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仕事を辞めることにした。
仕事をやめようって思ったのは入社して2週間目なことだった。
歓迎会で手酷いセクハラ(といっても言葉でとどまるものだった)を受け、「こんなやつが出世できる会社やべぇ」と思ったのだ。
その後も1週間に1回くらい「やめてやる!」と叫びながらも惰性で勤務を続け、もう結構な年数になる。
コロナ禍真っ最中、本当にダメになった。
コロナ禍の影響で事業が片っ端から潰れていき、時間を持て余すことが増えた。
転職しよう、と本気で奮起したのは後にも先にもこの時だけだったように思う。
転職先を見つけ、内定をもらい、いちばん仲良くしてくれた先輩にだけ「辞めます」と伝えた。
先輩は会社を半ば無理やり説得して営業から事務へのポスト転換をもぎ取ってきた。
私は、辞めるのをやめた。
その後大概参っていた私は鬱病という名目で休職。
大した長さじゃなかったから、まるで夏休みで楽しかったのを覚えている。大学生に戻った気分だった。
よくよく主治医と話したところ「鬱じゃなくて双極性障害じゃない?」という話になったから、あれはただ躁転してただけなのかもしれない。
リフレッシュした私は事務職として時短で働き始め、体調の改善に伴い時間を伸ばしてフルタイムに戻ろうとした。
戻れなかった。
年単位で何度も必死に訴えたけど。
なにも変わらなかった。
再度私は転職活動を始めた。
転職がしたいというより会社を辞めたかった。
再び内定を勝ち取り、先日退職の手続きを終えた。
どうやら今日、私が辞めることが伝達されたらしい。
今日たまたま、先輩と仕事をした。
そしたら聞かれた。
「辞めるんだってね、びっくりした」
場所も違うし、自分からあなたへできることはないんだよね。と前置きした上で先輩は言った。
「一緒にやる最後の仕事だね」
いろいろ会社への悪口大会をした中でぽつんと言ったその言葉で、1%だけ「辞めるのやめようかな」と思った。いや、辞めるんだけど。99%辞めたいから。
この「辞めるのやめようかな」と思う気持ちが「お世話になった」という実感なのかなと思った。
退職する時にちょっとしたお菓子を配る文化がある会社なのだけれど、みんなに配るお菓子とは別で先輩にはなにかプチギフトでも用意しようかな。
なんかおすすめのお菓子ある?
百貨店なら大抵置いてるような定番でいいのないかな。