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不幸を減らす「PTA役員推薦用紙」の書き方4案

「PTA役員推薦用紙」が配られる季節になりました。
本人が希望していないのに、ふさわしそうだからといって知人の名前を書くのはその人を「売る」ような気がしてしまいますし、知らない人の名前を書くのもご無体です。

それなのに「誰かの名前を書かないと、書かなかった人を立候補扱いする」といっためちゃくちゃな方式を取るところもあるようなので、今回は「PTA役員推薦用紙」の書き方の案をご紹介します。

思い浮かぶ人がいても、無断で出さず確認すべき

この人がよさそう、という人がいても、あなた自身が役員業務について詳しくなかったり、推薦委員がどんな手を使うかわからなかったりする場合は、その人に無断で出さないほうがよいでしょう。

他人を年間400時間以上働かせるかもしれないと心得よう

なぜかというと、「誰でもできるかんたんな仕事」と言われがちなPTAの仕事ですが、たとえ「難易度」は低くとしても拘束時間が長いことが多いからです。たとえば「PTA再活用論」の著者川端裕人氏は、副会長職として「年間166日、403時間」拘束されたと言います。

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※「PTA再活用論」第二章より

それだけの時間を費やすことにも拘わらず、本人に無断で記入するなんて、ひどくないですか?自分がされて嫌なことは他人にしてはいけません。

「嫌なら断ればいいじゃない」と言う人もいますが、断るには理由を言わなければならないPTAもあります。断る側にも精神的負荷はかかりますし、断るつもりの人に声をかけなければならないという意味で推薦委員の負荷も上がってしまいます。

そのため、思い浮かぶ人がいても記入する前に「推薦してみてもいい?」と聞いてから記入しましょう。
(その問いかけができる仲で、OKと言われるのであれば、もしかしたら相手からも自分を推薦されるかもしれませんが・・・)

「母親」前提でなく「父親」も

これまでそのPTAの役員が女性ばかりであれば、ご本人がOKなら、父親の名前を記入するのもありだと思います。女性はフルタイムワーカーであろうと辞退の理由として認められないことが多い昨今、男性だって同じ条件で推薦していいはずです。

推薦委員も、相手が男性なら「誰でもできる簡単なお仕事です!」なんていう勧誘は自重してくれるかもしれません。

思い浮かぶ人がいないなら、白紙(または『該当なし』と記載)で出す

「誰かの名前を書かないと、立候補扱いとする」という圧迫(脅迫)がない場合は、白紙(偽造を防ぐなら『該当なし』と記載)で出せばOKです。

教員の名前を書く

「誰かの名前を書かないと、立候補扱いする」という圧迫(脅迫)がある場合は、

・会則に「PTA会員は●●の在校生の保護者と教員からなる」等の記載がある場合
・本当にその人が役員になっても問題ないと感じる場合

に限りますが、教頭や信頼できる教員などを推薦するのも手です。
(もし教頭が引き受けて、「このままの方式ではダメだ」と考えればしめたものです。何の力も持たないイチ保護者が地道に仲間を集めて改革をするより彼らがトップダウンで改革したほうがスムーズかもしれません)

自分がやるのも嫌、他の保護者を推薦もできない、そのうえ「先生にさせるのは忍びない」と思うのであれば、多少の波乱を呼ぶかもしれませんが下記の手もあります。

現状の推薦方式に倣わないと宣言する

「誰かの名前を書かないと、立候補扱いする」という圧迫(脅迫)が、会則で定められたものでないのであれば、そのルールの不当性について訴えます。

PTA会則に「推薦のみ」とある場合
「会則には役員は推薦されて決まるとあります。該当の人がいない場合に白紙で出すことが立候補とみなされる、という状態は、会則に沿っていません。これを立候補と捉え強要される場合は、私はPTAを退会いたします」

PTA会則に「推薦または立候補」とある場合
「会則には、推薦したい人がいない場合、また立候補したい場合に白紙で出すことが立候補とする、とは記載されていません。該当する方がいないため白紙で出しますが、これを立候補と捉え強要される場合は、私はPTAを退会いたします」

PTA会則に「誰の名前も書かないと立候補とする」と記載がある場合
「誰かの名前を書かないと、立候補扱いする」という圧迫(脅迫)が、会則で定められたものであれば、会則の不当性を訴えます。

「本来PTA活動は任意の活動であり“誰の名前も書かないと立候補とする”という会則は不適切です。どうしても白紙で出すと立候補扱いとするというのであれば、私は市長および市・県の教育委員会に訴えたうえ、PTAを退会いたします」

ここまで書けば「面倒な人」と思われて、きっと立候補扱いにはされないでしょう。

「その学校のPTAルールに従うしかない」とは考えないようにしよう

繰り返しますがPTA活動は本来任意なのです。
任意度合いとしては「ボーイスカウト」のようなものです。
例えば入るとも言っていないボーイスカウトの勧誘活動で「ボーイスカウトの幹部を推薦してください。しない場合はあなたが幹部になります」と言って来るような理不尽なものなのです。

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役員を無理して引き受けさせた結果、鬱になったり体調が悪くなったり、最悪のケースでは自殺未遂や子どもを死なせてしまうという事件も現実に起こっています。

それと比べたら「PTA退会」のほうが断然マシです。
もし「退会すると人間関係が厳しくてやっていけない」という場合は、いっそのこと校区外に引っ越したり、子どもを別の学校に通わせるという手もあるのです。極論と言われるかもしれませんが、PTAのせいで死ぬより、死なせるよりマシです。

ひとりひとりが不当なルールに屈しないことが、不幸を減らす一助になります。

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サムネイル写真:Image by Mari Kanezaki from Pixabay

PTA活動で感じた苦労をノウハウとして他のPTA役員さんたちに還元することで、喜びに昇華しようと思っています。 「スキ」やTwitterフォロー、RT,コメント等をいただけるととてもうれしいです。