『勇気爆発バーンブレイバーン』感想会(@カワチたちの夜)に参加して~巨大ロボットアニメについてあれこれ

連続アニメーション作品『勇気爆発バーンブレイバーン』の感想会(ライターのカワチ氏運営のYouTubeチャンネル「カワチたちの夜」での放送)に先日参加した。本作は2024年1月11日からテレビ放映を開始、ABEMA TVをはじめ各種サービスで動画配信も行われている。

タイトルから想像がつくかもしれないが、本作はいわゆる巨大ロボットアニメだ。特徴としては、ミリタリー描写の色濃い兵器としてのロボット(俗に「リアルロボット」といわれる)が使用される設定の世界に、ヒロイックな描写のロボット(こちらは「スーパーロボット」といわれる)である「ブレイバーン」が登場するという要素を持っている。人格を持ち人語を話すブレイバーンは、地球外から突如飛来した侵略者「デスドライヴズ」から人類を守るため、主人公である自衛隊のロボット乗り・イサミを搭乗者とし、敵に立ち向かう。

本作は上述したリアルロボット×スーパーロボットという構図を土台にしたうえで、主役ロボットであるブレイバーンに「主人公に対して一方通行な愛情をぶつける厄介者」とでもいうべき性格を与えた。この記事の執筆時点で2話まで放映されているが、ブレイバーンの自己中心気味なキャラクター性は同様のスタイルのロボットアニメにはみられなかったものだ。人類の守護者でありながら人類が頭を抱えるような行動をとるブレイバーンと、彼に巻き込まれ被虐の憂き目に合う主人公との関係性は、視聴者の話題となっている。こうしたロボットと人間のボーイズラブ的な描写に加え、人類側には軍隊モチーフのマッチョイズム・ブロマンス的な部分が意識的に取り入れられており、他の作品でいえば実写映画版『トランスフォーマー』や『トップガン』が思い起こされるようなアニメとなっている。

本作で監督を務める大張正己氏は、これまでも数々の巨大ロボットアニメに携わり、作画・監督・デザインなど、八面六臂に手がけてきた。ブレイバーンのデザインは氏によるもので、外見上においても、人格を持つロボットであるという面においても、過去に関わりのあった『勇者』シリーズからの連なりを感じさせる意図が明白にある。また、本作に関わるスタッフも巨大ロボットアニメに関わることの多い布陣となっている。

リアルロボット的な設定にスーパーロボットをぶつける、あるいは融合させるという作品は過去にも盛んに製作されてきた。これらの作品のテーマは復古、二律背反の両立、双方のいいとこ取りなど一意には括りきれない。タイトルに反してビジュアルがミリタリー路線だったことは折込み済みで、おそらく本作もそうした作品群のうちのひとつになるのだろう、とロボットアニメフリークから期待(あるいは先読み)されたはずだ。きっと大張監督らしくオマージュやパロディが盛られているパターンなのだろうと。私もそのひとりだった。

はたして『ブレイバーン』はそういった予測通りのアニメとなった。だがそこにコミュニケーションに難のあるロボットのキャラクター性やブロマンス要素が乗っかることで、視聴者にめまいを与えている。そしてこれまで何周にもわたって行われてきたリアルロボット×スーパーロボット、オマージュ・パロディの繰り返しの最果てが『ブレイバーン』なのだとしたら、非常に納得感があるし、これならおもしろいと私は思った。本作は巨大ロボットアニメのオマージュであり、それを行う大張監督自身の、再々々々々々々々パロディでもある。

私は巨大ロボットアニメフリークを自負しているが、ロボットアニメ好きというのは面倒だなぁと思うことがある。なぜってスーパーロボットとリアルロボットの定義や枠組みで揉めるからだ。そしてそれは自分のなかにも潜んでいるから厄介だ。こうしたカテゴライズはアニメ『機動戦士ガンダム』以後に視聴者に意識され、ゲーム『スーパーロボット大戦』が定義づけてしまった、というのが大方の見方といえるだろう。ただ、ここに立ち入ることはしない。面倒だからね。

ただこの厄介な枠組みは、先ほど述べたような二項対立の乗り越えを目論んだ作品群を生んだ。そしてそれらが巨大ロボットアニメアニメフリークに望まれたものだったことは確かだ。作り手に問題意識があったからともいえるし、そうすることで売れるから作られたという面もあるかもしれない。そうでなければこれだけ製作されることはなかっただろう。ただし、こうした枠組みを気にする人種は2024年現在絶滅危惧種となっている(もともと個体数は多くないが)。

『ブレイバーン』に至るまで、いつの間にかマンネリ化してしまったのかもしれないが、本来これらのクリエイティブが発揮される背景には、ある種の切実さや憧憬があったはずなのだ。私は感想会を終えて、そうした作品について問わず語りしたくなり、今回記事を書いた。

とはいえ、このままだと収拾がつかなくなりそうなので一旦、記事をここまでにしたい。いずれ『銀装騎攻オーディアン』『機動戦艦ナデシコ』といった作品について書く予定だ。そこまで長く続ける予定もないが、私ひとりで書いても網羅することなどできないので、何か書きたいという方がいれば書いてほしい。なんならロボット作品じゃなくてもいい。私は読みに行く。

まだ『ブレイバーン』も放映中のため、それについてなにか書くこともあるだろうし、また感想会をするかもしれない。もしかしたらすべて書き終わるまでに放映が終わってしまうかもしれないが。どこまで、いつまで書くことになるかはノープランだが、ブレイバーンよろしく厄介な巨大ロボットフリークにお付き合いいただけると幸いだ。

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林與五右衛門(よごえむ)/Hayashi Junpei
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