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事業を前に進める知財戦略室!パブリック・アフェアーズ室とのつながりとは?
こんにちは、中途採用部の澤田です。
マネーフォワードの知財戦略室は、特許や商標などの知的財産権を取得することだけを目的とせず、事業・市場を深く理解した上で、事業部や研究・開発・デザイン部門とも密にコミュニケーションを取りながら、事業目線で知財戦略を策定しています。
今回は知財戦略室のメンバーと、密に連携を取っているパブリック・アフェアーズ室のメンバーに「部署間の連携」「今後目指したい世界観」について聞いてみました。
プロフィール
小日向 小百合/Kohinata Sayuri 知財戦略室室長
スポーツ・エンタメ系を専門とする法律事務所のパラリーガルを経てその後、IT企業の法務として知財を担当。在職中に早稲田大学大学院知的財産法LL.Mを修了。2019年3月にマネーフォワードへ入社。知財戦略室の立ち上げや戦略の策定に従事する。
瀧 俊雄/Taki Toshio 執行役員 グループCoPA(Chief of Public Affairs)
大学卒業後、野村證券株式会社に入社。株式会社野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学MBA、野村ホールディングス株式会社の企画部門を経て、2012年より株式会社マネーフォワードの設立に参画。現在パブリック・アフェアーズ室 管掌役員を務める。
植木 貴之/Ueki Takayuki パブリック・アフェアーズ室室長
一橋大学大学院経済学研究科修士課程を修了後、経済産業省に入省し、Fintech政策、ヘルスケア産業政策等を担当。また、東京大学や特許庁への出向も経験し、東京大学ではイノベーション政策の提言や政府渉外などを担当しつつ、所属研究室の特許出願に関する調整なども担当。特許庁では、予算や料金、情報システムなどを担当し、特許庁業務全般と接点を持った。その後、通信会社勤務を経て、2022年7月にマネーフォワードに入社。デジタル、スタートアップ、産業政策領域などを対象にパブリック・アフェアーズ活動に従事。
炬口 英子/Takenokuchi Eiko マネーフォワードエックス株式会社 兼 パブリック・アフェアーズ室
大学卒業後、大手銀行にて法人業務を担当。2016年04月、マネーフォワード入社。大規模税理士法人へのマネーフォワードクラウド会計の営業を担当後、2018年1月にFintech事業推進部(マネーフォワードエックス株式会社の前身組織)へ異動。事業者向け資金管理サービスのプロダクトオーナーを経て、地域金融機関向け事業企画等に従事。兼務にてパブリック・アフェアーズ室に所属し事業部との連携を担う。
マネーフォワードの知財戦略室の特徴
――マネーフォワードの知財戦略室は、どんな部署ですか?
小日向:マネーフォワードの知財戦略室は「事業成長を後押しすること」を重視しています。そのため、知的財産を特許権や商標権、意匠権、著作権といった権利だけでなく、技術、データ、ノウハウ、ブランド、サービスなども含むものと捉え、事業部や研究・開発・デザイン部門とも密に連携を取り、共に事業を作るスタンスで業務に取り組んでいます。
パブリック・アフェアーズ室とは?
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中央:執行役員 グループCoPA 瀧
――パブリック・アフェアーズ室についても教えてください。
瀧:マネーフォワードの3年後の優位性を作る、というミッションを掲げた部署です。マネーフォワードが社会に届けている価値、また、実現したい価値を発信し、社会や制度のあり方を含めて必要なコンセンサスを得ていくことを目指し、政府・政治との関係構築や業界団体活動、政策提言、リサーチ、サステナビリティ推進などを行っています。
――炬口さんはパブリック・アフェアーズ室とマネーフォワードエックスを兼務されているのですよね。どういう背景からそのような役割になったのですか?
