株のしくじり先生(2016/6/15 別冊宝島編集部)
概要
株投資で億以上の資産を築いた「億り人」でも、失敗を乗り換えたこそ今の結果に繋がっている。
本書では億を稼いだものの、相場で億単位を運用することから陥落した人、億単位で損をした人など10人の失敗談がまとめられており、失敗をした原因は何だったのか、どういう取引のやり方をして難局を乗り切ったのかといったことが紹介されている。
億り人が経験した「失敗に学ぶ投資の成功術」がわかる一冊である。
目次
10名のしくじり内容と教訓
DAIBOUCHOUさん
200万円を10億円にした有名投資家。
Twitterでも投資にまつわる有益な情報を発信している。
【しくじり内容】
① 金融危機のときの下落に対応し切れなかった
② 生活するために株式市場から退場した
③ 不動産の購入資金で海外私募ファンドに手を出した
【教訓】
どんなに損をしても投資家として生き残るための守りが大切。
市場から退場させられ、チャンスを掴めないことほど投資家としてつらいことはない
かぶ1000さん
中学2年生から株式投資を初め、投資歴は28年を超える。
当時の資産は2.5億円以上。
【しくじり内容】
① 業績の伸びが止まっていたのに「バリューだから」と安易に持ち続けた
② チャートの売りサインも出ていたが、バリュー投資にこだわりすぎて参考にしなかった
③ 損切りしたところがどん底だった
【教訓】
自分のシナリオが崩れたら、いったん撤退を。
しかし、ひとつの悪材料に過剰反応する必要もない。
誤発注さん
割安成長株に集中投資して2015年に2億円を突破。
信用取引は使わない慎重派。
【しくじり内容】
① 注意力散漫な性格で誤発注
② 優柔不断な性格で売りそびれ
③ 欲張りな性格で売りそびれ
【教訓】
ミスをするのは仕方ない。
気を付けるだけではなく、ミスをしない仕組みを考える。
最大の敵は自分自身にあり。
自分の性格は思った以上に投資判断に影響を与えている。
さとりんさん
電機業界で働く兼業投資家。
トータルの運用資産額は当時1.7億円。
【しくじり内容】
① 自分は「業界事情に詳しい」と過信
② 周りの投資家と比較して、「自分だけが儲かっていない」と焦りを強く感じた
③ じっくり調べず、たいしたこだわりもなく、暴落時に大量購入
【教訓】
想定したシナリオが変わったり、業界構造の大変化がない限り、「損切り」はしない。
株を買うときにはじっくり調べ、惚れること。
テスタさん
当時資産6億円のスキャルピングトレーダー
現在は今までの通算利益が100億円を突破。
【しくじり内容】
① デイトレード中に昼寝した
② 2013年の相場観を引きずった
③ 小型株の空売りに手を出した
【教訓】
「これだけ増えたから十分だ」と思ってしまうと、これまでと同じモチベーションでは頑張れない。
常に危機感を持っていられるよう、自分を追い込んでいく工夫をするしかない。
落ちぶれ株死さん
リーマン・ショック後に自宅を担保に460万円で株を始め、一時的に資産3億円を突破。
【しくじり内容】
① 2014年夏に3億円超えになり調子に乗った
② 小型株一点集中&信用取引のハイレバレッジ投資を続けた
③ 企業分析、業界分析をせず、表面的な割安成長株に安易に投資
【教訓】
借金を手元に絶対に投資してはいけない。
安易な一点集中投資はリスク大。
PERや配当利回りなどの裏付け、しっかりとした企業分析をしたうえでの投資を。
www9945さん
1996年より本格的に投資をスタートし、2014年9月から会社を辞めて配当生活に。
【しくじり内容】
① ワラントで投資した30万円が紙くずに
② オプション取引で貯蓄の8年分がゼロに
③ 信用二階建て&一点集中買いで資産が半減
【教訓】
根拠のない自信は持たない。
失敗したときは、その原因を探るべし。
ただし、失敗は気にしすぎないこと。
貯金3億円男★大先生さん
20代で6億円稼いだ元起業家社長。
【しくじり内容】
① 自分の予想を過信した
② ストップ狩りを恐れ逆指値を入れず
③ 成功体験から恐怖心を忘却
【教訓】
損切りの遅れに尽きる!
予想への過信、敗北への恐怖心の欠如、ストップ狩りのトラウマが損切りを遅らせた
かぴまるさん
2015年時点で投資歴は10年、資産は1億8000万円。
【しくじり内容】
① チャートや定石を無視して独断で突っ走り1億円の損失
② 売り時を間違えて資産1億5000万円から5000万円に
③ 「手持ち資金に余裕がある」という慢心から、NYダウで失敗
【教訓】
惚れ込んだ銘柄でも、確固たる事実があったら売るべき。
天井で売ることを狙い過ぎない。
チャートや格言は常に頭に置いておく。
ランケンさん
外資系に勤務する兼業投資家。FX、株、コモディティなど幅広く行う。
【しくじり内容】
① オプションの「裸売り」をした
② 自分の「読み」を過信した
③ 余力を残さず全力取引した
【教訓】
10年に一度レベルの「想定外の出来事」にぶち当たるのが株式市場。
そんなときに損失を限定し、次のチャンスを逃さないためには、二手目、三手目を打つための資金や戦略を用意しておくことが肝心。
感想まとめ
最近の投資本でもなかなか見ない切り口での本となりますが、この本を読んで今も相場に生き残っているかぶ1000さんやDAIBOUCHOUさん、テスタさんなども失敗を重ねながらも、都度振り返りを行うことで今の結果に繋がっていることがわかり、とても自身の投資への励みになりました。
共通して言えるのはやはり自分のシナリオが外れたときは潔く認めること、信用取引や根拠のない一点集中は避けて守りを考えることが挙げられており、特に前者に関しては私自身も自分に都合が良い情報にバイアスをかけて売り時を逃しがちなため、なるべく「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言を頭に入れつつ判断を早める努力をしていきたいと思います。
いずれは私もこういった本で過去に取り上げてもらえるように結果を出したいと思います・・・!