#42 優しいあの子

今回は2019年6月19日に発売されたスピッツの42ndシングル『優しいあの子』を見ていきたいと思います。


みなさんご存じ、朝ドラ『なつぞら』の主題歌。
と言っても僕はドラマを見ない人なのでアレですが、やはり朝ドラの主題歌というのは注目度が抜群ですね。

僕にとってはこの曲が、スピッツにもっと深く入り込むきっかけになった曲でもあります。



草野さんはこの曲を作るにあたって、ドラマの舞台になっている十勝を何度も訪れたらしく、そのおかげでこの曲から受ける印象も、北海道の大自然をバックにした牧歌的なイメージになっていますね。

ちなみに、2番に出てくる”コタン”というのも現地の方言らしいです。
意味は”集落”だとか。


この曲が面白いのは、”優しいあの子”は実際にはこの曲の中に出てきていない、というところです。

優しいあの子にも教えたい
優しいあの子にも聴かせたい

という感じで、”優しいあの子”と一緒に”丸い大空の色”やら”古い許しの歌”やらを体感しているわけではなく、”僕”が感じた素晴らしい景色を”優しいあの子”に伝えたい、という構図なんですね。

ちょっと悪い言い方をすれば、一緒に見て「綺麗だね」みたいな感じで、そういう設定で作詞することだってできるわけじゃないですか。


ここで紹介したいのが、何かのインタビューで草野さんが言っていた言葉。


”あの子”って言ってるうちはダメ


僕はこれを見たときに「なるほど~」と思いましたね。
これがきっかけでスピッツの曲の面白さに気付いて、ファンになりかけの状態からさらにグッとのめり込むようにもなりました。


つまり、”僕”にとって”優しいあの子”は手が届かない存在、あるいは手が届かないと勝手に思い込んでいる存在だということなんですね。


そう言われると確かに今までの曲はほとんど二人称が”君”でした。
唯一『メモリーズ』が”あなた”だったぐらいですかね。

それは”僕”の中で「手に入れようと思えば入れられる存在」、あるいは「すでに手に入っている存在」だったから、と、こういうわけなんですね。

これを知ってしまうと、この曲も、これまでの曲も、もっとイメージを膨らませながら聴いてみよう!という気になってきませんか?

僕はそうやってスピッツの沼に引きずり込まれました。笑


最後に余談ですが、実はこの曲、スピッツの中では歌いやすい部類に入る曲なんです。
最高音がほかの曲と比べてそこまで高くないので、『ロビンソン』とかにいって玉砕するよりは『優しいあの子』を入れることをおすすめします。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。


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