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いつでも、何度でも稼げる! IPOセカンダリー株投資(2018/3/3 柳橋)

概要

個人投資家でありながら、新柳橋塾 塾長を務める柳橋さんが書いた本。

柳橋さんは主にIPO投資や株主優待への先回り投資、インデックスの銘柄入れ替えへの先回り投資、独自のスクリーニング分析など、さまざまなイベント投資を行う。

元々は証券会社に勤務し、IPO担当や証券ディーラーを務めていたため、その経験を活かしたIPO銘柄のセカンダリー投資術について纏められた一冊である。

目次


印象に残った内容

IPOで初値が上がりやすい銘柄の特長

①創業から20年以内の会社(できれば10年以内の会社)
 若い会社の方が勢いがあり、成長余地が感じられるため。

②公募株比率が高く、売出株比率が低い銘柄
 公募株:IPOの際に新規に発行される株。成長するために使える新たな資金となる。
 売出株:元々経営者などが持っていた株を一般投資家に売却するもの
 公募株が多いほうが企業にお金が入るため、株価が伸びる。

③上場企業がマザーズかジャスダック
 現在だとプライム/スタンダード/グロースに分かれるが、主にグロースに当たるもの。
 大企業より新興市場のほうが会社の勢いがあるため。

④上場まで増収増益が続いている。
 その後の安定的な成長をイメージしやすい。
 一方で最近は上場後に業績が下がるいわゆる「上場ゴール」に注意。

⑤公募売出株が少ない
 公募売出株が多すぎると市場の需要以上に新株が供給されるため、初値が上がりにくい。
 50万株を超えてくる場合は注意。

⑥新規性の高い事業内容
 上場の際は類似企業の株価が意識されやすい。
 一方で新しいビジネスモデルの会社が上場する際は類似企業が存在しないため、適正株価を把握しにくいすることから、株価がオーバーシュートしやすい傾向にある。

⑦市場からの資金吸収額が少ない
 (公募株+売出株) × 購買株価 = IPOの市場からの資金吸収額
 資金吸収額が大きいと、初値が上がるのにそれだけ大きな金額の買いが必要。
 30億円以下のIPOを目指したほうが良い。

⑧公開時の時価総額が少ない
 大きすぎると需給のバランスにより初値が高騰しづらい。
 約200億円以下(できれば100億円以下)が良い。

⑨「SOリスク」が少ない
SO=ストックオプションの意味。
ストックオプションとは、企業が取締役などの経営陣や自社の従業員に対してあらかじめ決められた株価で自社株を購入する権利を付与する制度。
株価が上がるとその分市場で売りが発生するため、少ないほうが良い。

⑩「VCリスク」が小さい
VC=ベンチャーキャピタルの意味
ベンチャーキャピタルとは、大口の機関投資家などから資金を預かり、ファンドを組成して多数の未公開企業に投資をする企業。
実際にIPOに辿り着けた場合、その持ち株を売って大きな売却益を得ることができるというロジックで未上場企業への投資を行っている。
その持ち株比率が高ければ高いほど、将来上値が重くなることが予想される。
一方で売るまでの期間や株価の制限(ロックアップ)が設けられていることが多いため、目を通しておく。
 

人気の高いIPO株で使える「逆指値を活用したストップ高狙い」

初値が形成された段階で、買いの勢いがかなり強いことを判断したら、ストップ高水準の少し下に買いの逆指値を入れておく。

ストップ高で張り付けば大きな利益を取れる。
翌日の寄り付きが買い気配であれば利益確定。
 

VCリスクの高さを逆手に取る「VCターゲット狙い」

VC保有が多い銘柄の場合、ロックアップ条件を確認し、ロックアップ解除の少し下で初値が形成された際に初値直後で買いに入り、ロックアップ解除価格の直前で売り抜ける作戦。
 

第3四半期決算までに当期純利益の進捗率が高い銘柄を選ぶ

第3四半期決算までに営業利益や経常利益、当期純利益の進捗率が80%以上であれば、決算発表までに上方修正や本決算が好業績で株価が大きく伸びる可能性がある。(その前より伸び率が高ければ前倒ししても良い)

そのため、その会社の決算期を確認し、決算発表の1ヵ月前くらいから仕込み始め、実際に好業績が出て株価が伸びたら売り抜ける。

IPO銘柄は業績以外に株価を判断するニュースが少なく、実際の業績次第で株価が素直に伸びていくケースが多いため。
 

「IPO先取り戦略」で高騰必至のIPO株に間接的に事前に投資する

特に期待されているIPO予定の銘柄に関連して、事前にその企業の未公開株を持っている企業の株を買っておくと、上場前後に物色されて儲かる可能性がある。

ただし、期待されている企業が上場しなかった場合は、いつまでもその株を持っていなければならないため、リスクが存在することに注意する。
 

感想まとめ

IPOセカンダリー投資にも様々な戦略があり、非常に勉強になりました。

最近はIPOの上場後もほぼ必然的に上がることは無くなってしまいましたが、昔のIPOに関しては公開前に買えればほぼ打ち出の小槌のようなイメージでした。

昔に比べて今はIPOの難易度は上がっているものの、初値が上がりやすい特徴やSOリスク、VCリスクを考慮しなければならないのは同じであり、本質的に気にする点は変わらない気がします。

また、私自身はIPO直後のセカンダリー投資はほぼ手を出していませんが、この本を読んでから大株主は誰なのかしっかりとチェックして投資を行うようになりました。

今後は自分の投資手法を広げるためにも、IPO銘柄に関してももう少し詳しくチェックしてみたいと思います。
 

柳橋さん X(旧Twitter)アカウント


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