#37 シロクマ

今回は2010年9月29日に発売されたスピッツの37thシングル『シロクマ』を見ていきたいと思います。


『シロクマ』というタイトル、ゆったりとした曲調…といったところから「ゆるふわソング」みたいな感じで人気がある曲ですが、実は歌詞を読むとそこまでゆるいわけでもないと言いますか…
ま、これは追々見ていきましょう。

あとは細かいところで、ジャケ写の車のナンバーが「46-90」だったりするんですね。”シロクマ”ね。



で、ゆるふわの件ですが、シロクマという動物からはなんだかそんな雰囲気を感じませんか?

ヒグマみたいにワーッと襲ってくる感じじゃなくて、ゆったりのんびりとした、どこか親しみやすい印象を受けるんじゃないかと思います。
そりゃまぁ実際襲ってくるのかもしれませんけどね。

なんとなくこの曲の主人公も、そういった優しさや温かさを持ち合わせた性格なんじゃないかな~、というイメージができます。



これもご時世と言いますか、このシロクマくんは毎日かなり忙しく働いている人なんだろうな…というのが冒頭でわかりますね。

ただ、がんばりすぎてしまったのでしょう。
”しびれが取れて”というフレーズがありますが、ここではなんとなく本当にしびれている気がします。

つまり、体調を崩して倒れてしまったのではないか、と思うんですね。
しかもけっこうまずい状態。


ビンの底の方に 残った力で

というフレーズを受け継いで始まるサビは、残りわずかな気力を振り絞って最後に”君”に会いたい…という願いを表しているようです。

今のシロクマくんの状態からすると、”君”が遥か遠くになんとか見えるぐらいで、その願いが叶うかどうかは微妙なんですが。



この「働きすぎ」というシチュエーションもそうなんですが、この曲の歌詞全体からはなんとなく「現代社会の問題」のようなものを感じ取れるのではないかと思います。


例えば”強い日差し”というフレーズからはオゾン層の破壊、またそれによる気温の上昇といった問題を連想できます。

Cメロの歌詞には「ネットの闇」のようなものを重ね合わせることができるかもしれません。

大サビの”ゴミ山登る”というフレーズはそのままゴミ問題のことを表しているのかな、と。


思えばこのシロクマも北極にすむ動物なわけですが、地球温暖化の影響で生息する場所を失いつつありますね。

そう考えるとこの曲は、人間を含め「生き物が居場所を失う」という悲しい現状を歌っている歌だという解釈もできそうです。



結局、人間にしろ動物にしろ本来あるべき生き方を奪われてしまっているのが今の世の中なんですね。
それを日々の生活に疲れ切ったシロクマに投影して、「そんなにがんばりすぎなくてもいいんじゃないかなぁ」というメッセージを届けてくれる曲なんだと思っています。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。


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