炬口:私は当時、マネーフォワードエックス(金融機関様向けサービスを開発する部門)のプロダクトオーナーとして、サービス開発や、事業全体をどう作っていくかを経営陣と話しながら進めていました。その中で中長期的な視点で事業を考えていくには、国がどんなことをしたいのか理解しておく必要があります。特に金融機関がお客様なので、金融庁や経産省などの省庁がどんなことを考えているかのキャッチアップが必要です。これはまさにパブリック・アフェアーズ室で会話されていることなので、事業にも連携できるように、私が兼務することになりました。
パブリック・アフェアーズ室×知財戦略室の連携について
――パブリック・アフェアーズ室として、知財との連携を深めることになったきっかけを教えてください。
炬口:私は銀行員時代から知財に関心があり、知的財産管理技能士の資格を取得していました。マネーフォワードに入社後、サービスのプロダクトオーナーを務めていた際には、特許や意匠の取得を積極的に行い、事業の競合優位性を保つために権利が活かされたことを実感した経験もきっかけとなっていると思います。
植木:意識的に連携を始めたのは最近からですが、私は入社直後から各省庁の最新動向をキャッチアップして、社内コミュニケーションツールのSlackで共有していました。以前特許庁に在籍していたこともあり、知財戦略室のメンバーは興味があるかも?と思い、特許庁に関する情報も投稿し始めたのがきっかけでした。
――具体的にどのような連携をされているのか教えてください。
炬口:パブリック・アフェアーズ室は、専門性の高い政策情報を事業部に的確に伝え、知財戦略および事業戦略の検討をサポートする役割を担っています。具体的には、知財戦略室と協力して、事業部が必要とする情報をタイムリーに提供し、事業戦略の策定に役立ててもらう仕組みを構築しています。事業部とパブリック・アフェアーズ室、知財戦略室の間の「翻訳者」として、双方のコミュニケーションを円滑にし、効果的な知財戦略の実現を目指しています。
植木:私は1年ほど前からトレンドになっている生成AI×著作権、生成AI×特許などのトピックについて、知財戦略室と一緒に業界団体を通じて政府に質問をしたり、意見を出したりといった活動を行いました。こうした活動を評価いただいて、社内表彰(INVENTION AWARDSで知的財産のリテラシー向上に寄与したメンバーに贈られるIP Contribution賞)も頂きました。
最近では、マネーフォワードに関連する事業領域での特許出願が活発になっている傾向もあるため、「政策トレンドや制度変更などを早期にキャッチし、新たな事業アイデアにつなげつつ、必要な知財対応も行う」ことを目指して、事業部・PdMとの連携強化を進めています。
――知財戦略室との連携が、社内表彰にも繋がったんですね!
植木:当たり前のことだと思って自然体でしていたことなので、正直表彰された時は驚きましたが、このような制度があると知財領域に関心を持つきっかけになり、モチベーションも上がるので、会社としてとても良いことだなと思いました。
――知財戦略室としては、パブリック・アフェアーズ室との連携を始めて変化はありましたか?
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右:マネーフォワードエックス 兼 パブリック・アフェアーズ室 炬口
小日向:パブリック・アフェアーズ室と知財戦略室は、「先を見て動く」ところが共通しています。連携を深めることで国や政府の動向を把握しやすくなったので、会社の課題にとどまらず、業界全体の課題ついて、より上流からのアプローチを検討できるようになりました。
知財戦略室に求めたいこと
――知財戦略室との連携をより深めていくために、知財戦略室のメンバーに求めたいことはありますか?
炬口:これまでも知財戦略室のメンバーは、単に権利化の検討を行うだけでなく、事業全体の方向性をヒアリングした上で、守りの側面だけでなく攻めの重要性も理解してくれる非常に貴重なパートナーでした。知財は専門性が高く、相談するハードルが高いと感じる人も多いかもしれませんが、事業部の誰もが気軽にコミュニケーションを取れる部署であってほしいです。私はそのための繋ぎ役ができればと思います!
