見出し画像

中国の有名な劇場について紹介します!~その1~

中国には多くの有名な劇場があり、伝統的な演劇や音楽、現代の舞台芸術やダンスまで、さまざまな公演が行われています。今回は、特に有名な劇場をいくつか紹介し、それぞれの規模や歴史、文化的な背景について簡単に説明します。

1. 国家大劇院(こっか だいげきじょう)guó jiā dà jù yuàn

北京 国家大剧院

場所: 北京市     
規模と観客数: 国家大劇院は中国で一番大きな劇場の一つで、新しい「北京十六景」の一つに数えられるランドマークです。フランス人建築家ポール・アンドリューの設計により建築された、オペラハウス(歌剧院)、コンサートホール(音乐厅)、芝居劇場(戏剧场)、小劇場(小剧场)、アート展示ホール、レストランなどを備えたアジア最大の複合劇場です。
劇場全体は大きなドーム型で、最も大きなオペラハウス(歌剧院)には2,207席があり、他にも1,861席のコンサートホール(音乐厅)、1,036席の芝居劇場(戏剧场)と、489席の小劇場(小剧场)があります。

オペラハウス(歌剧院)
オペラ劇場は、国家大劇院の中でも最も大きいなホールで、その主な色は華やかな金色です。主にオペラ、舞踊、バレエ、大規模な文化公演が行われます。この劇場には、前後に動かしたり、上下に昇降させたり、回転させたりできる最新の舞台装置が備えられています。さらに、バレエ専用の傾斜できる舞台ステージや、三管編成のオーケストラが入る昇降式のオーケストラピットもあります。これらのな舞台設備により、アーティストは多彩な演出が可能になっています。
コンサートホール(音乐厅)
音楽ホールに設置されているパイプオルガンは、優雅なデザインで、豊かで深みのある音色を奏でます。これは現在、中国で最大規模を誇り、ストップの数やパイプの本数が最も多く、音色のバリエーションも非常に豊富なオルガンです。94個のストップがあり、パイプの数は6500本に達します。このパイプオルガンの存在が、音楽ホールに一層の高貴さと優雅さを与えており、「ホールの至宝」として親しまれています。
芝居劇場(戏剧场)
劇場の舞台は、「張り出し型」(伸出式)と「プロセニアム型」(鏡框式)の2つの形があり、演目の必要に合わせて使い分けることができます。舞台エリアは、メインステージ(主舞台)とその左右のサイドステージ(左右輔台)に分かれています。メインステージには「ドラム式」の回転舞台が設置されており、これは13個の昇降ブロックと2つの昇降ステージで構成されています。これにより、舞台全体を上下させたり、個別に昇降させたり、さらには回転しながら昇降する特殊な効果も可能です。この舞台機構は、世界でもトップクラスの先進技術を誇っています。
小劇場(小剧场)
小劇場は、国家大劇院の中で最も多様な可能性を持つ多機能劇場です。全体の色合いは爽やかで、スタイルはエレガントです。この劇場では、室内楽(チェンバー音楽)、小規模なソロやアンサンブル、小劇場での演劇やオペラ、現代舞踊など、さまざまなジャンルの公演が行われます。舞台は「エンドステージ」(尽端式舞台)形式を採用しており、2つの昇降プラットフォームで構成されています。これにより、舞台全体を上下させることも、個別に昇降させることもできます。

以下のリンクで国家大劇院をオンラインで見学できます、興味のある方はぜひ見てみてください:
国家大剧院虚拟游览 (chncpa.org)  

2023年、国家大劇院は外国の芸術団体との交流を活発に行い、国際的な公演を数多く開催しました。特に、パンデミック後、ロシアのマリインスキー交響楽団が中国で最初に演奏を再開し、有名なチェリスト、ヤン・フォグラーも大劇院に登場するなど、外国のアーティストが続々と参加しました。また、ウィーン交響楽団やマリインスキー・バレエ団など、世界的に有名な団体が舞台に立ち、観客から高い評価を受けています。

