会社に依存しない「自分株式会社」の考え方
おかげさまで書籍『転職と副業のかけ算』の発売から1年が経ちました。
予約時点でAmazon総合ランキングおよびビジネス書ランキングで1位を獲得、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」にもノミネートされたことで約6万部が売れました。
購入された方の感想を見ていると、書籍の中にある「自分株式会社の考え方」について言及されている方が多く「この考え方をより深堀して書いてほしい!」という声を複数いただきました。
僕自身も、コロナによる環境変化を受け、改めてこの考え方をとても大切にするようになりました。
多くの反響をいただいたこの考え方を、せっかくならより多くの人に知ってもらいたいと考え、今回書籍から抜粋してnoteにしました。ぜひ読んでみてください。
ちなみに、こちらの内容はvoicyでも配信しているので、音声でもどうぞ。
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会社に頼らない「自分株式会社の考え方」
僕はこれまで、地方ホームセンターや大手企業、無名のベンチャーなど、4社を経験するなかで「どの会社でも活躍でき、個人でもお金を稼げる状態」こそが、自分の安定に繋がるのではないかと考えるようになりました。
この考えが明確に自分の思考になったのは、今勤めている会社の社長に言われた「自分という会社の経営目線を持て」という言葉がきっかけです。
会社で言われる「経営者目線」という言葉には、個人的に違和感を感じていました。サラリーマンをしながら、自分が在籍する企業の経営者目線を持つのは難しいと感じていたからです。
社長と見ている景色や入ってくる情報はまったく違うし、経営者になったつもりで高飛車なことを現場で言ってしてしまうと、ただの厄介者になってしまう可能性がある。
僕の解釈ですが、経営者目線というのは、目の前の仕事をただやるのではなく、「会社の売り上げを伸ばす視点」を持ちながら「目の前の仕事の成果こだわる」ことを言うのだと思いますが、当時の上司が教えてくれた言葉のニュアンスは少し違いました。
「“自分”という会社を経営する目線を持てばいいよ」
僕はこの考え方を「自分株式会社」と呼んでいます。自分株式会社というのは“自分自身を会社に見立てて考える思考”のことです。
僕は「株式会社moto」という会社の経営をしている。売り上げは今在籍している会社からの報酬と副業の収入。そこに家賃やご飯代、通信費という経費がかかり、手元に残った金額が利益。会社における経験や資格がBS(資産)になる、という考え方です。
おそらく多くの人は「自分が在籍する企業の給与」が売上になっていると思います。しかし、今の時代は主要取引先である現職にも、いつ切られるかわからない時代です。
主要取引先に切られたら倒産してしまうような経営状態は健全ではありません。経営者として、給与とは別の収入源も確保しなければならず、そのために副業が必要になってくるのです。
僕は今でも「株式会社motoの売り上げはどうやったら伸びるのか?」という視点を持って仕事をしています。どんな仕事にも共通しますが、自社の売り上げを伸ばすためには「対価に見合った労働価値の提供」が必要です。
同時に「どんな労働が評価されるのか?」も把握する必要があります。
在籍する企業の「年収テーブル」と「各年収テーブルで求められる能力」を把握し、自分がどのような価値を提供したら、いくらの売り上げ、つまり年収が上がるのかを考える。そして本業に限らず、副業でも売上を作っていく。
同じ仕事をするのであれば、少しでもお金を多くくれる会社と取引するほうが懸命です。それはサラリーマンであっても副業であっても同じこと。「ほかにいい契約をくれる会社はないか?」を常に模索する視点が大切なのです。
また、「自分株式会社」という目線に切り替えると「あれ、なんでこんなに携帯代が高いの?」とか「この飲み代は何か役に立ったっけ?」というように、経費のムダも見えてきます。
僕は携帯を格安SIMにして、飲み会も無駄なものには極力参加しないようにすることで経費を削減し、余った利益を自分の投資に回しています。
「売り上げをどう伸ばすか?」「利益を増やすにはどうしたらいいか?」という経営者目線を自分自身の財布に当てはめることで、副業をする意味や、企業に依存した働き方から抜け出す視点も持てるようになります。
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書籍を出した1年後に、ここまでの環境変化が起こるとは思いもしませんでした。ですが、僕はこれまでのキャリアで積み上げてきたことがコロナの環境においても自分の強みになっていると感じています。
以前、こちらのnoteでも書きましたが「自分からアクションを起こし続ける人」の仕事がなくなることはありません。
タイトルは転職と副業がキーワードになっていますが、僕がこれまでのキャリアで得てきた考え方や働き方、転職の考え方についても具体的に書いています。
皆さんの「これからの働き方」を考えるきっかけになれば幸いです。