子熊猫と恋愛
子熊猫はいま、恋をしている。
知り合ったのはアプリ。今となっては珍しくない出会い方だ。顔写真など設定する系のもの以外なら、相手を中身から好きになれるのではないかと思った。そんな恋愛がしたかった。自分がだれかに求められたかったし、自分自身もヒトを求めたかった。
そこで、あるアプリを始めた。機能として、一日に三回だけ、見ず知らずのヒトと出会うチャンスがあった。この機能を使うときは、おそらく、相手も同じタイミングで話し相手を探そうとチャンスのボタンを押して受け入れ可能状態にある必要があるのだと思う。会話は大抵「こんばんは」「今何してたんですか」「初めまして」から始まり、すぐに返事が返ってきたから。
子熊猫も、この機能を使って八人ほどと話した。男性も、女性も、分からないヒトもいた。皆、子熊猫と同じように永い夜の孤独を埋めようとしているのだと思った。
そんな素振りはだれも、微塵も見せなかったが。
子熊猫は過去の経験から、敬語にとらわれている。
「初対面で敬語も使えないなんて、そんな奴と一緒にいたくないです、さよなら」
うっひょーーーーーー!
鋭い。
熱い。
これがきっかけで、敬語に囚われるようになった、なってしまった。自分にも相手にも。
アプリで知り合ったそのヒトは、ずっと敬語で話してくれた。
今日はここまで。
2023/02/07
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