さらに、国際的な芸術祭やフォーラムも積極的に開催されており、「国際劇場シーズン」や「8月合唱フェスティバル」など、外国の芸術団体と共に、国際的な文化交流が推進されています。

このように、国家大劇院は世界各国の芸術を積極的に受け入れ、文化交流の架け橋として、国際的な文化の交差点となっています。

国家大劇院ホームページ(CN/EN):国家大剧院官方网站 演出信息 在线购票 艺术普及 参观游览 (chncpa.org)  

2. 上海大劇院(シャンハイ だいげきじょう)shàng hǎi dà jù yuàn

上海 上海大剧院

場所: 上海市
規模と観客数: 上海大劇院は約1,800人が入る大劇場と、600席の中劇場、300席の小劇場があります。合計で約2,700席があります。

大劇場
大劇場の自動舞台システムは、世界で有名な「Waagner-Biro」というシステムを使っていて、舞台を左右に動かしたり、上下に昇降させたり、傾けたり、回転させたり、階段状にしたりすることができます。メインステージは6つの18m×3mの昇降ステージから成り、最高で3.6m、最低で-6.8mまで動かせます。舞台の幅は18m、高さは12mです。 舞台の上には82本のバトン、40個の吊り点、3つのライティングブリッジ、2つの照明バトンが吊るされています。主舞台上には57本のバトンがあり、最大29mの高さまで吊り上げられ、約800kgまで持ち上げることができ、速度は最大毎秒1.8mです。 劇場には900の調光回路があり、舞台の左右には、それぞれ5台の電動サイドライトホイストがあり、上下左右に動かすことができます。

中劇場
主に室内楽や中小規模の演劇が上演されるほか、各種の公益公演や芸術教育活動の主要な会場でもあります。観客席は2階建てのスタンドに分かれ、合計575席が設置されています。 舞台のプロセニアムアーチの幅は12m、高さは6m、奥行きは11mです。舞台の上には1枚の音響反響板と25本の電動バトンがあり、バトンの耐荷重は約300kg、最大で14mまで昇降でき、最大速度は毎秒1mです。舞台裏には5つの化粧室があり、同時に50人が化粧できる設備が整っています。


小劇場
上海大劇院の小劇場は5階にあり、黒とグレーを基調とした「ブラックボックス劇場」です。ここでは、実験的でモダンな小規模な演劇が主に上演されます。劇場には固定座席が220席あり、さらに80席の移動可能な座席が用意されており、演出の内容に応じて多方向からの観客席に組み替えることができます。舞台エリアの面積は約140平方メートルです。舞台裏には2つの化粧室があり、同時に30人が化粧できる設備が整っています。

上海大劇院ホームページ(CN/EN):   
上海大剧院 (shgtheatre.com)     

上海大劇院は、多くの海外作品を積極的に取り入れています。。イタリアのスカラ座バレエ団、ベルリン・フィル、アメリカン・バレエ・シアターなど、有名な海外の団体が公演を行い、ミュージカル「マティルダ」「オペラ座の怪人」、ワーグナー作オペラ「ニーベルングの指環」、バレエ「ジゼル」など世界的に有名な作品を上演しました。

中国にはまだまだたくさんの劇場があります!引き続きほかの劇場も紹介しますので、気になる方はぜひフォローしてください! 

・自己紹介 

李李・リリ・Lilyと申します。中国出身で、日本留学中に多摩美術大学で舞台を学び、その後、上海戏剧学院で研修を受けました。現在上海と東京を拠点に、日本と中国においての舞台公演、イベント、コンサート、ライブ、文化交流などを中心に活動しております。

お仕事用個人サイト作りましたので興味のある方はぜひご覧ください!     
Lighting Up the Stage リリの舞台仕事記録 | 中国舞台専門用語 (lightupstagerecordfromlily.com)
これからも中国の舞台文化、グローバルプロジェクト裏方の視点から、いろんな情報を発信していきたいと思います!

いいなと思ったら応援しよう!