを見たり見なかったりするヒンナさんの佇まいに、朗らかな穏やかさを感じていた。
さて、どうやらその隣に彼は居るみたいだが、果たして。
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めっちゃ草モシャモシャしてた。
顔を出してくれてはいないが、ここからでも毛並みの良さは素人なりにも分かる程に綺麗だった。
ここでミュートにしていた通話に再び参加する。
ぼく
「あれ、ビデオ通話になってる?」
友人
「あー、ビデオ通話ONになってる」
ぼく
「あ〜まぁいいや。ところでさ、」
友人
「うん」
ぼく
「昨日疲れてすぐ寝ちゃったんだけど、」
ぼく
「気がついたら目の前にチケゾーいるんだよね」
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友人
「……え?」
ぼく
「いるんだよね、目の前に」
友人
「えっ待ってどういう事??」
ぼく
「という訳で今は浦河に来ておりま〜〜す」
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友人
「こいつバカだ……」
うろ覚えだけどこんな会話をした記憶がある。
何枚かチケゾー達と写真を撮らせてもらい、この日はそのまま宿に戻って休む事にした。
明日の朝7時から放牧されるとの事で、にんじん等はその時にあげる事にする。
普段の宿探しであれば、自分の場合基本的に素泊まりを選択するのだが、今回のプランでは夕食と朝食が用意される事になっている為、部屋で少し寛いだ後に胸を躍らせながら食堂へと向かった。
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正直想像以上に良い物を頂いた気がした。
後の話だが、送迎車の運転手さんによるとこれが通常コースらしく、どうやらここから更にグレードアップができるらしい。ウマ娘のタマモクロスが聞いたらひっくり返ってまうでそんなん。
大満足の食事に舌鼓を打ち、大浴場で汗と疲れを洗い流す。
風呂上がりの冷えた瓶コーラを飲み干して部屋へと戻る。
大自然に囲まれた中で実馬に会い、食事を堪能し大きな浴場もある。
ここに来てよかった、既にそんな気持ちで満たされていたのだが、まだやり残した事や行きたい場所はある。
猛烈な眠気が脳内に漂っているうちに、ベッドの中へ潜り込み意識を夢の中へと移す事にした。
君に託されたもの
とてもよく眠れた気がする。
競馬場に行った際の疲労も蓄積されていたのか、瞼はまだ自然と降りてくる。
重い身体を起こしコーヒーを淹れ、朝食の時間までウマ娘アプリを何の気無しに開いていた。
「この後行く所を考えたら、ライブシアターであの曲観とくか」
ホーム画面のタイシンの声を聴きながらそう思った。
「涙ひかって明日になれ!」ウマ娘のBNWが歌唱する爽やかな青春み溢れる一曲だ。
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歌ってくれるのをこの日に知って狂うかと思った
この後行く場所は道の駅新冠。
そこにあるサラブレッドロードに、ここ新冠に縁のある馬達の石碑があるという。
ことナリタタイシンの石碑もその場所に飾られているという事を、自分よりも前から競馬を知っている友人の話を耳にしており、調べた所バスを乗り継げば行ける事が判明した。
元々浦河ターミナルから乗車予定だった帰りのバスを、新冠での乗車に変更する。
バスの接続時間等を調べ上げ、8時にここを出れば新冠到着後、札幌に行くバスの乗車時刻まで1時間ほど滞在できる。
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7時からの朝食、その後チケゾー達に帰る前の挨拶をし、8時に送迎車で浦河ターミナルまで送って頂く事になった。
早速着替えて荷物をまとめ、朝食会場へ向かう。
「朝食は軽くパンとかで済ませりゃいいかな」
呑気な事を思っていると、ご用意されていたのはこちら。
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「この後温かいお食事お持ちいたしますね」って言われた。
思わず耳を疑った。
「ワァ」
恐らくだけど北海道のモーニングって感じする。何もかも新鮮。
そこまで量も多くなく、味わいつつも手早く頂く。
この後の「温かいお食事」に備える為だ。
「早めに行きたいからな…うめえ…うめえけど早めに食べておかないとな……うわこの赤いの何…プリプリのコリッッコリやん……なに…おいし……」
味わいたい気持ちと早く食べたい気持ちが入り混じる中、見計った様なタイミングで「温かいお食事」が配膳された。
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魚がぼくらを待っていた。小骨との戦いが幕を開ける。
何もかも美味しい。なんかもう「美味しい」以外の言葉が出てこない訳だが、今ここで自分のボキャブラリーの貧弱さを呪っている場合ではない。
「次に来た時はもっと時間に余裕を持とう」
心の中でポツリと呟く。
完食し手を合わせチェックアウトを済ませた。
早足で向かった厩舎の手前でおやつにんじんを購入し、今度は外に出ていたスズカフェニックスやチケゾーたちと触れ合う事とする。
