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kohey1212y
出発ⅩⅩⅧ(漂泊)
この道をどこまで行っても、僕は僕。
僕は自分を豪快に投げ出したい。
暗闇のなかで、誰かが踊る姿を、ただ眺める。
なぜ、空へ行くより、海へ行く方が簡単なのだ
ろう。
ここの角を曲がればそこに着く。
幾ら世界が進んでも、ここそこに荒野はあり、
ここそこに長屋はあり。
旅に期待してはいけない。分かっているかい。
夜に降っていた雨が、朝止んでいるとは限らない。
旅をしないという旅もあるんじゃないだろうか。
僕は息をするように、旅をしたい。