#2 夏の魔物
今回は1991年6月25日に発売されたスピッツの2ndシングル『夏の魔物』を見ていきたいと思います。
「夏」と言っている通り疾走感あふれる爽やかなメロディがいいですね。
カラオケで歌ってもなかなか気持ちがいいんですよ。
で、この曲の歌詞。
さらっと見ただけだと「僕」の若かりし時代の回想…みたいな感じかなぁというとらえ方ができると思います。
ただ、それだとなかなか解釈が通らない部分があるんですよね。
先に僕の考え、および有力だとされている解釈の1つをお伝えします。
この曲は「勢いでヤっちゃって、できちゃって、流れた」という曲だと思うんです。
これは僕がこの曲を聴いて、「ん~???」と思って、自分なりにあれこれ考えて出した解釈でもありますし、その後に某サイトを見て「えっ、同じじゃん!」と変に感動した解釈でもあります。笑
確かにAメロだけを見るととてもそうとは思えないでしょう。むしろ爽やかな青春というか、はっきりとした恋愛関係ではないけどちょっとした恋心が見えちゃってるような感じ。
ただ、ただ。
Bメロ~サビが納得いかないんですよね。
幼いだけの密かな掟の上で君と見た
夏の魔物に会いたかった
スピッツの、特に初期の歌には「掟」というワードがよく出てきます。
「掟」というと堅苦しいイメージがありますが、“幼いだけの密かな掟”となると単純に「明日も遊ぼうね~」みたいな「約束」とはまたちょっと違う、含みのある表現のように感じませんか?
まぁここはまだ説明がつきますが、決定的なのは2番のBメロ~サビ。
殺してしまえばいいとも思ったけれど 君に似た
夏の魔物に会いたかった
爽やかな青春の歌に目的語のない“殺してしまえば…”は明らかにおかしいでしょう。
あと、何が“君に似”ているんでしょう?
ここから考えられるのが、
“幼いだけの密かな掟”=深く考えずにやった行為の末にできてしまった
“夏の魔物”=新たな生命
という解釈です。
望んでいなかった結果だから“殺してしまえばいいとも思った”。
けれども、言ってみれば「君」との愛の結晶みたいなものだから“会いたかった”という気持ちもある。
その証拠に、最後の部分で“僕の呪文も効かなかった”とありますし。
この“会いたかった”“効かなかった”という過去形が重要で、ここから「今はそれが叶わない」ということがわかります。
そのヒントは2番のAメロに表れているように思います。
“長くのびた影”とか、ちょっと比喩的なところで“ぬれたクモの巣”とかも。
こうなってくると1番Aメロの“シーツ”なんかも心なしかちょっとヤラシイ感じに見えてきたりもしちゃいますが…
これはもちろん僕個人の考え方ですし、有名な説とはいってもご本人が「正解!」と言ったわけではないですからね。
この歌詞の短さでいろんな読み取り方、感じ方ができるのがスピッツの楽しさだと思います。
MVはないですがサブスクで聴けるのでぜひ。