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それにしたって景色が良すぎる。
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時計の針をチラリと見る。
迎えの車が来るまで、自分がここに居れる時間はさほど多くはない。
「すいません一緒に写真いいですかね…アッありがとうございます…」
インカメラで自分とチケゾーを映す。
覚束ない片手でシャッターに親指を伸ばし、パシャリ。
「ドッ!」
その瞬間であった。左鎖骨辺りに強めの肩パンチを食らったかの様な衝撃を感じたのは。
それが何なのかはすぐに判明した。チケゾーの鼻が自分の肩に当たったのだ。カメラはその瞬間を捉えていた。
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自分の事が邪魔だったのかもしれない、そうだったら彼に申し訳ないな…という気持ちが過った。
何より、別に自分の肩がイかれようが服が汚れようが一切構わないので、そんな事より彼は大丈夫かと心配になった。
心配し過ぎなのかも知れないが、彼の年齢の事を考えるとどうしても考えてしまう。
ただ、当の本人(本馬)は別段なんの事も無しに草を啄み始めていた。
「もしかしたら、自分に何かを託してくれたのかも」
物言える人間が、自分良がりの勝手な都合でそう解釈してしまうのは、言葉を喋れぬ動物達に対してどうなのだろう。
物言わぬ彼らの本心を自分の中でそう決めつけて良きように解釈する事を、正直なところ自分はあまり好みはしない。
ただ、「そう思ってくれているなら嬉しいな」程度に留めておく事くらいなら、してもいいのかもしれない。
「あっちのアイツらもよろしくな」
左胸に残った草や土は払わないでおこう。残るものでもないが、君から受けた左胸へのエール(という事にしておく)はずっと自分の心に残り続けるから。
「次はいつ会えるかな」
そう思うと、自然と頬に涙が伝った。
ここまでの距離、ここに来るまでの時間、そして彼らに残されたこの世界での時間。
それを考えると、今回の様な突発的な事例を除き、再訪する事ができる日はいつになるか分からない。
けれど、きっと彼らにはまた会える。
そう信じ、額の汗を拭う素振りで涙を拭き切った。
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ここは浦河優駿ビレッジAERU。
彼らにまた「AERU」日は、きっとくる。
4月18日
送迎車を降りて、ここは浦河ターミナルすぐそばの浦河高校前バス停。
新冠まで少し長めの路線バスの旅が始まろうとしていた。
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「おはようございます〜お兄さんも病院へ?」
先にバス停にいらっしゃった、地元に住まうであろうお婆さんにご挨拶を頂く。
自分は新冠まで、と伝えると「あぁ〜カブはお味噌汁に入れたら美味しいですねぇ」との事。歯応えが美味しいですよね。
「あとは蕗の薹とか入れると良いですね」
「えぇ、えぇ。お爺さんの取った野菜で作るお味噌汁を孫達が喜んでくれてねぇ〜」
自分の頭上に浮かぶクエスチョンマークは無視しておく事にし、お婆さんが頷きながら話してくれているのを見て心が温まる。
バス乗り込み雄大な景色を左手に、経由地の静内本町で乗り換え新冠へ降り立つ。
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「あの子」に出逢わせてくれた「彼」を始め、数々の競走馬を称える碑が立ち並ぶここは、道の駅新冠内のサラブレッドロード新冠。
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「一昨日中山競馬場で写真撮ったばっかなのになんでここにおるん俺」
過去類を見ないほど狂った行程を組んでしまったが為に、自分ですらこの状況に追いつけていないの流石にアホ過ぎるでしょ。
記念碑の一つ一つをシャッターに収め、ウマ娘と関連のある馬名を見ると「おぉっ」と思わず声も出た。
別世界とは言え、少なからず「彼ら」の想いを受け継いだ「彼女たち」の事を考えると、そりゃエモ過ぎて熱くもなるよな…。
競馬の知識がほぼ0の自分ですら名前は聞いたことのあるハイセイコーの銅像をシャッターに収め、一番見たい碑へと歩を向ける。
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ふと周りの碑達を見回す。
基本的には隣に別の馬の碑があり、ことビワハヤヒデとナリタブライアンに関しても隣同士で並んでおり、「本当に血が繋がってるんだね」と感心を覚えた。
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その後ろ、ぽつんと一つだけの碑。
「寂しくないの?」
「別に。ほっといて」
「彼女」だったら、ぶっきらぼうにそう言うんじゃないか。
「彼」の碑は、そんな所に鎮座していた。
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曇天の空を見上げる。
「彼」はその遥か上に居る筈だから。
「お世話になっております」
「彼」の碑と再び目を合わせ、息を整えそう小さく声に出す。なってんのかな。なってるか。
29年前のこの日の皐月賞で、「彼」は一着を勝ち取った。
