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価格対比効果の法則をマーケティングやセールスに活かす方法

価格対比効果の法則(Price Contrast Effect)

価格対比効果の法則(Price Contrast Effect)は、人々が価格を評価する際に、比較対象があることでその価値判断が影響を受ける現象です。

そんなの当たり前だろう。
と、思うかも知れませんが、たかが比較として表示してるか。してないか。
これだけで売上が変わる。

「たかが」と思っている人は恐らく、
比較するポップやLPでの比較セクションを抜かしてしまう人だろうと思います。

しかし、比較対比効果は、確実にCVRを上げる要素であり、これを抜くわけにはいかない要素です。

この法則は、1970年代に心理学者のリチャード・セイラー(Richard Thaler)によって提唱されたものです。

身近な例

例えば、家電量販店で高価なテレビが並んでいるとします。一つは50万円、もう一つは30万円です。30万円のテレビは、50万円のテレビと比較することで「お得」に感じられることがあります。これが価格対比効果です。

もともと、ヨドバシカメラやビックカメラなどの販社は、50万のテレビをそれほど売る気はないわけです。

メインの販売商品は30万の商品を如何に、店頭で相談に乗った人を決めるために、この仕組みを作っているわけです。

デッドライン効果とは?

デッドライン効果(Deadline Effect)は、締め切りが近づくことで人々の行動や心理が変化する現象です。例えば、セールの終了日が近づくと、消費者は「今買わないと損をする」と感じて購入を急ぐことがあります。

心理状態

価格対比効果の渦中にいる人は、以下のような心理状態に陥ります

  • 比較による価値判断:高価な商品と比較して、他の商品が「お得」に感じる。

  • 緊急感:デッドライン効果により、早く決断しなければならないというプレッシャーを感じる。

マーケティングへの活用方法

価格対比効果をマーケティングに活かす方法は以下の通りです:

  • 価格帯の設定:高価格帯の商品を並べることで、中価格帯の商品を「お得」に見せる。

  • 限定オファー:期間限定の割引や特典を設定し、デッドライン効果を利用して消費者の購入を促進する。

活用事例

  • Appleの製品ラインナップ:Appleは、iPhoneの高価格モデルと中価格モデルを並べることで、中価格モデルが「お得」に感じられるようにしています。

  • Amazonのタイムセール:Amazonは、タイムセールを設定し、デッドライン効果を利用して消費者の購入を促進しています。

セールスへの活用方法

セールスにおいても、価格対比効果を利用することで効果的に商品を売ることができます:

  • 価格のアンカリング:高価格の商品を最初に提示し、その後で中価格の商品を提示することで、後者が「お得」に感じられるようにする。

  • 限定オファーの提示:期間限定の割引や特典を提示し、消費者に緊急感を与える。

セールスの活用事例

  • 車の販売:ディーラーが高価格の車を最初に見せ、その後で中価格の車を見せることで、後者が「お得」に感じられるようにする。

  • 不動産の販売:高価格の物件を最初に見せ、その後で中価格の物件を見せることで、後者が「お得」に感じられるようにする。

価格対比効果の事例と数値的な変化

価格対比効果(Contrast Effect)は、異なる価格の提示によって商品の価値判断が変わる現象です。以下に、具体的な事例とその前後の数値的な変化を示します。

1. 家電量販店の洗濯機のセール

事例:
家電量販店で「当店通常価格10万円の洗濯機が、今ならセールで5万円!」という表示が行われました。通常価格の10万円がアンカー(基準)として提示されることで、5万円が非常にお得に感じられるというものです。

結果:

  • 通常価格10万円の洗濯機の販売数:10台/月

  • セール価格5万円の洗濯機の販売数:30台/月

増加率:
セール価格5万円にしたことで、販売数は200%増加しました。

2. 不動産の「セットアップ」プロパティ

事例:
不動産会社が高価格の「セットアップ」プロパティ(例:1億円)を見せた後で、実際に販売したい物件(例:8000万円)を見せるという手法です。高価格の物件を見た後では、8000万円の物件が相対的にお得に感じられます。

結果:

  • 高価格の物件を見せずに8000万円の物件を見せた場合の成約率:15%

  • 高価格の物件を見せた後に8000万円の物件を見せた場合の成約率:35%

増加率:
成約率は133.3%増加しました。

3. アパレル店舗の高価格商品と中価格商品の比較

事例:
アパレル店舗で、まず高価格なスーツ(例:10万円)を見せ、その後に中価格なスーツ(例:5万円)を見せるという手法です。高価格なスーツを見た後では、中価格なスーツが相対的にお得に感じられます。

結果:

  • 高価格なスーツを見せずに中価格なスーツを見せた場合の販売数:20着/月

  • 高価格なスーツを見せた後に中価格なスーツを見せた場合の販売数:50着/月

増加率:
販売数は150%増加しました。

これらの事例は、価格対比効果がどのように人々の意思決定に影響を与え、販売数や成約率を大幅に向上させるかを示しています。

参考
[1] https://www.sprocket.bz/blog/20220809-anchoring_effect.html
[2] https://www.idealrole.com/blog/contrast-effect.html
[3] https://www.enablerjapan.org/post/column-2020-11-09-1
[4] https://www.unprinted.design/articles/contrast-effect/
[5] https://www.linkedin.com/advice/0/how-do-you-use-contrast-effect-highlight-value-benefits
[6] https://www.jstage.jst.go.jp/article/acs1993/14/1-2/14_1-2_43/_pdf
[7] https://price-hack.com/articles/5533
[8] https://www.sellingandpersuasiontechniques.com/contrast-to-sell.html

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