(2)日本版帰化試験問題 第58問
テーマ アメリカの歴史=日本の歴史
第58問からは歴史の問題になる。
米国市民権を得るためには、米国史も知らなければならない。日本でもこれは特に見習いたいものだ。
高校で世界史を必修にし、日本史が選択科目になったとき、これでこの国は駄目になるなと思ったが、まさにその通りになった。そして今度は通史教育の破壊。日本人は、高校では自国史を体系的に学ぶことができなくなってしまった。自分の国の歴史を知らない人間は、どの世界でも軽蔑されるだけだ。国定史観に縛られ、自国史を真面目に繙くこともできない特ア人がその典型だ。「歴史を直視せよ」とは、日本人にではなく、将に彼らに与えられる言葉なのだが、日本人も10年後には同じようになっていることを筆者は恐れる。
帰化によって新たに日本人になる人には、本人のためにも、最低限の国史の知識を持ってもらわねばならない。
たかだか250年ほど前の1776年にイギリスから独立した米国と、2千年もの間、独自の歩みを続けて来た日本とでは、出題の内容も自ずと変わって来る。ただ、この連載では、あくまでもアメリカの市民権テストの問題をベースに、日本の帰化試験問題を考えるというコンセプトなので、他にも問いたいことがいっぱいあるのだが、その点はご留意いただきたい。
A 植民地時代と独立/近代以前の日本
【アメリカ市民権試験問題】
■第58問 北米植民地がアメリカとして独立した理由をひとつ挙げよ。
(答) 自由、政治的自由、信教の自由、経済的な機会、宗教的実践、迫害か
らの逃避
【帰化試験問題】
★第58問 日本はどこから独立したか。
(答) どこからも独立したことはない。有史以来ずっと独立していた。
【解説】
日本は、異民族の支配を受けたり、他国から独立したりした経験がない。
これは、歴史上特筆すべき事柄だが、その経験がないことで、国際常識を理解できないのも、残念ながらまた事実だ。
ただここでは、独立した経験がないということを、誇りを持って答えさせよう。