そんな日にここに来れたのは偶然なのかも知れないけど、必然でもあったのかもしれない。
AERUのウイニングチケット応援プランもこの日のチェックアウトで予約を取れた為、もはや誰かに「行って来い」って言われたのかとすら思うほどに。
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あなたが居たから、自分はあの子に出会えたのだ。
記念に「彼女」にも出てきてもらい、シャッターを切る。
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ストラップはこの日の一昨日に中山競馬場で買ったもの。
調和性◎じゃん。
一通り撮り終え、近くにあったセイコーマートで軽めの昼食を取る事にする。
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言われた気がするバナナ蒸しケーキ
小腹を満たしバスが来るまで約20分、まだ余裕があるので館内を少し見て回る事にした。
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バスが来るまであと5分。
まだ見れていない場所もある。再訪を誓いバス停へと移動した。
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名残惜しみつつ乗り込んだバス車内で色々と物思いに更ける。
遠いけれど行けない距離では無い事は分かったし、「次は苫小牧から向かってやろうかな」なんて事も考えた。
次の実行がいつになるかは分からないけれど、そう遠くないうちに必ずきっと訪れたい場所である事に変わりはない。
約束も保証もできないけれど。
きっとまた、会いに行きたい。
終点に到着するアナウンスがなされ、小雨がぱらつく札幌駅前に降り立つ。
あとはもう帰りの飛行機を待つだけだ。それまで札幌駅周辺でのんびり過ごす事にした。
再会を信じて飛んだ夜
麺を啜りたい気分になった。食欲ってのはいっつもそう。
唐突に「あれ食いたくね?」と問いかけてくる。食いてぇ。
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塩っ気の物を食べた後は甘味が欲しいとの訴えが脳内に響いた。
ええで!やったやろや!!と脳内にいるタマがグイっと前に出る。
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見た目がまっしろわーるど。
食ったら散歩っしょ。
ヲタクショップが数件入っているビルがある事を知っていたので、そこまで向かってみる。
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例のビルは立て直す前の秋葉原ラジオ会館の様な雰囲気を醸し出しており、多少ノスタルジーな気分を味わった。
階段を上がればすぐに別店舗だったりで、店内はそこまで広くないものの、利便性はありそうだった。地元にもこんなビルが欲しい。
空港に向かう前に現地に住む友人と少しの間談笑し、「やっぱもっと余裕持ったプラン組めって」と散々言われた。僕は頷く事しかできなかった。
友人と別れ空港に向かい、本当にあっという間だった2日間の終わりが見えてきた。
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離陸して十数分、ベルト着用サインが消えた時辺りにふと思い起こす。
今までは「誰かに会いに」だったり、「誰かを感じたり」するのが主な自分の旅の主目的だった。
しかし今回は「馬に会いに」行った旅だった。無論これが目的になった旅行は今回が初めてである。
ウマ娘に触れていなければこんな経験もしなかっただろうな…ぼうっと想いを張り巡らせている内に、飛行機は着陸態勢に入る。
「きっとまた会えるさ」
確信は持てない。けれど、それに近いものは、確かにこの胸に叩き込まれている。
定刻よりも15分ほど遅れ、帰りの最終特急列車の発車が迫り、早歩きで改札を抜け、乗り込んだ瞬間に特急列車のドアが閉まる。
最初から最後までこんな感じで終わるのも、良き思い出の一つになった。
色々な「何か」を胸に残し、ほっ、と息を吐いて自宅の鍵を開ける。
願わくば、彼らが1秒でも元気で健康で過ごせますように。
一瞬で決めたこの二日間の事を、一生忘れたくはない。
そう願い、瞼を下ろし、激動の2日間を締めくくった。
あとがき
「ウマ娘で興味を持ったので、モデルになった馬達に何か恩返し的な事がしたい」
「だったらその馬のグッズとか買えばいいのか、ならターフィー通販を覗いてみよう」
「……でも流石にタイシンは…あるかな……?」
ア゛!!!!!!!
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あるやんけ~~~~~~!!!!!!!!!!
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買いました。
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ないかも知れないけどスクショした。
それではまた。
ここまでお付き合い頂きました皆様に感謝致します。
「彼ら」に拘る全ての皆様に、多大なる感謝と敬愛を込めて。