株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる(2006/5/18 中原圭介)
概要
金融・経営コンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」にてエコノミスト兼アドバイザーとして活動していた中原圭介さんが書いた本。
中原さんの投資スタイルは、相場のトレンドに応じて投資対象や投資期間、ポジションの大小を柔軟に変化させていく方法であり、この本では相場のトレンドと外国人投資家の売買動向は表裏一体の関係にあることが具体的な事例をもとに明かされている。
どんな相場でも通用する投資テクニックについて纏められた一冊である。
目次
印象に残った内容
トレンドごとに運用の手法を変えることが高い運用成績を生み出す
大きな上昇相場、大きな下降相場、ボックス圏相場では立ち回り方が異なる。
それぞれの特徴を確認出来たら、次はそれぞれの相場でどういった運用をしていけば良いのかを考える必要がある。
まずは6ヵ月間、そして3ヵ月経ってから補正を加える形でトレンドラインを引いてみて、現在どのトレンドであるかを判断する。
上昇トレンドは優良株を分散して買え!
【銘柄選定】
上昇トレンドではあえて値動きの荒い仕手株や材料株を買う必要はない。
勝率が高くてかつ安定して高いパフォーマンスが見込める優良株を分散して買ったほうが、ローリスクかつハイリターンを見込める。
ただし、株価が相当値上がりしている場合は買うのは控える。
信用買いと信用売りを比較して、極端に信用買い残が多い場合も控えること。
【保有期間】
安値で売って高値で売るのは難しいが、上昇トレンドでは大きな利益を得るチャンスであるため、細かい波動は気にせずにできる限り保有株を持ち続けることよって、大きく利益を取ることを心がける。
【買い時・売り時】
初動に逃してしまったときは、短期間での暴落相場のときは絶好の買いタイミング。
総悲観になっているときが一番の買場。
売るのは上昇トレンドが継続しなくなったと判断できてからでもOK。
「頭と尻尾はくれてやれ」の相場格言に従って運用する。
【資金分配】
安定型の場合は基本的には「優良株」の買いのみで、資金の7~8割を投入する。
ボックス相場は仕手株に仕込む!
【銘柄選定】
ボックス相場では優良株を持ち続けるだけでは大きな利益は見込めないため、優良株の株価がどんどん上昇していく上昇相場と比べて、株価が意図的に操作されて吊り上げられるような仕手株が投資家に注目されやすい相場環境となる。
一方で、上下の動きを繰り返すことから、深く考えずに優良株を「上値抵抗線で売り、下値支持線で買い」とうねりを利用して機械的に売買するのも作戦のひとつ。
【保有期間】
仕手株にさっと乗ってさっと売ることによって、投資期間を短くして高いパフォーマンスを求める戦略に切り替える。
【買い時・売り時】
波風が立っていないときに仕込み、急激に暴騰したときにさっと売る。
仕手株は一度暴騰したらもう終わりというパターンが多いため、同じ仕手株は二度と売買しないようにする。
【資金分配】
基本的には「仕手株」の買いのみで、資金の7~8割を投入する。
銘柄の分散はもちろんのこと、損切りを早く行うことを徹底する。
損切りラインは10%下落を基準、もしくは金額ベースで自分で決めておく。
大きな下降相場は材料株を運用すべし!
【銘柄選定】
直接的な材料(業績の上方修正・増配・M&Aなど)と間接的な材料(社会問題や天災などによる特需など)の2つの観点から買いが入りやすい銘柄を選定する。
また、優良株を空売りする方法も有効。
【保有期間】
下落相場では長く保有すればするほど下落幅拡大のリスクが高まるため、利益確定も損切りも迅速に判断して行動に移すこと。
1~3日間くらいの短期投資をメインにして、長くても1~2週間くらいの保有にしておく。利益は1~2割取れればOK。
【買い時・売り時】
優良株が手掛けにくい下降トレンドや物色難の地合いのときには材料株に資金が過剰に集中しやすく、考えられないほどの値上がりを見せることもある。
場中を見れるデイトレーダーのほうが有利に立ち回れるが、場中に材料の発表があったら、当日の株価が前日の終値から10%の値上がりで収まっていたら積極的に買いに行く。ただし焦って成行買いはせず、指値で注文することで余計な値動きに騙されないこと。
また、材料が出て急騰したら即利益確定する。
無理に欲を掻かずに大きな利益を取りにいかないこと。
空売りを行う場合は、上値抵抗線との乖離が大きいときが買戻しのタイミング。
【資金分配】
基本的には買いのみの場合は資金配分を3割程度に減らし、残りはキャッシュにしていれば安心できる。
積極型の場合は優良株の空売りとの組み合わせで利益を得るようにする。
ただし空売り中に好材料が出た場合は損切り承知ですぐに買戻しを行う。
相場は外国人が買えば上がり、外国人が売れば下がる
日本株の多くが外国人投資家が握っているため、外国人が買えば上がり、外国人が売れば下がる。
また、外国人は悪材料出尽くしで買ってくるケースが多い。
また、外国人投資家が好む銘柄の傾向は下記の通り。
① 主力株(流動性が高い)
② PBRが低い中小型株
③ 成長率の高い企業
④ 再生企業(東証プライムの建設株など)
感想まとめ
私は最近KabuBerryの投資家オフ会によく参加しているのですが、1000万円から何億円以上と利益を上げ続けている人から話を聞くと、共通して言われていることは「まず相場で生き残り続けること」と仰っていました。
また、100億円以上の儲けを得た有名投資家のテスタさんも、「株は負けなければ勝つことができる」と謳っており、やはり負けないことの大切さが分かります。
2013年以降、コロナショックなどもありながらも長期的には上昇相場となっており、日経平均株価も過去最高値を付けるなかで、今の投資家やトレーダーはリーマンショックのような悲惨な状況を知らないと言います。
そのような過酷な相場環境でも生き残り続けるには、やはり守りの投資が大事で、次にその中で勝てる時期にチャンスを逃さずに果敢にリターンを取りに行く大切さを知ることができました。
そのような意味でもこの本に書かれている相場環境別の立ち回り方についての知識は非常に為になる内容であり、今後どのような相場環境が来ても負けないように勉強と実践を積んでいきたいと思います。
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