半地下旅行
前のを覚えてないほど久しぶりの家族旅行、そして家族5人での外出。
KーPOPが流行りだして僕の青春期には常に韓国人のなりたがる人が周りに居た。生活周りにハングル文字が増え、耳にする音楽もKーPOPが多かった。そして、それと同じくらい韓国に反抗的な話もよく耳にしたし、逆に反日という言葉もよく聞くようになった。そのため行く前から2日目程まではいつ知らない言語で怒号を飛ばされるのだろうと少し怖がっていた。
でも案外向こうの人は他人に関心が少ないらしく、日本に比べても治安はいいように感じると、現地にいる友だちが言っていた。
父は空港からよくカタコトの日本語で「偽物ならなんでもあるよ」「お兄さんかっこいいね、中入らない?」と進路を妨害されるほどしつこく絡まれていた。それに比べて僕の顔は日本人と断定しにくいのか、最初は韓国語に話しかけられることが多かった。そして通じてないことを相手が察するくらいに英語で話しかけるので向こうもこちらもお互いに困惑するということが何度かあった。
知らない土地を1人で出歩くのには多少慣れていても国が違うと少し恐怖感が付きまとう。ある程度分かってはいたけど、やはり家族とずっと一緒にいるのに我慢できなくなる時が何度かあった。初日のホテルから人のベッドを汚して帰るところやいびき、物を投げて起こすところや相変わらずの荷物係。ここがどこだが看板のハングルも読めないけど、明洞のホテルまでどうにかして帰ろうと両手の荷物を置いてスマホで調べた。その状況になってようやく思い出す昔の嫌な記憶。そういえばこんなこと何度も何度も家族で出かければ毎度あったなと人気の無い場所で座り込んで思い出す。何かに寄りかかりたい、二本足では立ってられない、耐えられなくなり氷点下の屋外に出た。
霧なのか、空気が汚れているのか、両方か。景色はグレーでマンションが幾つも並んでいる。壁面には年季が入っており、凹凸がなくどこか壁画のような見た目をした建物だった。そういえばまだ1つも一軒家を見ていない。駅は基本的に地下、ホテルの入り口もB1、流行りのパン屋さんまでの道もイエンタウンのような密度の濃い出店が並んだいる道。
東京の密度感とはまた違う窮屈さ。いや窮屈というよりも閉じこもっている感じ。居心地がいい、たまに机の下とかの狭いところに入りたくなる感じ。
この土地に慣れる程この土地に住みたいという気持ちが出てきたりするのだけど、現実的に考えればそれは難しい。もちろん金銭面のことなどがあるのだけど、それ以上に今の人間関係のことが気になってしまう。名古屋を離れる度にもう1回頑張ろうと思うけど、その効力もう最近弱まってきたような気がする。もう1年、自由にやってきたつもりだけどどこか狭い。飛行機から見たミニチュアの世界で生きているような感じがしてならない。まぁ兎に角頑張ればいいだけのことなんだけど、前を向いてけばいいだけなんだけど前が見えにくく、足が止まりそうになることが何度もある。何が気に入ってないんだろう。演劇界の競走感かな、何度も排斥されたことかな、会話が続かないことかな。
新幹線、名古屋到着。