#12 涙がキラリ☆
今回は1995年7月7日に発売されたスピッツの12thシングル『涙がキラリ☆』を見ていきたいと思います。
惜しくもミリオンには届きませんでしたが98.1万枚という大ヒット。
発売日の通り七夕をイメージするような歌で、タイトルに☆がついているのもその関係です。
どうやら草野さんはクリスマスより七夕の方を恋人の日として推したいようですが、確かに由来からいけばその方が自然ですね。
ここのところ続いていた暗いテーマとは違って、この曲のテーマは上でも言っている通り「七夕の男女」です。
ただ、そこもやはり七夕といいますか、こちらの男女も織姫と彦星同様そんなにしょっちゅう会えるわけではないみたいです。
心と心をつないでる かすかな光
なんていう歌詞はそのまんまですね。
織姫と彦星を隔てる天の川のように、この男女の間にも会うことを妨げる障害があるのでしょう。
ただ、直接は会えなくても心のどこかで互いに通じ合っているよ、という、ベタですが強い想いを表現したフレーズですね。
この曲で注目してほしいのは、ずばり“俺”です。
お気付きでしょうか?
ここまで紹介した曲の中では初めて一人称が「俺」なんです。
ちょっとそこも押さえながら見ていきましょう。
まずはこの部分。
君の記憶の片隅に居座ることを 今決めたから
弱気なままのまなざしで 夜が明けるまで見つめているよ
なんだか態度がデカいというか、カッコつけてるというか…
でもどこか憎めない言い回しですよね。
でも強がっているのは見かけだけだから、いざ会うといろんな不安が募って“君”を見つめることしかできない…という。かわいいやつめ。
そしてうまいな~というのがここ。
本当はちょっと触りたい 南風やって来い
ここで“俺”のもどかしい気持ちを完全にとらえていますよね。
触りたいのに触れないんですよ。
それはやっぱり“君”にどう思われるか怖かったり、触ってしまったらすべてが終わってしまう…と思ったり、そういった気持ちが”俺”にストップをかけているのでしょう。
この曲に関しては、“俺”(と”君”)はまだ精神的にも幼い中学生か高校生のイメージがぴったりだと思います。
この時期ってやっぱり性的なことに関して敏感じゃないですか。
だから気になる女の子がいてもおいそれと触ることはできないし、女の子の浴衣を見てドキドキしちゃうし、やたらカッコつけてみようとしちゃう…
それがこの曲の”俺”によく表れています。
一人称が”俺”なのも、この時期の男子をよく表していると思いませんか?
付け加えると、この2人はまだ付き合っているわけじゃなくて、お互いに好きな気持ちはあるけどまだ言葉にしていない状態というのが一番しっくりくると思います。
別にそんなことはどこにも描かれてないですが、なんとなくそんな距離感を感じませんか?
僕の中での”君”のイメージは完全に「年に1度、夏祭りの日に田舎のおばあちゃんの家に遊びに来る子」です。
そういうイメージで聴いてもらったら、この曲もさらに青春!って感じの甘酸っぱい曲に思えてくるんじゃないでしょうか。
MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。
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