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【井村俊哉2024年ファンダ戦略】本源的な価値より安いか見抜け!BSを見ろ!具体的な銘柄を挙げて解説します/重要なのは「宝箱のアンロック」/価値がマーケットに知られるタイミングのリサーチ方法とは
動画
概要
収録日:2023年10月13日。
IRTV 個人投資家研究所により収録。
ゲストは個人投資家の井村俊哉さん。
井村さんが考える2024年の投資戦略について纏められた動画である。
目次
印象に残った内容
低PBR・資本効率の改善ならびに株主還元の強化は引き続き大きなテーマになり得る。本質的な事業価値を見抜くことが重要。
その中でも重要なのが、損益決算書(P/L)だけでなく、賃借対照表(B/S)を見ること。
見ることによって下記のような点に気づくことができる。
① 本質的な事業の価値が見抜ける
② 打ち手がたくさんある(M&A / 自己株式取得、配当の可能性など)
→ 取材で要因を詰めていく
伸びなくなっているグロース株が軒並み売られている → 復活の芽があるのかどうかをPBRの視点とかでもアイデアを考えて作る。
例としては下記の3銘柄。
※井村さんはあくまでも保有していないとの事。
【例:ジャストシステム(4686)】
PER:13倍に対して無借金であり、ネットキャッシュが800億円。
非事業性資産 - 時価総額 = 事業価値:1000億円程度しかマーケットは与えていない
1000億円のフリーキャッシュフローを見ると130億円出る。
1000億円 ÷ 130億円 = 約8倍のマルチプル。
75%がサブスクリプションのため、安定したキャッシュフローが生み出せるという意味では、減収減益の部分が引っ掛かるものの割安。
【例:手間いらず(2477)】
時価総額:140億円に対してネットキャッシュが60億円もある。
つまり、事業価値 = 140億円 - 60億円 = 80億円で評価されている。
ストックビジネスをやっているため、キャッシュフローは堅い。
【例:イトクロ(6049)】
時価総額 = ネットキャッシュ = タダの状態
バリュートラップがいつアンロックされるか?が最も大事。
バリュートラップとは?
→ 時価総額100億円で、宝箱の中には200億円が入っている状態。
ただし、ガチガチに鍵がかかっていてそうそう簡単には開かない。
最も大事なことは、いつ顕著化されて皆に知らしめられるか。
本質的な事業価値を見抜くこと以上にはるかに大事。
そこを自分自身でリサーチして突き止めなければならない。
アンロックの1つの方法としては、株主構成を見てアクティビストみたいな人が株主提案をしていて、会社が中期経営計画などで言及していなかった配当性向などについて検討しているかどうかなどを電話で問い合わせることによって、自分でリサーチして詰めていく。
森ではなく木を見ましょう
セクターそのものにαが生まれているという事象は一巡したと見たほうが良い。
この事象はブルウィップ効果として、コロナから始まってサプライチェーンがズレたことによって色んなところに変調をきたした。
<ブルウィップ効果とは?>
牛の尻尾の根元は少しの変化だが、末端にいけば大きな変化になっていること。
つまり、そのような変化により急に業績が上がったり下がったりした変化が一巡したため、バランスシートの中身を見て本質的な事業の価値より安いかどうかを見抜くことが求められる。
2024年に関しては少しレベルが上がる相場になると言える。
1つだけノーマライズされていないテーマは「円安」
1ドル当たり150円台前後はヒストリカルで言うとけっこう上限。
構造的には米金利が上がったりしている一方で日本の金利は対して上がらないことを見透かされてしまっていることから、ギャップを埋めるという意味では円安にならざるを得ないというのは分かる話であるが、ずっとキープされるかというと懐疑的。
まだ予兆はないが、ヘッジ的な意味でも円高銘柄に少し目をつけておくことが大事。
そのトリガーが引かれたときに、既に見つけておけばすぐに対応できる。
TOPIX(東証株価指数)採用銘柄か否かという視点も重視
日経平均やTOPIXに採用されている銘柄は強い。
理由としてはパッシブなマネーが入ってくるため。
機関投資家はTOPIXをベンチマークとしているため、TOPIXとしてまとめてバスケット買いを仕掛けてくる。またはTOPIXに似たポートフォリオを組む。
この波に乗っているかどうかは資金フローを取れるかどうかという点でも重要。
現在の相場は井村さんにとっても非常に難しい環境。
偉そうなことを言っていても、「株ツライ」と言っている人と心境は一緒。
ただし、1回も株を辞めようと思ったことはない。株ほど感情を揺れ動かしてくれるものは他にない。
「株ツライ」と思っても、どこかで夜明けは来ると思って皆さん頑張りましょう。とコメント。
感想まとめ
井村さんにとっても難しい相場に直面していると感じるほど、個人投資家にとっても真の実力が試されている時期に突入していることを感じました。
今まではテーマ株となり得るセクターを見つける作業に大きく注力しておりましたが、今後は企業の本質的な事業価値を見抜くための目を養うことによって、森ではなく光る木を見つけられるようになりたいと思います。
また、井村さんが特に強調して伝えていた、「バリュートラップがいつアンロックされるか?」という視点についても、今まで以上により実現性のあるストーリーを自身で描き、株価に落とし込めるようなリサーチをしていけたらと思いました。