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【エッセイ】

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【エッセイ】をまとめたものである。
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#小説

【エッセイ】歳月人を待たず

【エッセイ】歳月人を待たず

注文してないアンハッピーセット「付き合ってくれないか」

 私が告げ、彼女は泣く。それは出来ないと宣告される。幾度も見たような光景と、耳が腐敗するほど聞いた台詞である。複数の女性に、揃いも揃って用意されてきた同じ結末。手を繋ぎ、キスをして、体に触れても。告白すれば、泣かれて振られ。皮肉だが、もはや才能だろう。

 どうして毎度こうなるか。未だに理解できない。どうやら、我が運命は稀代の悪戯好きである

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【エッセイ】そして均衡は保たれる(2/3)

【エッセイ】そして均衡は保たれる(2/3)


1/3はこちら↓

雨天へ奏でるセレナーデ怒りの日

 ある秋の日である。メガネ君は、社内の食堂で静かに座る。ぼんやりと窓の外を眺めていた。夕方から雨が降り、時刻は既に午後八時過ぎ。暗い窓では、新たに水滴が生まれては下に流れていく。長らく窓を見過ぎた彼は、その水滴から、生命の誕生と死滅にまで思いを馳せていた。座して壮大である。そこへ私が到着した。

「すまん。遅くなった」

「座しすぎて尻痛し。

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【エッセイ】自己紹介という宿題(小学生編)

【エッセイ】自己紹介という宿題(小学生編)

挨拶 読者諸君、ご機嫌よう。今回は非常にありがたいエッセイになる。お坊さんの法話を聴くような気持ちで私の話を聞いてほしい。今、諸君らは我が宗派の檀家である。

 姿勢を正してくれて構わない。是非、正座で拝聴をしたまえ。きっと数時間後には、感動と足の痺れで涙を流していることだろう。

 法話を拝聴後、諸君らには我が人徳を人口に広く膾炙させるよう働くことを求める。善は急げというので、正座から素早く爆走

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【エッセイ】寸鉄人を殺す一言

【エッセイ】寸鉄人を殺す一言

今日の挨拶

 読者諸君、晴れ渡る土曜日のご機嫌はいかがであったかな。まさか、一週間の労働に疲れ果て、昼まで眠っていたような盆暗はいないはずだ。Noteを嗜む諸君らの休日は、朝早く起きて湯を沸かし、一杯のコーヒーをベランダで啜りながら、太陽に向かって本日もよろしくと嘯くものだと相場が決まっている。その後は、近所の自然公園を優雅に散策したことだろう。
 かくいう私は、夕方まで熟睡であった。あまりにも

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【エッセイ】モテるとは、アイスの美味しさに気付けること。

【エッセイ】モテるとは、アイスの美味しさに気付けること。

 読者諸君、今日も仕事に勉強にたいへん励んだ事だろう。わざわざ諸君ら一人一人に"たいへんよくできました"を捺印しにいく訳にもいかない。心を込めた労いを心の内に留めておく。冷淡な男と思わないでほしい。情に厚いが省エネな私だ。

 諸君らは気づいてるかもしれないが、私は陰湿かつ卑屈で友人が少ない。指を折って数えるなら両手はいらない。中学生の時などは一人もいなかった。友人ができる日を指折り数えて待ってい

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【エッセイ】伝えたいことは同じでも

【エッセイ】伝えたいことは同じでも

 読者諸君、ご機嫌よう。まずは恒例の近況報告だ。
 厄年のせいか知らないが、夏のイベントにはほとんど参加できていない。野外フェスは台風で潰れ、アイドルのライブはチケットが当たらず、体調を崩して花火大会にもいけなかった。あの日作ったてるてる坊主も、神社で買った御守りも、効力を発揮せず労力だけ奪い取っていった。誰か幸運を分けてください。切実に訴える私だ。

 さて、今日は私が自らの無力さを実感した時の

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【エッセイ】過去の私を振り返る

【エッセイ】過去の私を振り返る

 さて、最近は読書感想文を毎日投稿し続けていた私だ。
 今日は残業だったうえに、帰ってからも予定があった。言い訳だ。しかし、今からではどうしても満足のいく新しい文章は書けない。
 そこでだ、過去の私に頼ろうと思う。過去の私が書いたエッセイを披露する。いかに、私が古来よりモテない人間を全うしてきたか理解してもらえるだろう。憐れめ、見損なえ、蔑め、この私を。それでも諦めないぞ。私はいつか絶世の乙女の手

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