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相場の波動はシンプルに読め!(2012/3/19 菅下清廣)
概要
「経済の千里眼」と呼ばれ、アベノミクス相場を的中させた国際金融コンサルタントである菅下清廣さんが2012/03/19に出版された本。
2011年12月の雑誌インタビューのなかで、「2012年の早い時期に(中略)歴史的な大マネーバブルがやってくる」と予言していた。
相場の波や経済の流れと株価予測について詳しく書かれている一冊である。
目次
印象に残った内容
未来予想図の肝は、「サイクルで長期の相場のトレンドを読むこと」
国際的なテーマで楽観シナリオと悲観シナリオのどちらにぶれるのかを自分で予想しながら相場のトレンドを予想する。
相場はシンプルに予測せよ!
複雑に捉えれば捉えるほど相場は読めなくなる。
材料はあくまで予想の裏付けでしかない。
永遠に上がり続ける相場がないように、永遠に下がり続ける相場もない。
つまり、世の中のあらゆる事象にはサイクルが存在する。
相場の値動きをサイクルとして眺めることで長期トレンドを掴むことが重要。
4つの景気循環の波動
①在庫投資循環(キチン・サイクル)
好景気のときは注文が多いので企業が商品を次々と作る。
すると企業の倉庫には徐々に在庫が積みあがっていき、業績を圧迫するようになる。
その後、企業は余った雇用を削減するので、労働者の収入が減り、消費が低迷して景気が悪化。
しかし、在庫調整が済めば需要が供給を上回り、また生産が増え始めて雇用状況も回復し、景気は再び良くなっていくというサイクル。
2~3年の短い波。
②設備投資循環(ジュグラー・サイクル)
新商品が開発されるスパンや企業の設備が更新されるサイクル。
だいたい7~8年といったやや長い周期の波。
③建設投資循環(クズネッツ・サイクル)
不動産が老朽化し、建て直されるタイミングで好景気が訪れるというサイクル。
建築資材の流通や雇用創出、地価上昇による不動産の価値の上昇も見られる。
20年のサイクルの長い波。
④インフラ投資循環(コンドラチェフ)
技術革新の波。社会のインフラが新しいものに作り替えられることにより巨大な需要が生まれて景気が上向き、その新規投資が一巡した時点で交代するもの。
約60年と非常に長い波。
悲観的な相場で「逆張りの発想」を持つ
悲観的な相場であればあるほど、そこが買い時であるケースは多い。
それが本当の大底かどうかをサイクル理論を根拠に確認していく。
名門経済紙が「日本株は死んだ」と見出しを売ったら、そこが大底であるかもしれない。
「過去のチャート」が「未来のチャート」を照らし出す
日経平均株価のチャートを見て、チャートとトレンドサイクルを見ることで、未来のチャートを自分で描く。
経済記事はどこの新聞社が書いているかではなく、誰が書いているかを重視する。
必ずしも日本経済新聞が一番信頼できるとは限らない。
誰が記事を書いているかという点に注目し、信頼できる内容なのか判断する。
セリングクライマックスの恐怖に勝てるか
大きな財産を築いた投資家たちは必ず「逆張り」の姿勢を持っている。
大原則は、「安く買って、高値で売る」。
「目に見えない分野」が主戦場に
主に IT、情報産業、バイオ、エンターテイメント、観光、金融といったといった技術革新が起こる分野が今後の主戦場となる。
「今は小さくても、将来の巨大企業」を応援する
新興市場から見つけ出し、未来のトヨタ、パナソニックとなるような企業を発掘する。
そのために自分なりに研究して見つけてくることが必要。
投資とは未来を予測することである
「投資とは未来を予測することである」というシンプルな大原則を忘れないこと。
歴史を検索することで、未来が照らし出される。
感想まとめ
アベノミクス相場に株を始めた際に買った本です。
大学生の私には難しい内容でしたが、結論としては投資とは未来を予測することであり、サイクルとして長期トレンドを掴むことが大事であるというシンプルな結論でまとまっております。
現在になって読み返してまとめて見ると、細かい部分はともかくとして大枠の経済動向や株価の動きのシナリオは当たっており、やはり株式投資を行う際に景気循環を理解することは非常に大切であると感じました。
2024年は日経平均も一時4万円台まで上昇し、PERこそ過去のバブル期と比較しても割高の水準ではないものの、今後伸びていく企業と衰退していく企業でマネーの入り方が大きく異なることから、より割安で伸びしろがある銘柄を個々に見極めていくのが難しいタイミングに来ていると思っています。
そのようなセクターごとの成長がひと通り一巡した相場環境の中で、過去の事例を頭に入れ、今後のトレンドを掴みながら未来を予測することによって、常に生き残り続ける努力をしていきたいと思います。
菅下清廣さん X(旧Twitter)アカウント