植木:確かに特許は、出願の経験が無い方にとってはハードルが高いと思います。まずはラフなアイデアベースでも知財戦略室にカジュアルに相談してみるなど、事業部のメンバーに最初のハードルを超えてもらえるように、ハードルを感じさせない関係性を一緒に作っていきたいですね。
現実的に、事業部のメンバーに知財リテラシー・政策リテラシーを持ってもらうことには限界があるので、知財戦略室とパブリック・アフェアーズ室から能動的に提案し、コミュニケーション機会を増やしていけたらいいなと思っています。
瀧:私が2回発明者となって感じたのは、自由に、あったらいいなと思うサービスについて話していたら特許が取れたということです。知識が豊富な方ほど「こんなことを話したら恥ずかしい」「こんな当たり前のことをニューアイディアだと言うのは恥ずかしい」と思われることもありますが、知財戦略室のメンバーには、その敷居を低くしてあげることを楽しいと思える人であってほしいです。カメラマンが被写体を盛り上げて笑顔を引き出すように、知財戦略室のメンバーがアイディアを引き出し、事業部のメンバーに「このアイディアはビジネス上武器なんだ!」と気づかせてあげるようなイメージです。
小日向:すごくわかりやすい例えですね!皆さんが仰る通り、事業部からの相談を待つのではなく、こちらからアイディアを引き出すのが知財戦略室の役割なので、コミュニケーション力や傾聴力がとても重要です。
また、最近は事業領域がどんどん拡大していますが、事業を理解できないとアイディアを引き出すこともできないため、知財戦略室のメンバーも恥ずかしがらずに事業部にわからないことを聞くことが重要です。
炬口:知財戦略室のメンバーは、私たち事業部が気づいていなかったことも引き出してくれます。例えば、こんなことをやりたいと説明した時に、どんな工夫をしているのか、どういう導線にするか、どう競合と差別化するかをヒアリングしてもらいました。このヒアリングを通して、自分たちが言語化できていない部分に気づき、詳細を練り直して再度知財戦略室のメンバーに伝えていくというキャッチボールを繰り返すことで、サービスの完成度も高まりました。
――知財部というと、特許権や商標権などの権利を取得する部門とのイメージを強くもたれる方も多いかもしれませんが、事業を一緒に作っていくこともできるんですね。
小日向:はい!当社では、特許権や商標権などの権利を単に取得するだけでなく、事業部の皆さんと一緒に事業をつくり、また、技術や名称、デザインなどの様々な要素から識別されるブランド構築にも一緒に取り組むことができます。
炬口:リブランディングをした時にもとてもお世話になりました。リブランディングは詳細まで決めた後に権利的にだめだとわかり、もっと早く相談しておけばよかった・・・という苦い思い出もあります。今は新しいことを考えたら、先に知財戦略室のメンバーにどんなことを考慮する必要があるかヒアリングして、そこから具体的な相談をするようにしています。
小日向:具体的なことが決まる前に、1年後、2〜3年後など近い将来こんなことをやりたい、という構想段階から共有いただけるので、事業部の皆さんと一緒に取り組むことができます。
今後の取り組みについて
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――SaaS×Fintechという領域で事業を展開する中で、知財戦略室とどのように繋がりを深めていきたいですか?
植木:Fintech領域の事業を展開する上では、免許や登録が必要なものが多いので、必然的に事業を作る上流工程からパブリック・アフェアーズ室が関わる機会も増えています。その際に、事業部は何がやりたいのかの意図を汲み取りながら、知財の創出につなげられないか?を私たちも意識できると、知財戦略室への相談のタイミングが一歩早くなるのかなと思っています。
小日向:パブリック・アフェアーズ室も知財戦略室も、どちらもグループ横断の組織です。特定の分野だけではなく幅広い事業に関与できるのが面白いところだと思います。SaaS×Fintechは新しい分野なので、正解が無いからこその難しさはありますが、世の中にまだない新しい便利なサービスを作り出すことができ、自分たちのサービスをどんどん良くしていけるのが魅力です。知財の仕事としても、とてもやりがいを感じています。
瀧:当社は銀行APIを初めて使った会社ですが、それ以外にもFintechという分野でファーストユーザーであることが多いです。そういったシチュエーションと技術の掛け合わせで思いついたことが、「ひょっとして日本で初めてなのでは?」というのが勘違いでなく、有意義な知的財産であることもあるので、そこを追えるように頑張りたいですね。
――とてもワクワクするお話、ありがとうございました!
マネーフォワードの知財戦略室では仲間を募集中です!
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インタビューを通して、知財戦略室はパブリック・アフェアーズ室をはじめ社内の各部署と密な連携を取り、マネーフォワードだからこその魅力ある事業を一緒に作っている部署だということを再認識しました。
事業を前に進めるための知財戦略に、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、是非お気軽にご連絡ください!