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パーキンソンの法則をマーケティングやセールスに活かす方法
こんな体験はありませんか?
1時間で終わる仕事で、期限が明日まで。
と言われたので、やっていたら実際は1日かかってしまった。
1万円の予算で買い物に行ったが、銀行に3万円あったので、
結果、3万円使ってしまった。
本当は、短時間、少金額で済むのに余力があるとわかると、その余力の最大まで使ってしまう。この現象をパーキンソンの法則と言います。
マーケティングやセールスでは、これを逆手に取って利用します。
設定した期限や金額などをうまく使い柔道でいうところの「崩し」と同様の効果を狙います。
パーキンソンの法則は、1955年にイギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソン(Cyril Northcote Parkinson)によって提唱されました。
この法則は以下の2つの観察結果に基づいています:
第一の法則:「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
例:1時間で終わる仕事に1日分の時間を与えられると、その仕事に1日費やしてしまう。
第二の法則:「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」
例:年収が増えたにもかかわらず、収入を使い切ってしまって貯金が増えない。
身近な例
締め切り間際の仕事:例えば、プレゼン資料の締め切りが1ヶ月後だと、実際に作業を始めるのが遅くなり、結局は期限ギリギリに仕上げることが多いです[1][2]。
収入と支出:年収がアップしても、生活水準を上げてしまい、貯金が増えないという現象です[1][3]。
パーキンソンの法則が起きる状況
余裕のある時間:タスクに対して余裕のある時間が与えられると、その時間を全て使い切るように仕事が膨張します[1][2]。
増加するリソース:組織や個人が利用可能なリソースが増えると、そのリソースを使い切るまで仕事や支出が膨張します[3]。
渦中にいる人の心理状態
安心感と先延ばし:余裕のある時間が与えられると、安心してしまい、作業を先延ばしにする傾向があります。
無駄な作業の増加:時間があるため、細部にこだわりすぎたり、無駄な作業を増やしてしまうことがあります。
マーケティングに活かす方法
マーケティングに活かす場合はパーキンソンの法則を逆手に取ります。つまり、金銭や時間をより短く設定することで、より早くアクションさせることを促す事に使用できます。
緊急性の強調:限定セールや期間限定のオファーを設けることで、顧客に早く行動させる。
リソースの制限:プロジェクトやキャンペーンに対してリソースや時間を制限することで、効率的な作業を促す[6]。
マーケティングに活かした事例
Amazonのプライムデー:限定的な期間での大規模セールを行うことで、顧客に早急な購買を促進しています。
セールスに活かす方法
セールスに活かす場合もパーキンソンの法則を逆手に取ります。つまり、金銭や時間をより短く設定することで、より早くアクションさせることを促す事に使用します。
期限を設ける:オファーやディスカウントに明確な期限を設け、顧客に早急な決断を促す。
リミテッドエディション:限定商品や数量限定のオファーを提供することで、希少性を強調し、購買意欲を高める。
セールスに生かした事例
ファッションブランドの限定コレクション:特定の期間や数量限定で商品を販売することで、顧客の購買意欲を刺激します。
代表的な実験や検証の例
大学生を対象とした実験
Brannon, Hershberger, and Brockの研究では、大学生を対象に写真のセットを評価するタスクを与え、時間の余裕がある場合とない場合での作業速度を比較しました。結果、時間の余裕がある場合、学生は作業を引き延ばす傾向がありました。
時間制限と目標設定の影響
Bryan and Lockeの研究では、異なる時間制限がタスクの完了時間に与える影響を調査しました。実験では、余裕のある時間が与えられたグループは、必要以上に時間をかける傾向があり、目標設定がパーキンソンの法則の影響を媒介することが示されました。
官僚制の研究
パーキンソン自身も、英国の官僚制における職員数の増加を観察し、仕事の有無に関わらず職員数が一定の割合で増加することを示しました。
公共部門の実証研究
公共部門の教育機関や他の組織における実証研究では、パーキンソンの法則が実際に確認され、与えられた時間内で仕事が膨張する現象が観察されました。
プロジェクト管理における検証
プロジェクト管理の分野でも、パーキンソンの法則が適用されることが確認されています。具体的には、タスクが予定通りに完了することが多く、早期完了がほとんど見られないという現象が報告されています。
パーキンソンの法則は、時間やリソースの管理において重要な洞察を提供し、ビジネスや個人の生産性向上に役立つ概念です。
ちゃんとした人を「崩す」
だいたいの人は割とちゃんとしている。
ちゃんとしてる人ほど、お金を持っている。
なので、この冷静な判断を持っている人を崩す必要がある。
パーキンソンの法則はその武器のひとつ。
ひとつの矢で崩れない場合は、複数の矢を仕込んだり、断れないオファーなどを作る。
自身がパーキンソン法則にかからないために
他人には掛けられるのに、自分もかかってしまうようでは意味がない。
自身がパーキンソン法則に掛からないようにするためには次のような対策を取ると良い。
仕事の例では、
仕事量に合わせて自分で計画を立てる
仕事や作業の締め切りを自分で設定する
時間区切りを行う
仕事や作業の合間に短時間の休憩をはさむ