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「SDGsには潔い鉄道復権を」の巻

 東部の都会は例外だが、アメリカの鉄道は殆ど、貨物輸送が主流になっている。カリフォルニアにも旅客鉄道がないわけではない。所謂アムトラックの列車は、主要都市を結んでいる。ロサンゼルスからは、南はサンディエゴまで、北(厳密には北西)はサンタバーバラまで、1時間に1本程度の列車が走っている。何度か乗ったことがあるが、まぁ快適だ。所要時間は車と変わらないが、のんびりできるのはありがたい。ビジネスクラスに乗れば、サービスも結構いい。軽食と飲み物のサービスまである。ところがこれも、ところ変わればということがあり、東部の列車でこれを期待したら大間違いだった。何のサービスもなく、飲食物は有料で憤慨して列車を降りるハメに陥った。カリフォルニアからはシカゴまで2泊3日の定期列車がある。こちらは、時間にも金にもゆとりのある人が乗る、文字通りの特別急行列車だ。
 では、都市の近郊交通としての鉄道はどうか。これもカリフォルニアでは皆無に近かった。モータリゼーションの波とは言うが、エコロジストによれば、自動車産業と石油産業による陰謀で、都市近郊に蜘蛛の巣のように張り巡らされていた都市近郊鉄道は、1960年頃までに無残な廃線跡を残して消滅してしまったのだ。
 ところが近年、これが見直されているのだ。ロサンゼルスでも、この写真を撮ったサクラメントでも(2008年10月7日撮影)、近郊都市を結ぶ、いわゆるライトレールが、盛んに建設されている。その路線というのが、ほとんど、ひっぺがす前の、かつての鉄道網に沿っているというからお笑いだ。勿論、1930年代の路線を全て復活させるわけではないが、その当時の幹線沿いに、やはりライトレールは敷設されている。
 昨年のリーマンショック以降は、「カリフォルニア新幹線」が注目を集め、もしかしたら21世紀のアメリカは、鉄道の時代になっているかもしれない。
 潔いと言えば潔い話だ。必要ないから引っぺがし、また必要だと思ったら作り直す。馬鹿じゃないかとも思うが、その思い切りの良さには驚いてしまう。環境にも良いし、いいじゃないか! そういう開き直りが聞こえてきそうだ。
 これを最初に書いた当時、アル・ゴア元副大統領が科学的に完全に証明されたわけでもない「地球温暖化」をインチキな映画で訴えながら、自分はプライベートジェットを使って温暖化に一役買っていた。まさに「不都合な真実」だ。そんな二重基準がこの国を支配している。しかしもしも、地球温暖化が本当に問題で、温室効果ガスの排出を抑える必要があるとするならば、鉄道や原子力の平和利用は、真面目に考えるべきだろうし、もっといろんなところで、この手の「潔さ」を見せてもらいたいものだ。学校さぼってSDGsのグレタも、原子力を使うべきだと言ってる。そう言う潔さはなぜかメディアは報じないのだ。

拙ブログ『潔いのか、馬鹿なのか』より「秘密基地じゃなかった基地の秘密」(2009年02月24日 16:26)に加筆修正した。

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