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社会人になって世界の彩度がガタ落ちした
職場と家を往復して、できるだけ傷つかないように息をし、眠る。
それだけ。
生活も趣味もとにかく省エネに済ませるために、「日々の潤い」的なものから順番に人生から追い出され、結果的に心がカサカサの砂漠になる。
社会に出て数年。
気がつけば、視界の大半を占めるのはアースカラーを通り越してカラーピッカーの左端にぴったり張り付くような色ばかりだ。
学生生活を「人生の夏休み」と称する理由は、きっと多くの社会人がわかっているだろう。
とにかく刺激がたくさんある。
金がなくても、金には変えられない時間が過ごせる。
世界が色に満ちている。
刺激なんかねぇよ! ぼっちで本ばっかり読んでるよ! みたいなこと言う人もいそうだが、心配するな。社会人になったら満足に本すら読めなくなる。今のうちにいっぱい読んどきな。十分君は青春してる。
日々の思い出をどれだけ見返しても、学生時代の鮮やかな記憶に勝てない。
思い出補正もあるのかもしれないけど、あの時シャワーみたいに浴びていた刺激に耐えられるだけのHPがない。
だってできるか? 授業終わりに夜行バスに飛び乗って上京して1日でやりたいこと全部やってまた夜行バスで帰って翌日バイトとかさ。無理だろ。
体力は失われる一方だし、仕事はキツイし、税金は高いし、給料は安いし、ろくなもんじゃない。
……でも、だからこそこのまま枯れてったら残りの人生損をすると思う。
恐ろしいことに人生100年時代だ。
社会に放たれる前の時間の4倍、生きることになる。怖すぎるだろ。
昔は30迎える前に死んでやると思っていたけど、ここ数年は「多分ぼーっとしてたらいつの間にか50歳とかになってるんだろうな」と考えている。
ならばせめて日々にちょっとずつ彩りを添えていこうじゃないかと開き直ることにした。
原色とまではいかなくても、パステルカラーくらいになりますようにと願って楽しいものを増やしていきたい所存である。
社会人諸氏、人生一緒に頑張ろうな。
学生たち、できることは今のうちにやろうな。
海外旅行とか、ちょっと無理してでも今のうちに行った方がいいぜ。