スキ@短編小説 コールドウェル『ドロシー』
スキ@自己紹介の第4弾はアメリカの作家アースキン・コールドウェル(1903-1987)の『ドロシー』を紹介します。ちなみに、コールドウェルの短編はほかに『レイチェル』、『おもかげ』、『空虚な部屋』あたりも好きです。
この小説を一言で表すと「救いを求める女を見放した男の話」でしょうか。求職中の男に、同じく求職中の女が声をかけてきます。女の行動の意図を薄々感じ取りながらも、男はそれとは違ったアクションを起こします。そして、女と別れた後、男は考えます。「俺がああ言わなくとも、あの女は結局そうしただろう」。しかし、こうも考えます。「いや、俺が後押ししてしまったのだ」。これ以上は何も進展しません。そういう小説です。
まあ、自分のアクションが原因で他人がああなったのかどうかと悩むことは、誰しも一度はあるのでは。それをずっと後悔し続けるところに、この小説の男の、人の良さがあらわれていると私は感じました。そこが好きなポイントです。あと、読んでいるとなぜか、土埃の臭いが感じられるところも好きです。
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